【バベンチオ(アベルマブ)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

メルケル細胞がんに対して用いられるバベンチオ。
メルケル細胞がんは、皮膚にできるがんですが、比較的早期にリンパ・血液転移を起こすことで知られています。

今回は、メルケル細胞がんの治療薬である、バベンチオについて紹介していきます。

目次

バベンチオってどんな薬?
バベンチオってどうやって効くの?
バベンチオの用法・用量
バベンチオの副作用
バベンチオの注意点
まとめ

バベンチオってどんな薬?

バベンチオは、有効成分アベルマブの抗がん剤です。
2017年9月に製造販売承認がおりたので、年内に販売が開始されるかと思います。

【効能又は効果】
根治切除不能なメルケル細胞癌
引用:バベンチオ点滴静注200mg 添付文書

メルケル細胞がんに使用される薬です。

メルケル細胞ガンとは?

メルケル細胞がんは、皮膚にできるがんですが、確率としては非常にまれながんです。日本における患者数は100人程度です。

メルケル細胞は皮膚の外側、神経の末端部分に生じるがんで、増殖のスピードが早く、早期から転移が起こる傾向にあります。予後は不良なのですが、今まではなかなか良い治療薬・治療法がありませんでした。

  • 単一のしこりとして皮膚の露光部に発生。
  • 急激に増大する。
  • 痛みを伴わない。
  • 触ると硬く、形状はドーム状であるか隆起している。
  • 赤色または紫色。

引用:メルケル細胞がんの治療

メルケル細胞にはこのような特徴があります。

バベンチオってどうやって効くの?

バベンチオの有効成分アベルマブは、ヒトPD-L1抗体です。

PD-L1とはどんな物質なのでしょうか?
PD-L1はがん細胞が細胞表面に提示するたんぱく質で、免疫細胞のPD-1と結合する性質を持ちます。
免疫細胞は異物であるがん細胞を排除する働きをする細胞なのですが、PD-L1とPD-1が結合すると、排除の動きが抑制されることがわかっています。

アベルマブは、PD-L1と結合することができる抗体なので、免疫細胞のPD-1にとって変わって、がん細胞のPD-L1と結合します。
すると、免疫細胞によるがん細胞への攻撃が弱まることなく行われ、がん細胞を除去することができます。

バベンチオの用法・用量

用法及び用量

通常、成人にはアベルマブ(遺伝子組換え)として、1回10mg/kg(体重)を2週間間隔で1時間以上かけて点滴静注する。

用法及び用量に関連する使用上の注意

1.他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
2.本剤の投与時に発現することがあるinfusion reactionを軽減させるため、本剤投与前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の投与を行うこと。
3.本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を目安に、本剤の休薬等を考慮すること。
(以下略)
引用:バベンチオ点滴静注200mg 添付文書

バベンチオは、2週間毎に体重ごとに定められた量を点滴にて使用する薬です。
副作用発現がみられるときは、その副作用がある程度収まるまで、使用を中止するといった処置がなされます。

infusion reactionとは、抗体医薬品投与時に起こる炎症、アレルギー反応のことを言います。
どうして生じるのか、その原因ははっきりとはわかっていませんが、抗体製造にはヒト以外の動物を用いることから、異種たんぱく質が少なからず存在するため、それに対してアレルギー反応を起こしている可能性、投与すると腫瘍細胞が急速に崩壊、壊死することでその成分に対してアレルギー反応を起こしている可能性などが考えられています。

発熱、悪心、嘔吐、頭痛、掻痒感、発疹、浮腫といった軽度の症状から、アナフィラキシーショック、肺障害、心臓障害といった重篤な反応まで様々です。

こうした症状を事前に防ぐために、抗アレルギー反応作用をもつ、抗ヒスタミン薬や炎症を鎮める効果がある解熱鎮痛剤を事前に投与することもあります。

バベンチオの副作用

主な副作用は、疲労・infusion reaction・下痢・悪心・発疹・無力症・そう痒症・斑状丘疹状皮疹・食欲減退があります。

こういった症状や体調悪化、変化があれば、すぐに医師や看護師、薬剤師に相談するようにしましょう。

バベンチオの注意点

バベンチオは、抗がん剤であり、副作用やリスクが大きい薬です。
その反面、癌を治癒するという大きなメリットがあります。

バベンチオを使用するには条件があります。

  • 緊急時に十分対応できる医療施設において投与すること
  • がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること
  • 治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること

参考:バベンチオ点滴静注200mg 添付文書

まず、投与ができる場所は、アナフィラキシーショックや間質性肺炎をはじめとする重篤な副作用がでたとしてもちゃんと治療ができる病院に限られます。
また、投与を決定できる医師にも条件があり、ガンの薬物治療に十分な知識と経験が必要です。

その上で、医師の独断で投与を決定できるわけではありません。
いわゆるインフォームドコンセントといって、十分に患者さん及び家族に説明してから、納得できて治療を行うと文書にて承諾を得られたときのみ投与されます。

まとめ

バベンチオは、根治切除不能なメルケル細胞癌に使用される抗体医薬品です。
メルケル細胞がんは、皮膚に生じるガンで、成長が早く転移もしやすく、予後不良なガンとして知られています。
レアなガンであり、日本における患者数は100人程度であると考えられています。

バベンチオの有効成分アベルマブは、ヒトPD-L1抗体であり、腫瘍細胞のPD-L1と免疫細胞のPD-1結合による、免疫細胞の腫瘍細胞に対する攻撃回避システムを無効化させる作用を持ちます。

副作用が生じやすい薬なので、医師の説明をしっかりと聞いて、十分に納得した上で治療をうけることをおすすめします。

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