慢性血栓塞栓性肺高血圧症の治療薬「アデムパス」について

慢性血栓塞栓性肺高血圧症は、日本における患者数がだいたい1500人前後の難病に指定されている病気です。
今回は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する治療薬「アデムパス」について書きたいと思います。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症とは

慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension:CTEPH)は、特定疾患治療研究対象疾患(難病)に指定されている病気で、血栓が肺動脈に生じてしまう病気です。血栓が作られると肺高血圧となり、心不全を来してしまう非常に予後が悪い病気です。
症状としては、次のような症状があります。

  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 疲れやすくなる
  • 胸の痛み

また、病気が進行すると、数年のうちに歩くことすら困難になるとされています。

基本的な治療法としては、肺動脈血栓内膜摘出術(PEA)と呼ばれる外科手術ですが、多くの慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者さんでは外科手術が不可能であり、また一部の患者さんは手術したものの再発します。

アデムパスについて

アデムパスは一般名リオシグアトで、手術不適応・または術後に持続/再発がみられた慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する治療薬です。
経口の治療薬で、sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)を刺激することで、血管拡張などの作用を発現します。

患者数が1500人程度と非常に少ないことから、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されています。この指定を受けると、研究開発のための助成金が交付されたり、他の薬よりも優先して承認審査が行われるなどのメリットが受けられるようになります。

製薬会社がリリースしたアデムパスに関する概要を載せておきます。

販売名
アデムパス®錠 0.5 ㎎
アデムパス®錠 1.0 ㎎
アデムパス®錠 2.5 ㎎

有効成分名 リオシグアト

効能・効果
外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症

用法・用量
用量調節期
通常、成人にはリオシグアトとして 1 回 1.0mg1 日 3 回経口投与から開始する。2 週間
継続して収縮期血圧が 95mmHg 以上で低血圧症状を示さない場合には、2 週間間隔
で 1 回用量を 0.5mg ずつ増量するが、最高用量は 1 回 2.5mg1 日 3 回までとする。収
縮期血圧が 95mmHg 未満でも低血圧症状を示さない場合は、現行の用量を維持する
が、低血圧症状を示す場合には、1 回用量を 0.5mg ずつ減量する。

用量維持期
用量調節期に決定した用量を維持する。用量維持期においても、最高用量は 1 回
2.5mg1 日 3 回までとし、低血圧症状を示すなど、忍容性がない場合には、1 回用量を
0.5mg ずつ減量する。
引用バイエル薬品 「アデムパス®錠」
慢性血栓塞栓性肺高血圧症 (CTEPH)の治療薬として製造販売承認を取得

まとめ

アデムパスは、難病に指定されている慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対する治療薬で、希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)に指定されています。sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)を刺激することによる、血管拡張などの効果を示す薬です。

まだまだ治すことが出来ない病気は他にもいっぱいあるので、どんどん研究が進んで治せない病気がなくなるといいですね!

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