【ダラザレックス(ダラツムマブ)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

ダラザレックスはヒト型抗CD38モノクローナル抗体の医薬品です。
有効成分はダラツムマブで、再発又は難治性の多発性骨髄腫に用いられます。

今回はダラザレックスについて、紹介していきたいと思います。

目次

ダラザレックスってどんな薬?
ダラザレックスってどうやって効くの?
ダラザレックスの用法・用量
ダラザレックスの副作用
ダラザレックスの注意点
まとめ

ダラザレックスってどんな薬?

ダラザレックスは再発又は難治性の多発性骨髄腫に用いられる薬です。

効能又は効果
再発又は難治性の多発性骨髄腫

効能又は効果に関連する使用上の注意
1.本剤による治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。
2.臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
引用:ダラザレックス 添付文書

多発性骨髄腫とは?

多発性骨髄腫とは、血液の血球成分の一つである、形質細胞がガン化する病気です。
正常な形質細胞の役割は、抗体を作ることにより、細菌やウイルスといった病原体を排除する働きを有していますが、ガン化することにより意味のない抗体もどき(Mタンパクという)を作りまくります。

すると、いくつか体に不都合が生じます。
造血抑制
形質細胞が増殖することにより、正常な血液細胞を生み出す機能を圧迫してしまうことで、うまく血液細胞をつくれなくなってしまいます。

すると、赤血球不足による貧血がおき、息切れやだるさが生じるほか、白血球不足による感染症にかかりやすくなる、血小板減少に伴う易出血傾向が生じることがあります。

免疫機能の低下
造血抑制でも、白血球不足による感染症にかかりやすくなりますが、それに加えて、正常抗体を作れないことによる免疫機能の低下もあります。

抗体は、細菌やウイルスを捕まえて、こんな異物がきたよーと免疫機能に報告する役割を持っているのですが、その機能がなくなってしまうと、細菌やウイルスに感染してもうまいこと、周りに報告できなくなってしまいます。

Mタンパク
抗体もどきであるMタンパクは、なんの効果も得られないばかりではなく、さまざまな問題を引き起こします。

まず、血中にMタンパクが多量に溶け込むことにより、血液が粘り気をもち、流れにくくなります。

他にも、腎臓をMタンパクが詰まらしてしまい、尿をうまく作れなる他、そのタンパクを除去するときに腎臓も傷つけてしまい、腎機能の低下を招きます。

骨破壊
多発性骨髄腫になると、骨を壊す役割をもっている破骨細胞が活性化することがわかっています。
すると、無駄に骨を壊してしまい、骨の痛みや、骨折、脊髄圧迫などを生じさせませす。
また、骨のカルシウム分が血中に溶けだすことにより、高カルシウム血症を誘発し、さまざまな影響を及ぼします。

ダラザレックスってどうやって効くの?

ダラザレックスの有効成分ダラツムマブは、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体です。つまり、CD38タンパク質を認識して、そこにくっつく抗体の薬ということです。

順を追って説明していきましょう。
CD38タンパク質とは、形質細胞の表面に多く発現しているタンパク質です。
多発性骨髄腫は前述の通り、形質細胞がガン化した腫瘍なので、CD38が多く表面に発現しています。

ダラツムマブは、このCD38と結合するモノクローナル抗体なのですが、抗体がくっつくことでどんな作用を与えるのでしょうか。

抗体が結合すると、その物質は異物としてみなされて、免疫機能が活性化して除去をし始めます。
補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貪食(ADCP)作用、Fc領域の架橋形成によるアポトーシス誘導、CD38酵素活性の調節作用などにより、攻撃が開始されます。

これらの攻撃によって、腫瘍細胞は破壊され、ガンが駆逐されていくといった感じです。

ダラザレックスの用法・用量

用法及び用量
通常、成人にはダラツムマブ(遺伝子組換え)として、1回16mg/kgを以下の投与間隔で点滴静注する。

レナリドミド及びデキサメタゾン併用の場合:
1週間間隔(1~8週目)、2週間間隔(9~24週目)及び4週間間隔(25週目以降)
ボルテゾミブ及びデキサメタゾン併用の場合:
1週間間隔(1~9週目)、3週間間隔(10~24週目)及び4週間間隔(25週目以降)引用:ダラザレックス 添付文書

ダラツムマブは、1回あたり体重に応じた量を点滴静注します。
間隔は、併用している薬によって変わります。

ダラザレックスの副作用

副作用として多く報告されているのが、infusion reaction、上気道感染、疲労、咳嗽、好中球現象、血小板減少といった副作用です。

infusion reactionとは、抗体医薬品全般的に生じる副作用で、投与中か投与後24時間以内に多くみられる副作用です。
初期症状として、発熱・悪心・頭痛・疼痛・かゆみ・咳・血管浮腫などが生じ、重篤になるとアナフィラキシーショックや肺機能障害、心機能障害を引き起こし、最悪死に至ります。
原因としては、抗体を製造するときに人以外の動物を使うので、その動物の異種タンパク質に反応している可能性や、腫瘍細胞が急激に崩壊することによりアレルギー源となる物質がいっきに放出することによって生じる可能性が考えられています。

他の副作用としては、正常な造血細胞が破壊されることにより、免疫担当細胞を作れなくなり、免疫機能が低下することで、感染症にかかりやすくなります。
その結果が上気道感染や咳嗽になります。

また、赤血球数も減ってしまうため、易疲労感が生じます。

ダラザレックスの注意点

ダラザレックスを使用するときの注意点を、投与中・投与後に分けてざっくり紹介します。

投与中

投与中は、infusion reactionをはじめとするアレルギー症状が生じやすい時間帯です。
初期症状が生じるようであれば、医師や看護師にその旨伝えるとよいでしょう。

投与後

免疫担当細胞数が減るため感染症にかかりやすい状態になっています。
バランスのとれた食事、睡眠をしっかりとるように生活しましょう。

まとめ

ダラザレックスは、ヒト型抗CD38モノクローナル抗体の医薬品で、有効成分はダラツムマブ。再発又は難治性の多発性骨髄腫に用いられます。

多発性骨髄腫の原因となっている形質細胞に多く発現しているCD38に特異的に結合して、補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貪食(ADCP)作用などを通して、腫瘍細胞を死に至らすことができます。

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