2型糖尿病治療薬のエクメット配合錠LD・HDってどんな薬?

はじめに

エクメット配合錠をご存じでしょうか?
2015年11月に発売された2型糖尿病の治療薬です。

すでに販売されているエクア(有効成分:ビルダグリプチン)とメトグルコ(有効成分:メトホルミン)の配合剤となっています。

今回は、エクメット配合錠について、どのような効果がある薬なのか、またその副作用について紹介していきます。

目次

エクメット配合錠とは
エクメット配合錠のメリット
エクメット配合錠の副作用
安定供給
まとめ
関連情報

エクメット配合錠とは

エクメット配合錠は、2015年11月末に販売が開始された、2型糖尿病の治療薬です。

糖尿病には1型と2型があり、1型は血糖値を下げる効果のある体内物質であるインスリンを作り出している膵臓のβ細胞が、なんらかの理由で破壊されてしまい、インスリンがでなくなってしまうことによって生じる糖尿病です。
対して、2型インスリンの分泌能が、肥満や運動不足・ストレスといった生活習慣によって低下してしまうことによって生じる糖尿病です。
エクメットは、2型の糖尿病の治療薬となります。

配合錠の名のとおり、2つの有効成分を含んでいます。
一つ目が、ビルダグリプチン(商品名:エクア)です。
エクアは、DPP-4阻害作用をもつ糖尿病薬です。

DPP-4(Dipeptidyl Peptidase-4)はインスリンの産生を促す体内物質であるGLP-1(glucagon-like peptide 1)を分解する働きがあります。
DPP-4阻害薬は、DPP-4の活性を抑えることで、GLP-1を分解されにくくして、インスリンの産生を促そうという狙いの薬です。

もう一つが、メトホルミン(商品名:メトグルコ)です。
メトホルミンは、ビグアナイド系の糖尿病の薬です。
メトホルミンはインスリンの放出作用はないのですが、インスリンの作用増強の効果があるため、糖尿病治療薬として使われています。

※詳しくは、糖尿病の治療薬とその効果についてのまとめをご覧ください。

エクメット配合錠には、HDとLDという二つの規格があります。
HDは、ビルダグリプチンが50mgでメトホルミンが500mg
LDは、ビルダグリプチンが50mgでメトホルミンが250mgです。
基本的には、1日2回朝食後と夕食後に服用する薬です。

用法及び用量
通常、成人には1回1錠(ビルダグリプチン/メトホルミン塩酸塩として50mg/250mg又は50mg/500mg)を1日2回朝、夕に経口投与する。

用法及び用量に関連する使用上の注意
1.ビルダグリプチン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の用法・用量を考慮して、患者ごとに本剤の用量を決めること。
2.ビルダグリプチン50mg1日2回の単剤の治療により効果不十分な場合は、本剤LDから投与を開始すること。
引用:エクメット配合錠LD/エクメット配合錠HD 添付文書

医師の指示と異なる場合は医師の指示を優先するようにしてください。

エクメット配合錠のメリット

配合錠のメリットですが、錠数が減ることにより、きちんと正しく飲んでくれる可能性があがるというのが大きなポイントになります。
(専門的な言葉で、アドヒアランスの向上と言います。)

糖尿病はいかに血糖値をコントロールするかが大事な病気です。
そのためには、忘れずに薬を飲んでもらうというのが大前提となります。

薬の数が多ければ多いほど、服用のし忘れや拒否につながりやすいですよね。
そうすると、お医者さんも血糖値が下がらない原因が服用のし忘れなのか、それとも食事が原因なのか、薬の作用が弱いのかわからなくなってしまいます。
原因がわからないことには、対処のしようがありません。。。

そうした事態を避けるためにも、きちんと患者さんが薬を服用し続けてくれるというのは大事なことになります。
配合錠は、薬の数を減らしきちんと服用できるように手助けする効果があるといえます。

2018年4月薬価改定により、値段が変わったので、下記訂正しました。

また、費用面でも患者さんにメリットがあります!
エクア単剤の価格は75.30円で、メトホルミン250mg(メトグルコ250のジェネリック)の最安値が9.60円、メトホルミン250mg(メトグルコ250のジェネリック)の最安値が9.90円なのに対して、エクメットHD・LDは77.60円であるので、エクアとメトホルミン服用中であれば、エクメットにしたほうが幾分安くすることができます。

エクメット配合錠の副作用

エクメット配合錠の副作用としては、便秘、下痢、気持ち悪さ(悪心)があります。

一番注意しておきたいのは、低血糖症状ですね。
冷や汗、動悸、空腹感、震え こうした症状がでたら、低血糖の可能性があります。ブドウ糖をすぐに補給して、安静にしてください。

ブドウ糖は、薬局で申し付けてもらえば、糖尿病治療薬服用中であれば、お渡しすることができます。
低血糖の副作用はいつでるかわからないので、常に携帯することをお勧めします。

こういった副作用は必ず出るわけではないので、自己判断で服用を中止しないようにしましょう。何か、心当たりがある方は医師に相談するようにしてください。

安定供給

エクメット配合錠は、2015年の11月末に販売開始でしたが、実際に広く使われるようになったのは、2016年の2月に入ってからです。

というのも、安定的に供給ができないということで、最初のころは出荷調整が続いており、手に入りずらかった背景があります。
ちゃんと整えてから販売開始してくださいという感じなのですが、ようやく2016年2月から安定的に生産できるということで、製薬会社から医師のもとに連絡がいき、医師が積極的に処方している背景があります。

今後、エクア、メトホルミンを利用している患者さんで、エクメット配合錠への切り替えが進んでいくことが予想されます。

まとめ

エクメット配合錠は、ビルダグリプチンであるエクアとメトホルミンの配合剤で、2型糖尿病の患者さんに用いられます。
患者さんのメリットとしては、服用する錠数を減らすことができ飲み忘れが少なくなるのと、費用面でも若干のメリットがあります。

最近販売されたばかりの薬なので、今後広く糖尿病患者さんで利用されることが予想されます。

関連情報

糖尿病治療薬

インスリン製剤

【ライゾデグ配合注フレックスタッチ】

GLP-1製剤

【トルリシティ】

SGLT2阻害薬

【スーグラ(イプラグリフロジン L-プロリン)】

DPP4阻害薬

【トラゼンタ(リナグリプチン)】
【テネリア(テネリグリプチン)】

合剤(DPP4阻害薬+SGLT2阻害薬)

【カナリア配合錠】

コラム

Googleの血糖値測定コンタクトレンズ、ノバルティスと提携

糖尿病の治療薬とその効果についてのまとめ

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