サリドマイド・スモンなど日本での薬害について簡単に調べてみた

日本で起きてしまった薬害事件について、簡単に調べてまとめてみました!

薬害とは?

薬害と聞くと、副作用で何かあったんだなと思う人が多いと思います。確かにその通りなのですが、薬害というのは単純に副作用によって害が出たというだけではなくて、行政の対応遅延などにより被害が悪化してしまった事態のことを指します。薬害は人が原因であるというのがキーポイントです。

日本で起こった主な薬害事件

日本で起こってしまった主な薬害事件について、簡単な説明と共にまとめてみました。

サリドマイド
発売当初は催眠鎮静薬として用いられていたのですが、その催奇性によりサリドマイド胎芽症を引き起こした薬です。日本では、つわりの薬として胃腸薬に配合されていたことから、被害が拡大しました。また、1961年11月にドイツのレンツ博士により催奇性が示唆されたのにもかかわらず、日本では1962年の9月ごろまで発売を続けていたことも問題とされています。現在サリドマイドは、多発性骨髄腫という血液がんに効果があることが分かり、厳格な管理体制の元で再び用いられています。
キノホルム(スモン)
整腸薬として用いられていたキノホルムが、神経障害を引き起こしてしまった事例になります。神経障害の病名を正確に述べると「亜急性脊髄視神経症」で、英名の頭文字をとるとSMONとなり、スモン薬害事件として認知されています。1960年代の後半に1万人を超す人がSMONを生じ、1970年のキノホルム発売中止により、新たな患者の発生は激減しました。問題とされているのは、すでに危険性を示唆するような論文が出ていたのにもかかわらずそれを無視して発売し続けた点と、当初SMONの原因がウイルスによるものであるというミスディレクションが生じ、それにより原因解明が遅れてしまった点です。現在も2000人くらいの患者さんがSMONにより苦しんでいます。
クロロキン
抗マラリアの薬ですが、クロロキン網膜症という視野が狭くなる副作用を持つことが報告されています。日本で、クロロキン網膜症になってしまった人は1000人を超すと言われています。また問題だったのは、アメリカにおいて、クロロキン網膜症の報告があったにもかかわらず、日本では適切な対応を取らなかったために、被害が拡大してしまった点です。
エイズ
ウイルスの不活性化を行わない非加熱製剤が流通したことにより、エイズの原因ウイルスHIVも一緒に輸血されてしまった事例です。問題としては、ウイルスの活性をなくせる加熱製剤が誕生して、十分に供給できる体制になった後も、非加熱製剤の回収等の措置がすぐに行われなかった点があります。このことにより、被害が拡大してしまいました。主な被害者は血友病の患者さんです。血友病は、血液を固める因子が不足しているために、上手く血液が固まらなくなります。そのため、その因子を輸血で補う必要があるのです。日本の血友病患さんの約4割である1800人程度がHIVに感染してしまう事態になってしまいました。
ヤコブ病
ヒト乾燥硬膜(脳や脊髄を守る膜)の製剤が異常プリオンに汚染されていたため、移植を受けた患者さんにクロイツフェルト・ヤコブ病が発症してしまった事件です。このヒト乾燥硬膜はドイツ産で死んだ人の脳から硬膜を取り出して作られます。問題なのは、異常プリオンに硬膜が侵されている可能性が否定できないにも関わらず、除去する処理等を講じなかったことです。また、日本の行政にも問題があり、異変が表面化した際に、即時使用禁止等の対策を取らなかったことが被害を拡大させました。

まとめ

医薬品には副作用等のリスクがつきものです。特に生物由来の製剤では、感染症などのリスクが高くなります。ですが、適切に対応することで被害を最小限に食い止めることが出来ます。行政等の不手際・決断の遅れ等により、被害が拡大しないような体制づくりが必要なのではないでしょうか。また医療に携わる人は副作用の被害を最小限に抑えられるように、気を配り続けなければいけないと言えるでしょう。

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