【ムコダイン(カルボシステイン)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

ムコダインは様々な病気の痰がからむ症状を緩和するために用いられる他、慢性副鼻腔炎の排膿や小児の滲出性中耳炎の排液に用いられます。
だれもが一度は服用したことがあるのでは?と思うくらい、広く用いられています。
錠剤・ドライシロップ・シロップの剤形タイプが販売されているので、子供から大人まで用いられます。

今回は、ムコダインの効果効能、副作用や注意点について紹介します。

目次

ムコダインってどんな薬?
ムコダインって何の病気に使えるの?
ムコダインってどうやって効くの?
ムコダインが効くかってどうやって確かめたの?
ムコダインの一般的な使う量と回数
ムコダインの副作用
ムコダインで気を付けることは?
ムコダインの市販薬(OTC)ってあるの?
まとめ
関連する情報

ムコダインってどんな薬?

ムコダインは、有効成分カルボシステインの痰切りの薬です。
慢性副鼻腔炎の排膿小児滲出性中耳炎の排液にも用いられます。

日本では、錠250mg・錠500mg・ドライシロップ・シロップが販売されています。
日本における発売開始は、錠250mgが1981年1月、錠500mgが1996年10月、ドライシロップが2010年5月、シロップが1987年10月です。

効能又は効果
(1)ムコダイン錠250mg、ムコダイン錠500mg
○下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
○慢性副鼻腔炎の排膿

(2)ムコダインDS50%
<成人>
○下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
○慢性副鼻腔炎の排膿

<小児>
○下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
○慢性副鼻腔炎の排膿
○滲出性中耳炎の排液

(3)ムコダインシロップ 5%
○下記疾患の去痰
上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核
○慢性副鼻腔炎の排膿
○滲出性中耳炎の排液
引用:ムコダイン インタビューフォーム

ムコダインって何の病気に使えるの?

慢性副鼻腔炎

副鼻腔炎といわれるとピンと来ない方も多いかと思いますが、炎症+膿が溜まった状態が【蓄膿症】となります。

副鼻腔とは、鼻の周辺にある空洞を指します。
前頭洞、篩骨洞、上顎洞、蝶形骨洞の4つを総称して、副鼻腔と呼ばれています。

副鼻腔炎とは、細菌感染・真菌感染・アレルギー性鼻炎(花粉症・ハウスダスト・ダニなど)などによって、副鼻腔に炎症が生じてしまった状態を言います。

主な症状としては、鼻水がたれる・鼻が詰まる・頭痛がする・悪臭を感じる・匂いが感じにくくなる・鼻水がのどに落ちる・咳がでる・痰がからむなどです。
アレルギー性鼻炎でも鼻水はでますが、ドロっとした鼻水がでる場合は、副鼻腔炎となっている可能性があります。

気になる症状あれば、耳鼻科を受診することをおすすめします。

滲出性中耳炎

鼓膜の奥に存在する中耳腔という空洞に、滲出液という液がたまる病気です。
滲出液は炎症がある場合などに、血液成分が漏れ出してしまった液のことを指します。
つまり、なんらかの理由で中耳に炎症を生じて、そこに滲出液がたまってしまったのが、滲出性中耳炎です。

なんらかの理由としては、急性中耳炎が治りきらなかった場合があります。
細菌やウイルスが中耳に入って炎症を引き起こすことで生じる急性中耳炎ですが、これが長引いたりすると、滲出性中耳炎となることがあります。

急性中耳炎は、ずきずきとした強い痛みや発熱、耳がつまった感じ、耳だれなどの症状があるのに対して、滲出性中耳炎は痛みや発熱がほとんどありません。
ただ、音がくぐもった感じになり、難聴の原因の一つとなります。

特に10歳以下の子供に多くみられるので、耳が聞こえていないような感じ(返事に対して応答がない、テレビのボリュームが大きいなどなど)があれば、耳鼻科を受診することをおすすめします。

ムコダインってどうやって効くの?

ムコダインの有効成分カルボシステインは、主に5つの作用があると考えられています。

粘液構成成分調整作用

痰の粘液物質に含まれているシアル酸とフコースの割合を正常化させます。
フコースの割合が多いと、粘りが強くなり、痰がからむ原因となってしまうので、その割合を正常化することで、粘りが弱くなり、排出しやすくなります。

また、粘液物質の主成分であるムチン(Muc-5acタンパク質)の産生を抑えることで、そもそもの痰の量を減らします。

杯細胞過形成抑制作用

粘液物質を分泌する細胞である胚細胞が、慢性気道疾患(COPDや喘息)の患者さんで、多く作られてしまうことが確認されています。
カルボシステインは、この多く作られている状態(過形成)を抑える働きがあります。

気道炎症抑制作用

炎症細胞の浸潤・活性酸素・エラスターゼ活性を抑制します。
また、ヒト好中球の活性化を抑制します。

簡単にいえば、炎症に関わる細胞や酵素の働きや活性化を抑える作用があります。

粘膜正常化作用

気道や副鼻腔の傷ついてしまった粘膜、正確に言えば、粘膜上皮の線毛細胞の修復を促進します。

粘液線毛輸送能改善作用

慢性副鼻腔炎の患者さんにおいて、低下してしまった鼻粘膜粘液線毛輸送能を改善します。
線毛輸送とは、粘液を外へ外へ鼻水としてだそうとする動きをさします。

慢性副鼻腔炎の患者さんでは、この能力が低下しているので、膿が副鼻腔に溜まってしまいます。
この能力を高めることで、膿の外への排泄を促し、副鼻腔炎を解消します。

ムコダインが効くかってどうやって確かめたの?

【臨床成績】
二重盲検比較試験を含む臨床試験978例について評価した成績の概要は次のとおりである。また、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、慢性副鼻腔炎を対象とした二重盲検比較試験において本剤の有用性が認められている。

引用:ムコダイン 添付文書

実際に、痰が絡む症状や慢性副鼻腔炎の患者さんに用いて、有効であったかどうかを確かめました。
その結果、ほぼ有効だと認められるケースが多くを占めているため、ムコダインは医薬品として認められて、販売に至っています。

ただ、100%有効!というわけではありませんので、効かないケースももちろんあります。
そのケースの場合には、別の去痰作用をもつ薬に切り替えるなどの対応が必要となることがあるので、医師に相談してください。

ムコダインの一般的な使う量と回数

ムコダイン錠250mg、ムコダイン錠500mg

カルボシステインとして、通常成人1回500mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

ムコダインDS50%

<成人>
通常、成人にカルボシステインとして1回500mg(本剤1.0g)を用時懸濁し、1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

<小児>
通常、幼・小児にカルボシステインとして体重kg当たり1回10mg(本剤0.02g)を用時懸濁し、1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

ムコダインシロップ5%

通常、幼・小児に、体重kg当り、カルボシステインとして1日30mg(本剤0.6mL)を3回に分割して経口投与する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

ムコダインは、年齢・体重・症状により適宜服用量・回数を増減して用いますので、医師の指示に従うようにしてください。

医師の指示と異なる場合は医師の指示を優先するようにしてください。

ムコダインの副作用

ムコダインの主な副作用として報告されているのは、食欲不振(0.24%)・下痢(0.17%)・腹痛(0.14%)・発疹(0.10%)です。
※ムコダイン錠 250mg、錠 500mg、細粒 50%、K10、シロップ 2%、シロップ 5%、DS 33.3%、DS 50%をあわせた集計。

比較的副作用のでにくい薬であると言えます。

服用している方で、症状悪化や違和感・体調悪化あれば、医師に相談するようにしてください。

ムコダインで気を付けることは?

すぐに効果が期待できるわけではない

ムコダインは効果が実感できるようになるまで、2~3日程度かかります。
体内にムコダイン濃度が十分にあっても、それが粘液の粘り気を弱くしたり、組織修復したりできるまでにタイムラグがあるからです。

1日服用して効果がみられなくても、継続するようにしましょう。
特に、慢性副鼻腔炎の排膿・滲出性中耳炎の排液に用いる場合には、長期間服用することが求められるので、医師の指示に従って継続的に服用するようにしてください。

抗生物質との飲み合せに注意

一部の抗生物質は、ムコダインと一緒に服用すると苦味がでることがあります。
カルボシステインが酸性の物質なので、抗生物質のコーティーングが剥がれてしまい、苦味がでてしまうためです。
代表的な抗生物質としては、クラリスロマイシン(商品名:クラリシッド・クラリスなど)があります。

特にムコダインのドライシロップと抗生物質のドライシロップ・粉は一緒に服用するのではなく、別々に飲ませるようにしてください。

ムコダインの市販薬(OTC)ってあるの?

ムコダインの有効成分カルボシステインを含んだOTCはいくつか販売されています。
たんを切りたい場合は、試してみるのはありだと思います。

症状改善しない場合は、受診するようにしてください。

まとめ

ムコダインは、上気道炎(咽頭炎、喉頭炎)、急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核などの病気における去痰、慢性副鼻腔炎の排膿、滲出性中耳炎の排液の効果がある薬です。
有効成分はカルボシステインです。

カルボシステインには、5つの作用があります。

  • 粘液構成成分調整作用
  • 杯細胞過形成抑制作用
  • 気道炎症抑制作用
  • 粘膜正常化作用
  • 粘液線毛輸送能改善作用

この作用を通じて、痰きり・膿の排泄・滲出液の排泄を促します。

基本的には、1日3回の服用ですが、年齢・症状に合わせて適宜増減されます。
なので、医師の指示に従うようにしてください。

関連する情報

同じく去痰作用をもつ薬

ムコソルバン
ビソルボン
スペリア

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