名前だけでも痛そうな尿路結石にならないためには

はじめに

尿路結石はその名前の通り、尿路(腎臓・尿管・膀胱・尿道)に結石ができてしまい、尿路をふさいでしまう病気です。

非常に強い痛みを伴うことで知られています。
今回は、尿路結石になってしまう原因と、治療方法について説明してきます。

目次

尿路結石ってどんな病気?
尿路結石になる原因
尿路結石の治療方法
尿路結石の治療薬
まとめ

尿路結石ってどんな病気?

尿路結石は、尿路をなんらかの理由で発生した結石が塞いでしまうことにより、激痛を生じる病気です。

腎臓に結石があるときは、痛みなどの症状はでないのですが、その石が尿管に下りてきたときに疝痛発作と呼ばれる激烈な痛みを生じると言われています。

痛みは背中から脇腹、下腹部にかけて生じ、あまりの痛さに吐き気をも伴うことがあるそうです。絶対に味わいたくない痛みですね。

2005年の疫学調査によると、男性は7人に1人程度・女性は15人に1人程度が尿路結石を患うそうで、年々増加傾向にあります。
案外高い確率でなるみたいですね。。。注意が必要です。

尿路結石は、できる石の種類からいくつかに分類されます。

  • シュウ酸カルシウム結石
  • リン酸カルシウム結石
  • リン酸マグネシウムアンモニウム結石
  • シスチン結石
  • 尿酸結石

尿路結石になる原因

結石の種類によって、できる理由は異なります。
それぞれ特有の原因は後述しますが、共通してできやすくなる原因として挙げられるのは、水分摂取不足があります。

水分を取らないと、尿中の結石のもととなる物質の濃度が上がり、結晶化しやすくなります。腎臓機能が低下している人を覗いて、積極的に水分を補給することが望まれます。
目安としては、1日2リットル程度の水分を摂取するとよいとされています。

また、運動を全くしないのもリスクが上がる原因となります。
結晶化は動きがないと促進されやすいためです。
なので、就寝前直前に食事をするのもリスクをあげます。食物に含まれる結石成分が吸収され尿路に排泄されたときに寝ている状態になるため、体の動きに乏しく結晶化のリスクが上がるためです。

それでは、結石の種類によっての原因を解説します。

シュウ酸カルシウム結石

尿路結石において、圧倒的に多い石はこの種類になります。
シュウ酸やカルシウムが尿中に多いとシュウ酸カルシウムが作られやすくなってしまいます。
シュウ酸は、特に有名なのはほうれん草に多く含まれていることがわかっています。
他にも、大根・タケノコ・バナナ・ココア・紅茶・コーヒー・チョコレートなどに比較的多く含まれています。
また、脂質からも体内でシュウ酸が合成されてしまうことがわかっているので、肉も多くは食べないほうがよいでしょう。

カルシウムとシュウ酸を一緒に摂取することで、消化管でシュウ酸カルシウムとなり体内へ吸収されにくくなるので、シュウ酸を多く含む食材を食べるときは、カルシウムを多く含む食材を一緒にたべるとよいでしょう。
尿路で作られてしまうと結石になってしまいますが、消化管にある段階で作られてしまえば、そのまま吸収されず、体外へ排出されます。

リン酸カルシウム結石

リン酸カルシウムは、純粋なこの成分の石は珍しく、シュウ酸カルシウムと混ざってできることが多いです。

シュウ酸カルシウム結石と同じく、カルシウムを多く含んだ尿によって生じることが多いのですが、カルシウムを多く取りすぎないことはもちろん予防につながるのですが、逆に取りすぎないというのも予防につながります。

カルシウムは不思議なもので、あまりに摂取しなさすぎると、骨を溶かすことによってカルシウム生成に体内の機構がシフトし、逆に高カルシウム血症・尿症になることが知られています。

なので、適度にカルシウムを摂取するのが、カルシウムを含んだ結石を作らせないようにするポイントになります。

リン酸マグネシウムアンモニウム結石

この石は、細菌感染によって生じることが知られています。
尿路にプロテウス属、シュードモナス属、クレブシエラ属、ブドウ球菌属、マイコプラズマ属などの細菌が入り込むことによって、尿素がアンモニウムに変えられてしまい、この石を作る原因となります。
尿路感染症にかかりやすい女性のほうが、男性よりも多く罹患する可能性があります。

尿路に入り込んだ細菌を殺すことが、この結石を作らせない方法になります。

シスチン結石

シスチン尿症を患っている方に多く見られます。
シスチン尿症は、先天的な遺伝性疾患で、尿路内に本来は再吸収されるシスチンと二塩基性アミノ酸(リシン、アルギニン、オルニチン)がたまることで結晶化して結石となる病気です。

尿酸結石

血中尿酸値が高いとリスクが上がります。
痛風患っている人が積極的に水分をとったほうがいいのは、結石ができてしまうリスクを下げるためでもあります。

遺伝的な問題、生活習慣(運動しない、カロリー高めの食事)、プリン体を多く含む食品の摂取によって生じます。

尿路結石の治療方法

石の大きさが大きなカギになります。
だいたい10mm程度の大きさであれば、自然に排泄される可能性があるため、鎮痛剤や尿石排出促進薬を服用して、自然に排泄されるのを待ちます。

反対に、10mm以上の石ですと、自然に排泄される見込みがほぼないため、破砕術を行うことになります。
体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術、外科的な手術がありますが、今は患者さんへの負担が少ない体外衝撃波結石破砕術が多くもちいられています。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)とは、衝撃波を利用して石を破砕する方法です。
体をメスで開いたりせずに石を破砕できるので、広く用いられています。
石1点に絞って衝撃波を送り込むので、組織へダメージを与えにくいです。

経尿道的尿管砕石術は、尿道からワイヤーを通して、尿道鏡を入れ、直接レーザー・衝撃波・鉗子(よく手術で使われる、細かいものを掴むハサミみたいなやつ)を用いて、破砕する方法です。

尿路結石の治療薬

尿路結石の治療薬としては、大きく分けると2つに分類されます。

  • 排石促進剤
  • 鎮痛剤

排石促進剤は、その名前の通り尿路にある石の排泄を促進する薬です。
ウロカロン(一般名:ウラジロガシエキス)、ウラリット(一般名:クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム水和物配合製剤)ハルナール(一般名:タムスロシン)が用いられることがあります。

尿路結石は痛みを伴うので、その痛みを抑える薬も多く用いられます。
チアトン(一般名:チキジウム臭化物)、ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)・ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)・ブルフェン(一般名:イブプロフェン)などのNSAIDs系鎮痛薬、あまりに痛みがひどいときは、モルヒネなどのオピオイド系鎮痛薬を用いることもあります。
座薬のほうが即効性があるので、痛いときの頓用として、座薬の痛み止めが用いられます。

まとめ

尿路結石は様々な理由で尿路に石が生じ、それが排泄されるときに尿路を塞いでしまうことにより、痛みを生じさせます。
水分をしっかりとる、原因となる物質が多く含まれた食べ物を控える、食生活を見直すことで発生可能性を抑えることができます。

薬物治療としては、排泄促進剤や痛み止めが用いられます。
外科的な手法として、体外衝撃波結石破砕術と経尿道的尿管砕石術などの、石を砕く治療法も、石の大きさに応じて用いられます。

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