【バルトレックス(バラシクロビル)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

帯状疱疹・みずぼうそう、口唇・性器ヘルペス治療に用いられるバルトレックス。
錠剤と顆粒製剤が販売されています。

今回は、バルトレックスについて、効果効能・注意点・副作用などのついて、説明していきます。

目次

バルトレックスってどんな薬?
バルトレックスってどうやって効くの?
バルトレックスの用法・用量
バルトレックスの副作用・注意点
まとめ

バルトレックスってどんな薬?

バルトレックスは、抗ヘルペスウイルス作用を持つ薬で、2000年10月に錠剤が、2002年7月に顆粒が販売開始されました。

効能又は効果

単純疱疹
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制
帯状疱疹
水痘
性器ヘルペスの再発抑制
引用:バルトレックス 添付文書

帯状疱疹と水疱瘡、そして口唇・性器ヘルペスに効くなんてはばひろいなーと思うかもしれませんが、実はこれらの病気は同じ科に所属するウイルスが原因となります。
それは、ヘルペスウイルス科で、2本鎖DNAをもつDNAウイルスの一つです。

口唇ヘルペスの原因となるのが、単純ヘルペスウイルス1型(Human herpesvirus 1:HHV-1、herpes simplex virus-1:HSV-1)
性器ヘルペスの原因となるのが、単純ヘルペスウイルス2型(Human herpesvirus 2:HHV-2、herpes simplex virus-2:HSV-2)
どちらも、ヘルペスウイルス科単純ウイルス属に属します。
(最近では、単純ヘルペスウイルス1型が性器に感染したり、その逆も見られます)

水疱瘡や帯状疱疹の原因となるのが、水痘・帯状疱疹ウイルス(Human herpesvirus 3:HHV-3、varicella zoster virus:VZV)
ヘルペスウイルス科バリセロウイルス属に属します。

そう、水疱瘡と帯状疱疹の原因となるウイルスは実はおんなじなのです。
子供のときにウイルスに感染すると水疱瘡となり、活動が収まるとウイルスは体内の神経節に居座り続け、体調悪化や高齢化などで免疫が弱ってくると活動を再開して、帯状疱疹を引き起こします。

バルトレックスってどうやって効くの?

作用部位・作用機序
バラシクロビルはアシクロビルのプロドラッグであり、投与後、速やかにアシクロビルに変換されて抗ウイルス作用を発現する。
アシクロビルは、単純ヘルペスウイルス 1 型(HSV-1)、同 2 型(HSV-2)、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が感染した細胞内に入ると、ウイルス性チミジンキナーゼ(TK)により一リン酸化された後、細胞性キナーゼによりリン酸化され、アシクロビル三リン酸(ACV-TP)となる。
ACV-TPは正常基質であるデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)と競合してウイルス DNA ポリメラーゼによりウイルス DNA の 3’末端に取り込まれると、ウイルス DNA 鎖の伸長を停止させ、ウイルス DNA の複製を阻害する。

アシクロビルリン酸化の第一段階である一リン酸化は感染細胞内に存在するウイルス性 TK によるため、ウイルス非感染細胞に対する障害性は低いものと考えられる。
引用:バルトレックス インタビューフォーム

バラシクロビルは、体内に吸収された後に肝臓にて、アシクロビルに姿を変えます。
アシクロビルそのまま飲んでもいいんじゃない?と思うかもしれませんが、アシクロビルよりもバラシクロビルのほうが、体内への移行がスムーズになるように設計されているため、服用する量が少なくてすみます。
※余談ですが、アシクロビルはゾビラックスという商品名で販売されています。バラシクロビルの登場で見る影がなくなりつつありますが・・・。

アシクロビルは体内の細胞全体に行き渡りますが、ウイルスに感染している細胞に入ると、活性化してアシクロビル三リン酸となります。
ウイルスに感染している細胞に多く含まれる、ウイルス性チミジンキナーゼによりこの活性化の第一段階が行われます。

このように、異常がある細胞特有に発現している酵素などを利用して活性化させることにより、異常がない普通の細胞に毒性を与えるのを最小限にとどめる工夫がされています。

アシクロビル三リン酸は、DNAの原料であるデオキシグアノシン三リン酸と似た構造をしているため、代わりにDNA合成の原料として用いられます。
だがしかし、アシクロビル三リン酸が原料として用いられると、そのDNAはその時点で合成がストップしてしまいます。

このようにして、DNAの増殖の源であるDNA合成をストップさせ、ウイルスを死滅させる効果があります。

バルトレックスの用法・用量

用法及び用量
バルトレックス錠[成人]

病気 用量 用法 備考
単純疱疹 バラシクロビルとして1回500mg 1日2回
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制 バラシクロビルとして1回500mg 1日2回 造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与
帯状疱疹 バラシクロビルとして1回1000mg 1日3回
水痘 バラシクロビルとして1回1000mg 1日3回
性器ヘルペスの再発抑制 バラシクロビルとして1回500mg 1日1回(HIV 感染症の患者(CD4リンパ球数 100/mm3以上)は1日2回)

バルトレックス錠[体重 40kg 以上の小児]

病気 用量 用法 備考
単純疱疹 バラシクロビルとして1回500mg 1日2回
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制 バラシクロビルとして1回500mg 1日2回 造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与
帯状疱疹 バラシクロビルとして1回1000mg 1日3回
水痘 バラシクロビルとして1回1000mg 1日3回
性器ヘルペスの再発抑制 バラシクロビルとして1回500mg 1日1回(HIV 感染症の患者(CD4リンパ球数 100/mm3以上)は1日2回)

バルトレックス顆粒[小児]

病気 用量 用法 備考
単純疱疹(体重10kg未満) 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日3回
単純疱疹(体重10kg以上) 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日2回 1回最高用量は500mg
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制(体重10kg未満) 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日3回 造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与
造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制(体重10kg以上) 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日2回 造血幹細胞移植施行7日前より施行後35日まで経口投与・1 回最高用量は 500mg
帯状疱疹 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日3回 1回最高用量は1000mg
水痘 体重1kg当たりバラシクロビルとして1回25mg 1日3回 1回最高用量は1000mg
性器ヘルペスの再発抑制 体重40kg以上の小児にはバラシクロビルとして1回500mg 1日1回(HIV 感染症の患者(CD4リンパ球数 100/mm3以上)は1日2回)

※なお、「性器ヘルペスの再発抑制」については、疾患の性格上適応となる小児は主に中学生以上と考えられることから、体重 40kg 以上の小児に対する用法・用量のみ設定した。
引用:バルトレックス インタビューフォーム

バルトレックスは、使用する疾患に応じて量を変化させる薬です。
また、小児については、その体重に応じても量を変えて、適性な量で治療を進めます。

余談:バルトレックスの錠剤の大きさ

余談ですが、バルトレックスは錠剤がでかいです。ほんとでかいんです。
長径:18.5mm 短径:7.3mm 厚さ:6.1mm

一番飲まれているだろう、ロキソニンはこちらの大きさ。
直径:9.1mm 厚さ:3.3mm

バルトレックスは楕円形の形をした錠剤ですが、その長径はロキソニン2個分を超えます。
小さいお子さんではまず飲み込めませんし、嚥下力が低下した高齢者の方もしんどいレベルです。

では、かみ砕いて服用すればいいのでしょうか?
ぜえええったいだめです。
何を隠そう、バルトレックスは苦いんです。ほんと苦いんです。
なので、かみ砕くことなくいっきに飲み込んでください。

バルトレックスの副作用・注意点

バルトレックスの副作用として、主に報告されているのは、吐き気・下痢頭痛・眠気・肝機能検査値の上昇です。

服用していて、体調悪化があれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。

バルトレックスは、腎臓を通り尿から排泄される薬なので、腎機能が低下している高齢者の方などでは、量を少なめにする必要があります。

まとめ

バルトレックスは、ヘルペスウイルス科のウイルス感染症に効果がある飲み薬です。
ヘルペスウイルス科のウイルスが原因となる病気には、帯状疱疹・みずぼうそう、口唇・性器ヘルペスなどがあります。

ウイルスをしっかり殺しきるためにも、しっかり忘れずに服用するようにしましょう。

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