病院で診察してもらうと、たいていの場合「処方せん」をもらうと思います。
その「処方せん」を持って、近くの保険薬局に行き、調剤をしてもらうと「お薬」が手に入ります。
多くの人は、どの薬局に行っても値段は一緒だと思っているかもしれませんが、実はすこしだけ違います。
何で違うのでしょうか?今回は、お薬代の内訳について書いていこうと思います。
お薬代の内訳(平成24年4月1日施行、調剤報酬点数表に基づく)
①調剤技術料
調剤基本料
各種加算(基準調剤加算1・2、後発医薬品調剤体制加算1・2・3)
調剤料
②薬学管理料
③薬剤料(医薬品の製品代)
④特定保険医療材料料(医療機器の製品代)
調剤報酬点数=①+②+③+④
調剤報酬は点数で計算され、1点=10円で円に換算されます。
①は調剤行為に対する報酬
②は医薬品を安全に適切に使用できるような情報提供等に対する報酬
③④は医薬品や医療機器のそのものにかかっている代金
となっています。
ここで、薬局ごとに異なるは①の部分です。
異なるポイントは
調剤基本料
調剤基本料は基本的には受付1回につき40点ですが
月4000回を超える受付を行っていてかつ、集中率(一つの医療機関による処方せん調剤の割合)が70%を超える保険薬局では、受付1回につき24点となります。
大きい病院の門前薬局(病院の目の前に建っている薬局)だと、24点になるイメージです。
※処方せん受付回数について
同じ医療機関から発行された処方せんを同じ日に受付すると1回です。(A総合病院の内科と外科の処方せんを、Y薬局に同じ日に持って行けば、受付回数1回です。)
同じ医療機関でも、歯科と口腔外科は別受付になります。(A総合病院の内科と歯科の処方せんを、Y薬局に同じ日に持って行くと、受付回数2回です。)
複数の医療機関から発行された処方せんを同じ日に受付しても、それぞれ別受付となります。(A総合病院とB医院の処方せんを、Y薬局に同じ日に持って行くと、受付回数2回です。)
同じ医療機関で同じ日の受付でも、病態が急変して新たに処方せんを持ってきた場合は別受付となります。(B医院で午前中に、定期的に飲んでる薬の処方せんをもらいY薬局で薬を調剤してもらったが、午後に急に体調が悪くなりB医院で風邪薬を処方してもらいY薬局で薬を調剤してもらうと、受付回数2回です。)
加算(基準調剤加算1・2、後発医薬品調剤体制加算1・2・3)
薬局は、加算基準を満たしていると、基準に応じた点数加算を調剤報酬につけることが出来ます。
基準調剤加算1⇒10点
基準調剤加算2⇒30点
加算基準については省略しますが、基準調剤加算2を算定できるのは大きい病院の門前薬局だと思います。
後発医薬品調剤体制加算1⇒5点
後発医薬品調剤体制加算2⇒15点
後発医薬品調剤体制加算3⇒19点
これは後発医薬品の調剤数量によって加算がつきます。後発医薬品というのは、ジェネリック医薬品ともいい、先発医薬品の特許が切れた後に、他の製薬会社が製造した医薬品です。
この後発医薬品を積極的に調剤している薬局のほうが、加算点数を多くとることが出来ます。
この加算は、薬局ごとの運営方針によるので、規模的な話で加算点数が異なるとは一概に言えません。
予製剤
予製剤というのは、よく出される調剤のために、患者さんが処方せんを持ってくる前にあらかじめ調剤をしておいて準備しておいたもののことを指します。
自家製剤加算(錠剤を散剤にしたりなど売られている薬で対処できない調剤をしたときにつける加算)と計量混合加算(2種類以上の液剤・散剤・顆粒剤・軟膏等を計量して、混ぜた時につける加算)の点数をつける際に、予製剤の場合、加算点数を100分の20にしなくてはいけないとあります。
正直、患者さん側からですと事前に作り置きされたものか、今作ったものなのかなんてこと、確かめようがないので、非常に分かりづらい算定基準となっています。
薬局ごとというよりも、その時その時で加算される点数が異なります。
大きくこの3点が薬局ごとにお薬代が異なる原因となります。
ちなみにですが、本来算定できる点数を安く提供したいがために、算定しないのは法律で禁じられています。
お薬をもらうときに、少し気にしてみると面白いかもしれませんね。
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