はじめに
デジコビ配合錠は、HIV-1感染症の治療薬として用いられれる薬です。
エムトリシタビンとテノホビル アラフェナミドの2つの成分が配合されています。
テノホビルの含有量によって、LTとHTの2つの種類があります。
今回は、デシコビ配合錠LT・HTについて、その効果効能と副作用や注意点について紹介していきたいと思います。
目次
デシコビ配合錠ってどんな薬?
デシコビ配合錠ってどうやって効くの?
デシコビ配合錠の用法・用量
デシコビ配合錠の副作用
デシコビ配合錠の注意点
まとめ
デシコビ配合錠ってどんな薬?
デシコビ配合錠は、HIV-1感染症の治療薬です。
有効成分は、エムトリシタビンとテノホビル アラフェナミドで、日本では2017年1月に販売が開始されました。
エムトリシタビンはエムトリバという名前で、テノホビルはビリアード・テノゼット(※これらは、【テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩】なので、デシコビ配合錠に含まれている【テノホビル アラフェナミドフマル酸塩】とは、正確に言えば同じ薬ではない。テノホビル アラフェナミドフマル酸塩の方が改良されて良い成績を収めている。)という名前で、すでに販売されています。
飲み忘れや服用の手間を軽減するために、配合剤にしたといったところです。
HIVは多剤併用が薬物治療の基本なので、少しでも患者さんの手間・コンプライアンス向上に寄与できればという思いがあるのでしょう。
効能又は効果
HIV-1感染症効能又は効果に関連する使用上の注意
本剤による治療にあたっては,患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
引用:デシコビ配合錠 添付文書
HIV感染症
かつては不治の病としてその名をとどろかせていたHIV感染症。
でも今は、治るとまではいかないまでも、AIDSの発症をかなり遅らせることができるようになっています。
HIVは、Human Immunodeficiency Virusの略であり、ヒト免疫不全ウイルスのことを指します。
HIVに感染した後に、潜伏期間を経て、AIDS(Acquired immune deficiency syndrome)つまり後天性免疫不全症候群を引き起こすことがわかっています。
HIVには型(種類)があり、大きく分けるとHIV-1とHIV-2にわけられます。
HIV-1の方が世界的に流行っているタイプであり、HIV-2の日本で報告されている感染者は数名と数えるほどしかいません。
HIVは変異(遺伝子構造を変化させること)が多いウイルスであり、ワクチンを作るのが非常に困難とされています。
薬物治療は、HAART療法と呼ばれる多剤併用が基本であり、複数の種類の抗HIV薬を一緒に服用します。別名カクテル療法ともよばれたりします。
突然変異が多いHIVなので、単体の薬物治療だとその薬物に薬剤耐性をもってしまう可能性が高くなり、ウイルスの増殖を止めることができなくなってしまいます。
そのため、いくつかの効果の抗HIV薬を服用することで、薬剤耐性を作らせる暇なく叩きのめすという戦法がとられます。
デシコビ配合錠ってどうやって効くの?
デシコビ配合錠には、2つの有効成分が含まれているので、それぞれの効果を説明していきます。
エムトリシタビン
エムトリシタビンは、遺伝子を構成するシチジンという物質に近い構造を持ちます。
そのため、HIVの情報をコピーする作業工程において、シチジンの代わりにエムトリシタビンが取り込まれます。
構造は似てるものの、エムトリシタビンはシチジンとは異なり、遺伝子の作成をストップさせる効果があります。
そのため、HIVは自分のコピー遺伝子を作ることができず、増殖できないことになります。
テノホビル アラフェナミド
テノホビルは、遺伝子を構成するアデノシンという物質に近い構造を持ちます。
そのため、HIVのコピーを作る際に、アデノシンにとって代わり作成中の遺伝子に入り込みます。
テノホビルもまた、遺伝子の作成をストップさせる効果を有するので、遺伝子のコピーを行うことができず、ウイルスの増殖を食い止めることができます。
デシコビ配合錠の用法・用量
用法及び用量
通常,成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には,以下の用法・用量で経口投与する。投与に際しては,必ず他の抗HIV薬と併用すること。1.リトナビル又はコビシスタットと併用する場合は,デシコビ配合錠LT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。
2.リトナビル又はコビシスタットと併用しない場合は,デシコビ配合錠HT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。
引用:デシコビ配合錠 添付文書
1日1回服用する薬で、何を併用するかでデシコビ配合錠LTとHTを使い分けます。
デシコビ配合錠の副作用
副作用
本剤投与時:抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者を対象とした本剤の海外臨床試験(投与後48週時)において,333例中31例(9.3%)に副作用が認められた。主な副作用は,悪心4例(1.2%),下痢4例(1.2%)等であった。(承認時)
引用:デシコビ配合錠 添付文書
悪心や下痢などの消化器症状が多く報告されています。
これだけではなく、様々な症状の副作用が報告されているので、服用されている方で体調不良、違和感を感じたら医師に相談するようにしましょう。
デシコビ配合錠の注意点
デシコビ配合錠をはじめとする、抗HIV治療薬は複数の薬をきちっと服用することがとても大事になります。
サボればウイルスの増殖を止められなくなる上、耐性ウイルスの出現の可能性も高まります。
つまり、自分自身の命を削るだけでなく、耐性ウイルスの出現という人類全体に悪い影響を及ぼしてしまいます。
必ず、決められた時間に、決められた薬を服用するようにしましょう。
デシコビ配合錠には、一緒に服用することができない薬が設定されています。
なので、別の医療機関を受診する際などには、この薬を服用していることをきちんと明示するようにしましょう。
まとめ
デシコビ配合錠は、抗HIV治療薬です。
2つの有効成分エムトリシタビンとテノホビル アラフェナミドを含んでいます。
どちらも、HIV感染細胞に吸収され、遺伝子のコピーを阻害する物質として作用することで、HIVの増殖を阻止することができます。
抗HIV治療薬は複数の薬を同時に服用し続ける療法(HAART療法・カクテル療法)を採用しているので、飲み忘れがないように管理することが必要です。
服用にさいしては医師の指示どおり服用するようにしましょう。
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