【エンシュアリキッド・エンシュアH】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

経腸栄養剤として用いられるエンシュア・リキッド、エンシュア・Hについて紹介します。
固形の食事を取ることができない方や、普通の食事量が少ない方のエネルギー源補充の目的で用いられます。
そのまま服用することもできますし、管を使って流し込むこともできます。

目次

エンシュアってどんな薬?
エンシュアの効果・効能
エンシュアの副作用・注意点
エンシュアの薬価
まとめ
関連情報

エンシュアってどんな薬?

エンシュアは、経腸栄養剤として用いられている薬です。
経口(普通に飲む)でも良いですし、経管(鼻や口から管を腸まで入れる)でも用いられる薬です。

エンシュアには、エンシュア・リキッドとエンシュア・Hという2つのタイプがあります。
これらの違いは、含まれている栄養成分の量が異なる点にあります。
エンシュア・Hのほうが、同じ量を摂取しても、カロリーが高くなっています。

エンシュア・リキッドのカロリーが、250kcal/250mL
エンシュア・Hのカロリーが、375kcal/250mL
です。

また、それぞれ、味のバリエーションがあり、
エンシュア・リキッドにはバニラ味、コーヒー味、ストロベリー味
エンシュア・Hにはバニラ味、コーヒー味、バナナ味、黒糖味、メロン味、ストロベリー味
があります。

比較的長期間に渡り服用するため、一つだけの味だとすぐに飽きてしまうので、バリエーションを揃えて飽きさせない工夫がなされています。

日本では、エンシュア・リキッドが1988年6月に、エンシュア・Hが1995年10月に販売開始されました。

エンシュアの効果・効能

エンシュア・リキッドの効果・効能

■効能・効果
一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する。
引用:エンシュア・リキッド 添付文書

エンシュア・Hの効果・効能

■効能・効果
一般に,手術後患者の栄養保持に用いることができるが,特に長期にわたり,経口的食事摂取が困難で,単位量当たり高カロリー(1.5kcal/mL)の経腸栄養剤を必要とする下記の患者の経管栄養補給に使用する。
1)水分の摂取制限が必要な患者(心不全や腎不全を合併している患者など)
2)安静時エネルギー消費量が亢進している患者(熱傷患者,感染症を合併している患者など)
3)経腸栄養剤の投与容量を減らしたい患者(容量依存性の腹部膨満感を訴える患者など)
4)経腸栄養剤の投与時間の短縮が望ましい患者(口腔外科や耳鼻科の術後患者など)
引用:エンシュア・H 添付文書

どちらも、栄養保持に用いられます
手術後とありますが、手術後ではなくても使われるケースが多い気がします。
食事の量を食べられないご高齢の方、摂食制限がある方、嚥下(飲み込み)力が低下してしまった方の栄養補助剤って感じです。

エンシュア・Hのほうが、同じ量でもハイカロリーなので、より栄養を補給したい方や水分摂取制限の方、経腸投与を用いるときの利便性向上のために用いられます。

エンシュア・リキッド、エンシュア・Hともにカロリーだけではなく、ビタミンやミネラル、タンパク質がバランスよく含まれています。
ただし、セレンをはじめとする微量な元素・ミネラルが不足する可能性があるので、追加でビタミン剤を服用したりすることがあります。

含有されているタンパク質・糖質・脂質について

エンシュア・リキッドの効果・効能

タンパク質

乳タンパク質と大豆タンパク質を87.3:12.7の割合で配合
250mL中8.8g(エネルギー構成比14.0%)
必須アミノ酸/総アミノ酸比は0.409であり、アミノ酸スコアは100
アミノ酸スコアは、窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が基準値と比較してどの程度含有されているかを評価した値であり、100が最も良いです。

糖質

デキストリンとショ糖を71:29の割合で配合
250mL中34.3g(エネルギー構成比54.5%)
乳糖を含んでいないので、乳糖を摂取すると下痢になる乳糖不耐症の方にも用いることができます。

脂質

脂質はとうもろこし油から主に作られています。
250mL中8.8g(エネルギー構成比31.5%)
本剤2,000kcal中のコレステロール含量は20mg以下である

必須脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸を含んでいます。
ほどよく懸濁してあるので、消化されやすい工夫がされています。

水分量

本剤250mL中の水分量は213mL

エンシュア・Hの効果・効能

タンパク質

乳たん白質と大豆たん白質を87.3:12.7の割合で配合
250mL中13.2g(エネルギー構成比14.0%)
必須アミノ酸/総アミノ酸比は0.409
アミノ酸スコアは100

糖質

デキストリンとショ糖を81:19
250mL中51.5g(エネルギー構成比54.5%)
乳糖を含まないので,乳糖不耐症にも使用できる

脂質

主要な脂肪源はトウモロコシ油
250mL中13.2g(エネルギー構成比31.5%)
本剤2,000kcal中のコレステロール含量は20mg以下である

水分量

本剤250mL中の水分量は194mL

エンシュアの副作用・注意点

牛乳由来のカゼインというタンパク質が含まれているので、牛乳アレルギーの方には使うことはできません。
牛乳アレルギーの方は、事前に医師に申し出ておきましょう。

また、外国において、妊婦にビタミンAを多量に摂取したときに、奇形が発生したとの報告があったので、ビタミンAの投与は5,000 IU/日未満とするよう、注意喚起がされております。
この量は、エンシュア・リキッドで2000mL、エンシュア・Hで1332mLとなります。
(妊婦の方にここまでの量のエンシュアがでることは、ほぼないと考えられます)

副作用としてよく生じるのが、【下痢】です。
エンシュアは高張液(濃い液体のこと)の液体なので、お腹のなかで浸透圧の関係により、体内より水分を腸管へ移動させてしまう効果があります。
なので、腸管内が水分過剰となってしまい下痢が起こりやすくなります。
ただ、この下痢は服用を続けることで体が慣れ、徐々に緩和されていくケースが多いです。

エンシュアの薬価

エンシュア・リキッドの薬価が、0.54円/mL
エンシュア・Hの薬価が、0.95円/mL
となります。
※2018年4月1日診療報酬改定からの価格。次の改定でまた値段が変わる可能性があります。

標準量であるエンシュア・リキッド(1日1500~2250mL)、エンシュア・H(1日1000~1500mL)に換算すると、
エンシュア・リキッドが、810円~1215円/日
エンシュア・Hが、950円~1425円/日
となります。

もちろん、保険が適用となっている場合は、1割~3割負担となります。
また、標準量を絶対飲まなくてはいけないというわけではなく、食事の栄養補助という役割で用いる場合は、1日1缶だけという場合ももちろんあります。

まとめ

エンシュアは、経腸栄養剤で、カロリーやタンパク質、ミネラル・ビタミンがバランスよく含まれています。
それぞれ、味がいくつか用意されており、飽きさせない工夫がされています。

関連情報

経口・経腸栄養剤

ラコールNF配合経腸用液

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る