はじめに
カネミ油症事件とは、昭和43年10月に発生した食中毒事件です。
米ぬか油を製造する際に、有害物質が混入してしまったことにより生じました。
今回は、カネミ油症事件について、解説していきます。
目次
カネミ油事件って?
カネミ油患者認定要件
カネミ油による健康被害
カネミ油被害者の救済
まとめ
カネミ油事件って?
カネミ油事件は、昭和43年10月に、西日本を中心に広い範囲で発生した食中毒事件です。
原因は、カネミ倉庫社が製造した米ぬか油(ライスオイル)の製造工程において、カネクロールという物質が混入してしまい、その結果ポリ塩化ビフェニル(PCB)やダイオキシンの一種であるポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が含有されてしまったことによります。
平成28年3月末時点で、2289人の方が認定されています。
カネミ油患者認定要件
重要な所見
1.ざ瘡様皮疹
顔面、臀部、そのほか間擦部などにみられる黒色面皰、面皰に炎症所見の加わった
もの、および粥状内容物をもつ皮下嚢胞とそれらの化膿傾向。
2.色素沈着
顔面、眼瞼結膜、歯肉、指趾爪などの色素沈着(いわゆるブラックベイビーを含む)
3.マイボーム腺分泌過多
4.血液 PCB の性状および濃度の異常
5.血液 PCQ の濃度の異常(参照1)
6.血液 2,3,4,7,8-pentachlorodibenzofuran (PeCDF)の濃度の異常(参照 2)
参考となる症状と所見
1.自覚症状
1)全身倦怠感 4)眼脂過多 7)月経の変化
2)頭重ないし頭痛 5)せき、たん
3)四肢のパレステジア(異常感覚) 6)不定の腹痛
2.他覚的所見
1)気管支炎所見 6)血清ビリルビンの減少
2)爪の変形 7)新生児の SFD(Small-For-Dates Baby)
3)粘液嚢炎 8)小児では、成長抑制および歯牙異常
4)血清中性脂肪の増加 (永久歯の萌出遅延)
5)血清γ-GTP の増加
参照 1 血中 PCQ の濃度は以下のとおりとする。
(1) 0.1 ppb 以上 :高い濃度
(2) 0.03 ~ 0.09 ppb :(1)と(3)の境界領域濃度
(3) 0.02 ppb(検出限界)以下 :通常みられる濃度
参照 2 血中 2,3,4,7,8-PeCDF の濃度は以下のとおりとする。
(1) 50pg/g lipids 以上 :高い濃度
(2) 30pg/g lipids 以上、50pg/g lipids 未満 :やや高い濃度
(3) 30pg/g lipids 未満 :通常みられる濃度
また、年齢・性別についても勘案して考慮する。
註1.以上の発病条件と症状、所見を参考にし、受診者の年齢および時間的経過を考慮のう
え総合的に診断する。
2.この診断基準は油症であるか否かについての判断の基準を示したものであって必ずし
も油症の重症度とは関係ない。
3.血液PCBの性状と濃度の異常および血液2,3,4,7,8-pentachlorodibenzofuran (PeCDF)
の濃度の異常については、地域差、職業などを考慮する必要がある。
4.測定は油症研究班が適切と認めた精度管理が行われている検査機関にて行う。
引用:油症診断基準 (2012 年 12 月 3 日追補)
にきび、色素沈着などの皮膚症状のほか、血液内にPCBやPCDFとその代謝物がどの程度含まれているのか、そのほか、自覚症状やそのほかの身体的所見をもとにして判断されます。
カネミ油による健康被害
PCBやPCDFは、吹き出物・色素沈着といった皮膚症状、倦怠感・しびれ感などといった全身症状を引き起こします。
また、これらの物質は、体内に長く貯留する性質を持っているので、長期間に渡り有害作用に苦しむことになります。
カネミ油被害者の救済
カネミ油症と認定された場合は、原因を作ったカネミ倉庫株式会社から、自己負担分の費用が支払われます。
カネミ倉庫株式会社と提携している一部医療機関では、窓口の自己負担なく治療をうけることができます。
また、患者の方は毎年検診を受けることができます。
まとめ
カネミ油症事件とは、昭和43年10月に発生した食中毒事件です。
米ぬか油にダイオキシンなどの有害物質が混入したことで、健康被害を生じさせました。
患者認定をされた場合の医療費の自己負担分は、原因となった会社が支払うようになっています。
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