はじめに
メルカゾールは甲状腺機能亢進症の治療に用いられる薬です。
甲状腺に腫瘍が生じてそこから甲状腺ホルモンが放出されるプランマー病や、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうバセドウ病などがあります。
今回はメルカゾールの効果効能、副作用や注意点について紹介します。
目次
メルカゾールってどんな薬?
メルカゾールって何の病気に使えるの?
メルカゾールってどうやって効くの?
メルカゾールの一般的な使う量と回数
メルカゾールの副作用
メルカゾールで気を付けることは?
メルカゾールのジェネリック(GE)ってあるの?
メルカゾールの市販薬(OTC)ってあるの?
まとめ
メルカゾールってどんな薬?
メルカゾールは有効成分チアマゾールの甲状腺機能亢進症の薬です。
甲状腺ホルモンの生成を抑制する働きがあります。
日本では、錠剤が1956年7月に販売が開始されました。
効能又は効果
甲状腺機能亢進症
引用:メルカゾール 添付文書
メルカゾールって何の病気に使えるの?
メルカゾールは、甲状腺機能亢進症に用いる薬です。
甲状腺機能が亢進してしまう代表的な病気として、バセドウ病があります。
バセドウ病
バセドウ病は、甲状腺に対する自己抗体(TSH受容体抗体)が生成されてしまうことで、甲状腺が増殖・肥大する病気です。
Ⅴ型アレルギーに分類される、自己免疫性の疾患です。
甲状腺の肥大・眼球突出・頻脈がバセドウ病の3大症状です。
その他、甲状腺ホルモンは、体を活発にさせる効果があるため、バセドウ病の方は、動悸・汗かきになる・体重減少(エネルギーを使い続けるため)・手のふるえなどの症状が生じます。
メルカゾールってどうやって効くの?
メルカゾールの有効成分チアマゾールは、甲状腺ホルモンの生成を抑制する効果があります。
甲状腺ホルモンは、ヨウ素+チロシン→モノヨードチロシン→ジヨードチロシン→トリヨードチロニンやチロキシンのような合成経路をたどって作られます。
(トリヨードチロニンやチロキシンのことを甲状腺ホルモンと呼びます)
チアマゾールは、ヨウ化物(ヨウ素の供給源)を酸化させることで、ヨウ素にする反応や、モノ及びジヨードチロシンからチロキシン及びトリヨードチロニンを作る反応を抑えることで、抗甲状腺作用を示します。
メルカゾールの一般的な使う量と回数
用法及び用量
チアマゾールとして、通常成人に対しては初期量1日30mgを3~4回に分割経口投与する。症状が重症のときは、1日40~60mgを使用する。
機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間ごとに漸減し、維持量1日5~10mgを1~2回に分割経口投与する。通常小児に対しては初期量5歳以上~10歳未満では1日10~20mg、10歳以上~15歳未満では1日20~30mgを2~4回に分割経口投与する。
機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間ごとに漸減し、維持量1日5~10mgを1~2回に分割経口投与する。通常妊婦に対しては初期量1日15~30mgを3~4回に分割経口投与する。
機能亢進症状がほぼ消失したなら、1~4週間ごとに漸減し、維持量1日5~10mgを1~2回に分割経口投与する。正常妊娠時の甲状腺機能検査値を低下しないよう、2週間ごとに検査し、必要最低限量を投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
引用:メルカゾール 添付文書
チアマゾールは、初期に一気に甲状腺機能を抑えるために、多めの量を服用し、機能亢進状態が落ち着いたら量をだんだんと少なくし、少なめの維持量でコントロールする薬です。
血液検査の結果と照らし合わせての処方となるので、飲み忘れには他の薬以上に注意が必要となります。
メルカゾールの副作用
メルカゾールの副作用として、悪心・嘔吐、下痢、脱毛・そう痒感・紅斑、頭痛・めまい、発疹・蕁麻疹、こむら返り・筋肉痛、浮腫・唾液腺肥大などがあります。
ホルモン分泌が調節されるので、比較的全身的に副作用が生じる可能性があります。
使用に際して、体調悪化や違和感あれば、すぐに医師に相談するようにしてください。
メルカゾールは、血液検査の値によって量を調節したりするコントロールがだいじな薬なので、自己判断で中止しないようにしてください。
メルカゾールで気を付けることは?
飲み忘れ・自己判断での中止はNG
甲状腺ホルモン値をきちんとコントロールするためにも、飲み忘れや自己判断での中止はダメです。
医師は薬をきちんと服用している前提で血液検査の結果を信じて処方量を決めるので、飲み忘れなどあると、適切な量ではなくなり、副作用の懸念が高くなります。
無顆粒球症の初期症状に注意
メルカゾールの重篤な副作用に、無顆粒球症があります。
無顆粒球症は、白血球の構成要素である顆粒球(特に好中球)がほとんどなくなってしまう病気です。
初期症状として、風邪のような症状、喉の痛み、全身倦怠感などがあります。
こうした初期症状があれば、直ちに医師に相談・受診するようにしてください。
妊娠を希望する場合は医師に事前に相談
メルカゾールは胎児に影響を与えることが分かっています。
影響を最小限にするために、投与量を減らしたり、調節をする可能性もあるので、事前に申し出ておいたほうがよいです。
併用薬に注意
併用する薬に影響を与える可能性があるので、服用している薬はおくすり手帳を活用するなどして、ひとまとめにしておき、医師・薬剤師に確認してもらうとよいでしょう。
メルカゾールのジェネリック(GE)ってあるの?
メルカゾールは、まだジェネリックが販売されていません。
メルカゾールの市販薬(OTC)ってあるの?
投与量の調節が必要となるので、OTCにはならない可能性が高いです。
まとめ
メルカゾールは、甲状腺機能亢進症の治療薬です。
バセドウ病をはじめ、甲状腺の機能がなんらかの利用で亢進してしまった患者さんに用いられます。
有効成分はチアマゾールで、甲状腺ホルモンの生成を抑える効果があります。
使用に際しては、医師の指示に従って、飲み忘れなく服用するようにしてください。
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