はじめに
ムコスタは、胃炎・胃潰瘍の治療薬として用いられている薬です。
錠剤と顆粒があります。有効成分はレバミピドです。
今回はムコスタ錠・顆粒について、その効果効能、副作用や注意点について紹介していきます。
目次
ムコスタ錠・顆粒ってどんな薬?
ムコスタ錠・顆粒ってどうやって効くの?
ムコスタ錠・顆粒の用法・用量
ムコスタ錠・顆粒の副作用
ムコスタ錠・顆粒の注意点
まとめ
ムコスタ錠・顆粒ってどんな薬?
ムコスタ錠・顆粒は、胃炎・胃潰瘍の治療薬として用いられます。
添付文書上記載はないのですが、NSAIDs系の鎮痛薬の副作用である胃腸障害から守るために、一緒に投与されることもあります。
NSAIDs系鎮痛薬で胃腸が痛くなる理由の解説はこちら→鎮痛薬のロキソニンを飲むと、お腹・胃が痛くなることがあるのはなぜ?
有効成分はレバミピドです。
ムコスタは日本では、錠剤が1990年12月に、顆粒が2003年9月に販売開始されました。
効能又は効果
胃潰瘍
下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
引用:ムコスタ錠・顆粒 添付文書
胃潰瘍や胃炎などの胃障害を修復する効果があります。
ムコスタ錠・顆粒ってどうやって効くの?
ムコスタの有効成分であるレバミピドは、実に様々な効果をもたらしその総合として、胃炎や胃潰瘍を修復することができます。
粘液増加 | 胃の粘液は、胃酸・ペプシンといった攻撃因子(胃を障害する因子)から胃を守る大事な物質です。胃粘膜を合成する酵素の働きを高めることにより、粘液を増加させる効果があります。 |
プロスタグランジン生合成促進 | プロスタグランジン、特にプロスタグランジンE2を増加させます。プロスタグランジンE2には胃粘膜保護作用があります。 |
細胞増殖促進 | 細胞増殖を促進することで、傷ついた胃表面を修復する能力を高めます。 |
損傷修復促進 | 傷ついた部分の治癒を促進する効果があります。 |
ピロリ菌による胃粘膜上皮細胞からのIL-8産生抑制 | IL-8とは、インターロイキン-8の略であり、炎症性のサイトカインとしられています。細菌やウイルスがきたときには大事な役割を果たしますが、周りの組織にもダメージを与えてしまいます。その結果、胃炎・胃潰瘍の原因となります。ムコスタはIL-8の産生を抑制することができます。 |
好中球からのスーパーオキシド産生抑制 | 前項のIL-8は好中球という免疫細胞を引き寄せる効果があります。好中球は細菌を破壊するために、スーパーオキシドという過酸化物質を放出します。これもまた周りの組織を傷つけ、胃炎の原因となります。ムコスタはこれを抑制します。 |
ヒドロキシラジカル除去 | 好中球から放出されるもう一つの過酸化物質であるヒドロキシラジカルをムコスタは直接的に除去することができます。細胞の身代わりになってくれるということですね。 |
炎症性細胞湿潤抑制 | 湿潤とは、血管から細胞が組織に移行する現象のことをさします。炎症性サイトカインが分泌されると、その部位では血管の壁にすきまができ、免疫細胞が組織に移行しやすい状況が作り出されます。ムコスタはこれを抑制することで、胃炎・潰瘍の原因となる免疫細胞をその場から締め出すことができます。 |
好中球からの顆粒球エラスターゼ放出抑制 | エラスターゼはタンパク質分解酵素であり、外部から侵入してくる異物を分解することを目的として好中球をはじめとする免疫細胞から放出されます。 ただ、残念ながら自己組織も分解してしまうことがわかっており、胃炎・胃潰瘍を増悪させる一つと考えられています。 ムコスタは、このエラスターゼの放出を抑制する効果があります。 |
胃粘膜内での好中球活性化物質抑制 | 炎症反応を引き起こす好中球を活性化させる物質が胃粘膜内にはあるのですが、この物質が作り出されるのをムコスタは抑える働きがあります。 |
好中球側の接着分子発現抑制 | 好中球は普段、血液中にいるのですが、炎症部位から放出されるサイトカインにより血管内壁と結合しやすくなる接着分子を細胞表面に作ります。 血管内壁とくっつくことで浸潤しやすくなるのですが、ムコスタは接着分子の発現を抑制することで、好中球の浸潤を阻止します。 |
単核球からのIL-1β及びTNFーα産生抑制 | 単核球からも炎症を誘発させるサイトカインIL-1β及びTNFーα産生が、炎症部位においては盛んに放出されるのですが、ムコスタはこの生成を抑制することで、炎症がひろがらないようになります。 |
胃粘膜細胞に対するヘリコバクター・ピロリの接着抑制 | ヘリコバクター・ピロリは胃粘膜と接着する性質がありますが、接着により炎症を誘発することがわかっています。 ムコスタは、接着を抑制する効果があるとされています。 |
ムコスタ錠・顆粒の用法・用量
用法及び用量
胃潰瘍
通常、成人には1回レバミピドとして100mg(ムコスタ錠100mg:1錠、ムコスタ顆粒20%:0.5g)を1日3回、朝、夕及び就寝前に経口投与する。下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
通常、成人には1回レバミピドとして100mg(ムコスタ錠100mg:1錠、ムコスタ顆粒20%:0.5g)を1日3回経口投与する。
引用:ムコスタ錠・顆粒 添付文書
胃潰瘍に対しては、1日3回服用します。
3回といえば、朝・昼・夕!って感じですけど、朝、夕及び就寝前です。
これにはおそらくですが、交感神経優位となり胃酸分泌が活発になる就寝時の炎症抑制効果を最大限狙うために設定されたと考えられます。
※ただし、就寝前は飲み忘れが多いなどの理由から朝昼夕にするケースもあります。
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期に対しては、1日3回。
服用時点には定めがありません。
朝昼夕が一番多いかと思います。
さて、添付文書上には記載ないですが、NSAIDsの副作用による胃炎・胃潰瘍予防のために用いられることがあります。
そのケースの場合は、痛み止めと一緒に服用することが多いです。頓服なら頓服、定期なら定期です。
※余談で、すごい細かいところ話せば、本来保険請求上の規則によると予防目的での使用はNGです。自費ならOKなのですが、保険を通そうとすると本来ダメなのです。
でも、この処方で保険請求したとしても、却下されることはいまのところありません。(今後どうなるかは分からないです。厳しく見だすかもしれません)
ムコスタ錠・顆粒の副作用
調査したデータによると、10,047例中54例(0.54%)に副作用(臨床検査値異常含む)が認められ、65歳以上の高齢者に限ると3,035例では18例(0.59%)に副作用がみられました。
主な副作用としては、過敏症(発疹、掻痒感など)、消化器症状(便秘・下痢・腹部膨満感など)、臨床検査値異常(AST、ALTなど)です。
服用している方で、体調悪化、体調不良が生じたら、服用を中止して医師に相談するようにしましょう。
ムコスタ錠・顆粒の注意点
ムコスタは比較的安全に服用できる薬です。
飲み忘れないように服用するようにしましょう。
ムコスタ錠・顆粒を服用してはいけない方
禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
引用:ムコスタ 添付文書
ムコスタは、過去に服用してアレルギー反応やアナフィラキシーショックを起こしたことのある方には使用することができません。
まとめ
ムコスタは胃炎や胃潰瘍の治療薬として用いられる薬です。
有効成分はレバミピドであり、胃粘膜の保護作用、炎症反応の抑制など様々な効果があります。
服用に際しては医師の指示どおりに服用するようにしましょう。
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