はじめに
カブザラは関節リウマチの治療薬として、2017年9月に製造販売承認がおりました。
有効成分はサリルマブで、ヒトインターロイキン-6受容体に対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体製剤です。
今回は、カブザラの効能効果、副作用や注意点について紹介していきます。
目次
ケブザラってどんな薬?
ケブザラってどうやって効くの?
ケブザラの用法・用量
ケブザラの副作用
ケブザラの注意点
まとめ
ケブザラってどんな薬?
ケブザラは関節リウマチの治療薬です。
有効成分はサリルマブで、インターロイキン-6受容体(IL-6受容体)のαサブユニット部位に対する抗体です。
効能又は効果
既存治療で効果不十分な関節リウマチ効能又は効果に関連する使用上の注意
過去の治療において、少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても、効果不十分な場合に投与すること。
引用:ケブザラ 添付文書
ケブザラは既存治療で効果があまり得られない関節リウマチに用いられる薬です。
なので、別の薬で治療をしても効果が得られなかった場合に使用するという条件があります。
関節リウマチとは
リウマチとは、自分自身の組織を免疫機能が敵とみなしてしまい、攻撃してしまうことで生じる病気です。
関節部位でこの現象が生じると関節リウマチとなります。
女性のほうがかかりやすく、30~50歳くらいで生じやすいといわれています。
症状としては、まず関節の痛み、腫れが生じ、病気が進行すると関節が徐々に破壊されることにより、脱臼や変形が生じます。
そうすると、日常生活の家事や仕事に支障がでてきて、活動が制限されてしまうこともあります。
原因は残念ながら明確には判明していません。
自己組織に対する抗体が作られ、それが炎症を引き起こすっぽいことはわかっていますが、どうして自己組織に対する抗体が作られてしまうのかはわかっていません。
※抗体とは本来、ウイルスや細菌などの異物に反応して、炎症反応を引き起こし排除するトリガー役をしている生体物質です。
ケブザラってどうやって効くの?
ケブザラの有効成分サリルマブは、ヒトインターロイキン-6受容体のαサブユニットに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体です。
なんのこっちゃわかりませんね。
順番にみていきましょう。
まず、インターロイキン-6というのは何でしょうか。
IL-6と略されるこちらの物質は、生体内の物質で炎症に関与することがわかっています。
異物を感知した免疫細胞から豊富に放出され、受け取った周囲の細胞に炎症を引き起こさせます。
関節リウマチの患者さんにおいても、関節部位においてIL-6が豊富に存在することがわかっており、炎症の原因の一翼を担っていると考えられています。
IL-6の刺激を受け取るには受容体が必要なのですが、この受容体の一部分にケブザラは結合して、その受容体を排除することができます。
すると、IL-6の刺激が伝わらずに、炎症作用を発揮しなくなります。
その結果、関節リウマチの病状の進行を阻止することができると考えられています。
ケブザラの用法・用量
用法及び用量
通常、成人にはサリルマブ(遺伝子組換え)として1回200mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態により1回150mgに減量すること。
引用:ケブザラ 添付文書
2週間間隔で用いる注射薬です。
通常投与開始から12週以内に効果が得られるとのことです。
ケブザラの副作用
報告されている主な副作用は、感染症・鼻咽頭炎・好中球減少症・注射部位紅斑・口内炎などです。
IL-6は確かに炎症を誘発して、関節リウマチの症状を悪化させるものですが、他の部位では細菌やウイルスから身を守るために使われています。
その効果も抑制してしまうので、感染症にかかりやすくなってしまいます。
その結果が鼻咽頭炎や口内炎です。
ケブザラの注意点
IL-6は炎症反応の引き金であり、感染症防御に大事な役割を果たしているので、使用すると敗血症、肺炎等の重篤な感染症が生じる可能性があります。
投与後に体調悪化が見られる場合は、すぐに医師に相談するようにしましょう。
ケブザラは使用してはいけない方が設定されています。
- 重篤な感染症を合併している患者[感染症が悪化するおそれがある。]
- 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
引用:ケブザラ 添付文書
感染症に対して弱くなってしまうので、すでに感染症に罹患している人、活動性結核の方にはもちいることができません。
また、アレルギー症状、アナフィラキシーショックといった過敏症が過去服用してでた方には用いることができません。
まとめ
ケブザラは、ヒトインターロイキン-6受容体のαサブユニットに対する遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体であり、インターロイキン-6受容体を無効化することで、炎症性生体物質であるインターロイキン-6の効果を無効化することができます。
関節リウマチの患者さんでは、インターロイキン6の量が多くなっていることが多く、それが関節の炎症・破壊に関与していることがわかっているので、インターロイキン6を無効化することで、炎症を抑えられると考えられています。
使用すると、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなるので、生活注意するとともに、体調悪化などあればすぐに医師に相談するようにしましょう。
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