はじめに
ベイスンは、2型糖尿病の治療に用いられる薬です。
有効成分のボグリボースは、α−グルコシダーゼを阻害する作用を有します。
食後の血糖値上昇を緩和する働きがあります。
今回は、ベイスンの効果効能、副作用や注意点について、紹介していきます。
目次
ベイスンってどんな薬?
ベイスンってどうやって効くの?
ベイスンの用法・用量
ベイスンの副作用
ベイスンの注意点
まとめ
ベイスンってどんな薬?
ベイスンは2型糖尿病の治療薬として用いられています。
有効成分はボグリボースで、日本では普通錠が1994年9月に、OD錠が2004年7月に販売が開始されました。
効能又は効果
○糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)○耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2のみ)
(ただし、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合に限る)効能又は効果に関連する使用上の注意
耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制の場合(錠0.2のみ)
本剤の適用は、耐糖能異常(空腹時血糖が126mg/dL未満かつ75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値が140~199mg/dL)と判断され、糖尿病発症抑制の基本である食事療法・運動療法を3~6ヵ月間行っても改善されず、かつ高血圧症、脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症等)、肥満(Body Mass Index:BMI 25kg/m2以上)、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合に限定すること。
引用:ベイスン 添付文書
ベイスンは、糖尿病の食後過血糖の改善に用いられます。
食後過血糖とは、食事の後に血糖が一気に跳ね上がる状態をいいます。
インスリンの効きが悪い糖尿病患者では、血糖を速やかに下げることができないため、血糖値が高い状態が続きます。
糖尿病の方は、糖尿病性網膜症・腎症・神経障害・脳梗塞・心筋梗塞が生じる可能性が高くなりますが、食後過血糖の方は、脳梗塞・心筋梗塞などの大血管障害が生じやすくなることがわかっています。
ベイスンってどうやって効くの?
ベイスンの有効成分【ボグリボース】はα-グルコシダーゼの働きを抑えることで、腸管で二糖類からグルコースに分解するのを抑えます。
食物から摂取したデンプン(炭水化物)はそのままの形では体内に吸収できません。
消化酵素の力をかりて、単糖類(糖の最小構成物質)であるグルコースにまで分解しなければなりません。
腸管では、二糖類からグルコースに分解する酵素であるα-グルコシダーゼが働いていますが、ボグリボースはこれと結合して、その活動を抑えます。
その結果、グルコースに分解できるスピードが減り、吸収される糖分量が減るため、食後過血糖を防ぐことができます。
他の効果として、耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制があります。
耐糖能異常とは、平たくいえば糖尿病予備群といえる状態で、正常型と糖尿病の間の血糖値推移をする状態です。
ボグリボースをはじめとするα-グルコシダーゼ阻害薬には、糖尿病予備群から2型糖尿病の発症を予防する効果があることがわかっています。
ベイスンの用法・用量
用法及び用量
○糖尿病の食後過血糖の改善の場合
通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を0.3mgまで増量することができる。○耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制の場合(錠0.2のみ)
通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。用法及び用量に関連する使用上の注意
耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制の場合(錠0.2のみ)
本剤投与中は適切な間隔で血糖管理に関する検査を行い、常に投与継続の必要性に注意すること。
引用:ベイスン 添付文書
糖尿病の食後過血糖の改善及び耐糖能異常における2型糖尿病に用いる場合、1日3回毎食直前に服用します。
直前というのは、【いただきます】をしてから服用する感じと捉えてください。
ベイスンは、α−グルコシダーゼの活動を抑えて効果を発揮するので、食事よりも先に腸に行って作用しておく必要があります。
しかし、それが早すぎても作用が弱くなってしまう可能性があるので、食直前が指定されています。
ベイスンの副作用
ベイスンの主な副作用として、下痢・屁がでる・腹部膨満感があります。
その他、軟便・腹痛といった消化器症状がでる可能性があるので、体調悪化や違和感あれば医師に相談するようにしてください。
ベイスンの注意点
ベイスンは、食直前に服用する薬なので、飲み忘れないように注意しましょう。
ベイスンだけではなく、他の糖尿病薬を服用している方は、低血糖のリスクがあります。
低血糖の初期症状である、空腹感・ふるえ・めまいが生じたらすぐに糖分補給する必要があるのですが、ベイスンをはじめとするα-グルコシダーゼを服用している方は、二糖類以上の糖分・炭水化物だと吸収がうまくいきません。
かならず、【ブドウ糖】を摂取するようにしましょう。薬局に言えばもらうことができます。
まとめ
ベイスンは、食後過血糖改善、耐糖能異常の2型糖尿病発症抑制に用いられる薬です。
服用は基本1日3回毎食直前に服用します。
直前は、ご飯を食べるすぐ前で、【いただきます】してから服用するようなイメージです。
服用に際しては、医師の指示を最優先で服用するようにしましょう。
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