はじめに
キックリンは、高リン血症治療薬です。
有効成分はビキサロマー。
腎機能が低下した、慢性腎不全患者さん(透析患者さんなど)では、リンの腎臓からの排泄機能が低下しているため、リンが体内に溜まります。
その状態を治療するために用いられます。
今回は、キックリンの効果効能、副作用や注意点について紹介します。
目次
キックリンってどんな薬?
キックリンって何の病気に使えるの?
キックリンってどうやって効くの?
キックリンの一般的な使う量と回数
キックリンの副作用
キックリンで気を付けることは?
キックリンのジェネリック(GE)ってあるの?
キックリンの市販薬(OTC)ってあるの?
まとめ
関連する薬
キックリンってどんな薬?
キックリンは、慢性腎不全患者を筆頭に生じる高リン血症状態を治療する薬です。
有効成分は、ビキサロマーです。
日本では、カプセルが2012年6月に、顆粒が2016年12月に販売開始されました。
効能又は効果
慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
引用:キックリン 添付文書
キックリンって何の病気に使えるの?
リンは、体内で必要な物質ではあるものの、量が多くなると、不都合が生じてしまいます。
高リン血症状態は、大きく分けると2つの体の変調をきたします。
まずひとつが、異所性石灰化です。
血液中のリンとカルシウムが結合することで、骨以外の部分で骨のような物質が沈着してしまう症状です。
血管で生じれば、動脈効果により脳梗塞・脳卒中・心筋梗塞、関節で生じれば関節炎、皮膚ならかゆみを引き起こします。
もう一つが、二次性副甲状腺機能亢進症です。
血中のリンの上昇は、副甲状腺ホルモンの分泌を促進させます。
(腎機能の低下に伴う、活性化型ビタミンDの産生が低下することで、食事からのカルシウム吸収量が低下し、血中のカルシウムが低下することにも起因して、副甲状腺ホルモン分泌が亢進します。)
副甲状腺ホルモンは、骨に働きかけ、骨を溶かして血中のカルシウムを補給する働きをするホルモンです。
その結果、骨がすかすかになる、いわゆる骨粗鬆症となってしまいます。
キックリンってどうやって効くの?
キックリンの有効成分ビキサロマーは、非吸収性のアミン機能性ポリマーです。
簡単に言えば、食事中のリン酸と消化管内において結合して、体内にリンが吸収されないようにする働きをもちます。
ポリマーですが、膨潤(水分を含んで膨張すること)の程度が小さいため、胃腸障害を引き起こしにくいことが特徴です。
キックリンの一般的な使う量と回数
用法及び用量
<キックリンカプセル>
通常、成人には、ビキサロマーとして 1 回 500mg を開始用量とし、1 日 3 回食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は 1 日 7,500mg とする。<用法・用量に関連する使用上の注意>
(1)透析患者の場合:投与量は、血清リン濃度が 3.5~6.0mg/dL となるよう、以下の基準を目安に適宜増減する。
血清リン濃度 投与量増減方法 6.0mg/dL を超える 1 回 250~500mg(1~2 カプセル)増量する 3.5~6.0mg/dL 投与量を維持する 3.5mg/dL 未満 1 回 250~500mg(1~2 カプセル)減量する 保存期慢性腎臓病患者の場合:投与量は、血清リン濃度を各施設の基準値内に維持するよう適宜増減する。増量幅はビキサロマーとして 1 回あたりの用量で 500mg までとする。
(2)本剤投与開始時又は用量変更時には、1~2 週間後を目安に血清リン濃度の確認を行うことが望ましい。
(3)増量を行う場合は 1 週間以上の間隔をあけて行うこと。<キックリン顆粒>
通常、成人には、ビキサロマーとして 1 回 500mg(本剤 580mg)を開始用量とし、1 日 3 回食直前に経口投与する。以後、症状、血清リン濃度の程度により適宜増減するが、最高用量は 1 日 7,500mg(本剤 8,700mg)とする。<用法・用量に関連する使用上の注意>
(1)透析患者の場合:投与量は、血清リン濃度が 3.5~6.0mg/dL となるよう、以下の基準を目安に適宜増減する。
血清リン濃度 投与量増減方法 6.0mg/dL を超える ビキサロマーとして 1 回 250~500mg(本剤290~580mg)増量する 3.5~6.0mg/dL 投与量を維持する 3.5mg/dL 未満 ビキサロマーとして 1 回 250~500mg(本剤290~580mg)減量する (2)本剤投与開始時又は用量変更時には、1~2週間後を目安に血清リン濃度の確認を行うことが望ましい。
(3)増量を行う場合は 1 週間以上の間隔をあけて行うこと。引用:キックリン インタビューフォーム
キックリンは、血清のリン濃度に合わせて、投与量を増減させて使用します。
なので、どの量を服用するのかは、毎回医師の指示を確認して、指示どおり服用するようにしてください。
キックリンの副作用
キックリンの副作用として、主に報告されているのは、便秘・便が硬くなる・腹部不快感・腹部膨満・悪心・下痢などです。
消化管の症状が主です。
服用している方で、体調悪化や違和感を感じるようなことがあれば、医師に早めに相談するようにしてください。
キックリンで気を付けることは?
飲み忘れ注意!
キックリンは、食事と消化管内において混ざらないと効果を発揮しないという性質上【食直前】服用です。
食直前は、いただきますしてから服用するイメージです。
あまりない用法なので、飲み忘れるケースが多いです。
家族の方も注意して、飲み忘れがないように管理してあげてください。
また、高リン血症状態は症状に乏しいので、服薬意識が低いです。
ですが、体を内側から徐々に蝕んでいくので、しっかり血清リン値をコントロールするためにも、飲み忘れはしないようにしてください。
食事にも注意!
キックリンは、リンの排泄を促す薬ではなく、単純に食事中のリンと結合して、体内に入らせないようにする薬です。
つまり、食事中にリンを含む食材が豊富に含まれていると、体内に吸収されてしまうリンが多くなってしまうということです。
リンが多く含まれている食事として、肉や魚などのタンパク質を多く含む食品、乳製品、魚介類などがあります。
一度、普段の食事にどの程度リンが含まれているのか、調べてみるとよいでしょう。
キックリンのジェネリック(GE)ってあるの?
キックリンのジェネリックはまだ販売されていません。
キックリンの市販薬(OTC)ってあるの?
OTCでの販売は許可されていません。
また、血中のリン濃度に合わせて、投与量を変えていく性質上、OTCになる見込みはほぼないです。
まとめ
キックリンは慢性腎臓病患者における高リン血症の改善に用いられる薬です。
尿中に排泄できなくなったリンは血中に溜まり、その結果、異所性石灰化や二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こします。
キックリンは、消化管内で食事由来のリン酸と結合することにより、リンが体内に吸収されるのを抑え、血中のリン濃度を下げる効果をもたらします。
使用に際しては、医師の指示通りに、飲み忘れなく服用するようにしましょう。
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