慢性骨髄性白血病(CML)の原因となるBCR-ABL遺伝子って何?

慢性骨髄性白血病とは?

慢性骨髄性白血病(CML)は、白血病の約2割を占める病気です。造血幹細胞と呼ばれる血液を構成する細胞の元となる細胞に遺伝子変異が生じてしまい、白血球や血小板などが増加してしまう病気です。

最も多くの割合で生じる遺伝子変異が9番染色体と22番染色体の転座です。このとき生じる遺伝子をBCR-ABL遺伝子と呼びます。また、BCR-ABL遺伝子が生じた染色体をフィラデルフィア染色体と言います。

BCR-ABL遺伝子とは?

BCR-ABL遺伝子は、細胞の不死化をもたらすことが報告されています。がん細胞が無限に増殖する能力を与えてしまっている原因となってしまうのですね。また、この遺伝子により、通常は行われるDNA損傷部位の修復機構が働かなくなってしまうため、さらなる遺伝子変異を生じさせてしまう原因ともなります。

治療薬

BCR-ABL遺伝子から生じるタンパク質BCR-ABLタンパク質の能力を無効化するための薬が広く用いられています。

  • イマチニブ(商品名:グリベック)
  • ニロチニブ(商品名:タシグナ)
  • ダサチニブ(商品名:スプリセル)

まとめ

BCR-ABL遺伝子は慢性骨髄性白血病の原因となる変異遺伝子です。9番染色体と22番染色体の転座によって生じ、細胞の不死化に関与しているとされています。現在治療薬として、BCR-ABL遺伝子から作られるBCR-ABLタンパク質を無効化するような薬が広く用いられています。

他の分子標的薬についての記事はこちら⇒狙った特有の分子だけを攻撃できる「分子標的薬」について

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る