
はじめに
ベルソムラは、不眠症の睡眠導入剤として用いられる薬です。
有効成分はスボレキサント。
向精神薬には分類されていないため、比較的軽めの作用なので、安心して用いることができます。
今回は、ベルソムラの効能効果、副作用・注意点について、紹介して行きたいと思います。
目次
ベルソムラってどんな薬?
ベルソムラってどうやって効くの?
ベルソムラの用法・用量
ベルソムラの副作用
ベルソムラの注意点
まとめ
ベルソムラってどんな薬?
ベルソムラは、有効成分スボレキサントで、不眠症に効果がある薬です。
日本では、20mgと15mgが2014年11月に、10mgが2016年12月に発売が開始されました。
【効能・効果】
不眠症
< 効能・効果に関連する使用上の注意>
二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない。
引用:ベルソムラ 添付文書
なかなか寝付けないといった不眠症に効果を発揮する薬です。
ちなみに、二次性不眠症とは、寝れなくなるような原因が他にある不眠症のことを指します。
まだ新しい薬のため、効果がるかどうか分からんと先手を打っているのだと思います。
広く使われるようになって、効果があることが分かれば、この文言は外れるのかな?
ベルソムラってどうやって効くの?
ベルソムラの有効成分であるスボレキサントは、オレキシン受容体を阻害する作用を持つ薬です。
オレキシンとは、睡眠や覚醒を調整する神経伝達物質です。
視床下部に位置する、オレキシンを産生する細胞体は、覚醒・睡眠に関与する脳の部分に影響を与えます。
細胞体が活性することで、オレキシンを放出され、覚醒を促すといったことがわかっています。
逆に、オレキシンの量が減ってくると、睡眠を促すといった感じです。
スボレキサントは、オレキシン受容体をブロックすることで、覚醒を促すのを止め、逆に睡眠を促す効果があります。
ベルソムラの用法・用量
【用法・用量】
通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する。< 用法・用量に関連する使用上の注意>
(1)本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。
(2)入眠効果の発現が遅れるおそれがあるため、本剤の食事と同時又は食直後の服用は避けること。〔食後投与では、空腹時投与に比べ、投与直後のスボレキサントの血漿中濃度が低下することがある。
(3)他の不眠症治療薬と併用したときの有効性及び安全性は確立されていない。
(4)CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤を併用する場合は 1 日 1 回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
引用:ベルソムラ 添付文書
基本的には、ベルソムラを睡眠直前に20mg服用します。
(医師によっては、15~30分前といった指導をする場合があるので、指示に従ってください。吸収され、効果発現までにそのくらいかかるためです)
高齢者は生体機能が低下しているため、ベルソムラの分解が遅いです。
そのため、就寝直前15mgで様子をみます。
ベルソムラは、CYP3Aと呼ばれる肝臓にある代謝酵素によって、活性を失う(代謝される)ことがわかっています。
ある種の薬は、CYP3Aの機能を低下させることがわかっているので、その薬と併用するときは、ベルソムラが体内で溜まってしまう可能性があります。
そういった薬を併用している場合については、1回10mgで様子をみるとされています。
ベルソムラの副作用
ベルソムラの副作用として報告されているのは、疲労感や傾眠・頭痛・めまいといった神経系障害、そして悪夢です。
副作用で悪夢ってなんだそれ!?って思うかもしれませんが、実際に服用された方のお話きくと、悪夢をみるようです。
悪夢の詳細機序は不明ですが、ベルソムラはレム睡眠の時間を増やすことがわかっており、人はレム睡眠で夢を見やすくなるので、夢見がちになるのではないかと考えられています。
どうして、夢が悪夢になるのかは、現在のところ不明です。
ベルソムラの注意点
ベルソムラを始めとする睡眠導入剤は、服用後は眠くなり、判断力・思考力といった脳の機能が低下します。
当たり前ですが、車の運転などはしないようにしましょう。布団に入っておとなしくしてましょう。
ベルソムラと一緒に服用してはいけない薬
ベルソムラは、CYP3Aによって、作用を失いますが、CYP3Aの機能を強く止める薬とは一緒に服用してはいけません。
例を上げると下記の通りです。()内は有効成分名。
- イトリゾール(イトラコナゾール)
- クラリシッド(クラリスロマイシン)
- ノービア(リトナビル)
- インビラーゼ(サキナビル)
- ビラセプト(ネルフィナビル)
- クリキシバン(インジナビル)
- テラビック(テラプレビル)
- ブイフェンド(ボリコナゾール)
1番可能性がありそうなのが、クラリスロマイシンですね。
風邪や副鼻腔炎などででる可能性があるためです。
併用しては行けない薬をチェックするためにも、お薬手帳はしっかり活用したいところです。
そのほか、相性がありますので、医師・薬剤師に確認するとよいでしょう。
まとめ
ベルソムラは、不眠症を改善する薬です。
有効成分はスボレキサントで、オレキシン受容体を阻害する作用をもち、自然な睡眠をもたらす薬です。
向精神薬の睡眠導入剤からの切り替えや、不眠症の初期に用いられます。
余談ですが、向精神薬系の睡眠導入剤の切り替えは、ベルソムラの効果が弱くなかなかうまくいかない傾向にあります。
とはいえ、向精神薬系の睡眠導入剤は、夜間のふらつきによる骨折、認知症の可能性をあげるといったデメリットがあるので、できれば軽い薬に変えたいところです。
医師とよく相談して、症状に合わせて検討していければと思います。
医師の指示どおり使用するようにしましょう。
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