はじめに
ゲンタシン軟膏及びゲンタシンクリームは、抗生物質を含んだ外用薬です。
傷などから細菌が感染しないようにするために使用されます。
今回は、ゲンタシン軟膏・クリームの効果効能、副作用や注意点について説明していきます。
目次
ゲンタシン軟膏・クリームってどんな薬?
ゲンタシン軟膏・クリームってどうやって効くの?
ゲンタシン軟膏・クリームの用法・用量
ゲンタシン軟膏・クリームの副作用・注意点
まとめ
ゲンタシン軟膏・クリームってどんな薬?
ゲンタシンは、有効成分ゲンタマイシン硫酸塩の抗生物質です。
抗生物質は、細菌の増殖を抑えることができる成分のことを言います。
ゲンタシン軟膏とクリームは、日本では、1970年6月1日に販売が開始されました。
ゲンタシンの細菌に対する作用は、殺菌的に働くことがわかっています。
※ちなみに、同じく抗生物質製剤のフシジンレオ軟膏は、静菌的に働くことがわかっています。
殺菌的とは細菌を直接攻撃して殺す作用のことをさし、静菌的とは最近の増殖を食い止めることで量を増やさせず、自己免疫で殺していく作用のことをさします。
効能又は効果
〈適応菌種〉
ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属(肺炎球菌を除く),大腸菌,クレブシエラ属,エンテロバクター属,プロテウス属,モルガネラ・モルガニー,プロビデンシア属,緑膿菌〈適応症〉
表在性皮膚感染症,慢性膿皮症,びらん・潰瘍の二次感染
引用:ゲンタシン添付文書
黄色ぶどう球菌及び緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、グラム陽性球菌に対して効果を発揮する薬です。
フシジンレオと比較すると、フシジンレオはブドウ球菌属に対して特に抗生物質作用を発揮する薬なのに対して、ゲンタシンのほうが幅広い細菌に対して効果を発揮することが分かります。
ただし、ゲンタシンは嫌気性菌やレンサ球菌の多くに対しては効果がありません。
ちなみに、フシジンレオがしょぼい薬だというわけではなく、抗生物質は得意な菌種が決まってるので、適切に選択すれば良いという話です。むしろ、幅広い菌種に効果がある薬の長期使用は、耐性菌(抗生物質がきかなくなった菌のこと)の出現可能性を上げるので、控えるべきとされています。
医師は症状からどの菌に感染しているのかを推測して、もしくは顕微鏡検査などから判断して、適切な抗菌薬を使用してくれています。
皮膚の擦り傷、とびひ、そのほか膿んでしまっている患部、手術後の感染防止に用いるケースが多いです。
ゲンタシンはステロイドを含んでいないので、基本的には目や粘膜以外の全身に使用することができます。
ゲンタシン軟膏・クリームってどうやって効くの?
ゲンタシンの有効成分ゲンタマイシン硫酸塩は、アミノグリコシド系の抗生物質成分です。
アミノグリコシド系抗生物質は、組織の機能や構造を維持するのに必要不可欠なタンパク質合成を止めることにより、細菌を殺菌的に殺します。
詳細には、タンパク質の合成に必要なリボソームを形成する、30Sリボソームに結合することで、働かせないようにします。
ちなみに、人間のタンパク質合成にもリボソームが必要ですが、構造が異なっているので、ゲンタシンは人間のリボソームに対して阻害作用をもちません。
ゲンタシン軟膏・クリームの用法・用量
用法及び用量
1日1~数回患部に塗布するか,あるいはガーゼなどにのばしたものを患部に貼付する。用法及び用量に関連する使用上の注意
本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。使用上の注意
重要な基本的注意
1.感作されるおそれがあるので,観察を十分に行い感作されたことを示す兆候(そう痒,発赤,腫脹,丘疹,小水疱等)があらわれた場合には使用を中止すること。
2.長期間連用しないこと。
引用:ゲンタシン添付文書
ゲンタシンは1日数回患部に塗布する薬です。
何回、どのように塗布すれば良いかは、医師からの指示に従うようにしましょう。
ゲンタシン軟膏・クリームの副作用・注意点
ゲンタシン軟膏・クリームの主な副作用として、発疹といった過敏症状があります。
また、アミノグリコシド系抗生物質に共通した副作用として、聴覚障害・腎機能障害があります。
ですが、外用薬として、部分的に使用する分にはこの副作用はほぼありません。
※余談ですが、ゲンタシンは注射薬もあり、これを利用するときには聴覚障害が生じる可能性がぐんと上がるので、定期的に聴覚検査を行います。
使用していて、症状の悪化といった変化があれば、医師に相談するようにしましょう。
まとめ
ゲンタシンは、外用薬としては軟膏とクリームが販売されている、有効成分ゲンタマイシン硫酸塩の抗生物質です。
ゲンタマイシン硫酸塩は、たんぱく質の合成を阻害することで、細菌を殺菌的に殺す薬です。
1日数回、患部に塗布する薬です。使い方に関しては、医師の指示どおり使用するようにしましょう。
医師の指示がないにも関わらず、長期使用するとその抗生物質が効かなくなる耐性菌出現を招くので、自己判断で継続的に使用するのは控えるようにしましょう。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。