はじめに
ボンビバは骨粗鬆症の治療薬として用いられる薬です。
日本では錠剤・注射剤として使われています。
(この記事ではボンビバ錠をメインに説明していきます。)
今回は、ボンビバについて、効果効能や副作用・注意点について紹介していきます。
目次
ボンビバってどんな薬?
ボンビバってどうやって効くの?
ボンビバの用法・用量
ボンビバの副作用
ボンビバの注意点
まとめ
ボンビバってどんな薬?
ボンビバは、ビスホスホネート製剤に属する骨粗鬆症の薬です。
有効成分はイバンドロン酸ナトリウムです。
日本では錠剤が2016年4月に、注射剤が2013年8月に販売開始されました。
[効能・効果]
○骨粗鬆症
〈効能・効果に関連する使用上の注意〉
本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者を対象とすること。
引用:ボンビバ錠 添付文書
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とはどんな病気でしょうか?
簡単にいえば、骨の密度が低下し、すかすかになり、簡単に骨折してしまう状態の病気です。
どうしてこんなことになってしまうのでしょうか?
そこには、骨のリモデリングが大きく関与しています。
骨のリモデリングについては、こちらの記事を参考にしてください。
参考→骨芽細胞と破骨細胞による骨のリモデリングについて
ざっくり説明すると、骨は【骨芽細胞】と【破骨細胞】という2つの細胞が、骨を作る・壊すというのを繰り返し常に新しい状態に保たれています。
ところが、高齢・ホルモンバランスが崩れるなどすると、破骨細胞の力が強くなってしまい、骨がすかすかになってしまします。
これが骨粗鬆症と呼ばれる病気です。
ボンビバってどうやって効くの?
骨粗鬆症が、破骨細胞のちからがつよくなってしまった状態だということはおわかりいただけたと思いますが、ボンビバはどのようにして、骨粗しょう症を治療するのでしょうか。
骨粗しょう症を治療するためには、【骨芽細胞】を活性化させるか、【破骨細胞】を仕事させなくさせるかのどちらかに大分されます。
ボンビバをはじめとする、ビスホスホネート製剤は破骨細胞に仕事をさせなくさせる方の治療薬です。
ボンビバは、体内に吸収されたのちに、骨を構成する成分であるハイドロキシアパタイト(HAP)と結合し、骨表面に集まります。
破骨細胞が骨を壊す際に、酸を分泌するのですが、この影響でボンビバは骨から剥がれ、破骨細胞内に取り込まれます。
とりこまれた、ボンビバはファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)という酵素を阻害し、ファルネシル化タンパク質やゲラニルゲラニル化タンパク質など細胞の機能維持に必要不可欠な物質をつくらせないようにします。
その結果、細胞内のシグナル伝達がうまくいかなくなり、アポトーシス(自殺)を引き起こし、破骨細胞の一部はしんでしまします。
また、ファルネシルピロリン酸合成酵素(FPPS)の阻害によって、イソペンテニルピロリン酸(IPP)という物質が細胞内にたまり、この物質が変化したApppIもまた、破骨細胞のアポトーシスを引き起こします。
このようにして、破骨細胞はアポトーシス誘導されて、骨を破壊する仕事をしにくくなるため、バランスがとれ、骨粗しょう症を改善できるということになります。
ボンビバの用法・用量
【用法・用量】
通常、成人にはイバンドロン酸として100mgを 1 カ月に 1 回、起床時に十分量(約180mL)の水とともに経口投与する。
なお、服用後少なくとも60分は横にならず、飲食(水を除く)及び他の薬剤の経口摂取を避けること。<用法・用量に関連する使用上の注意>
投与にあたっては次の点を患者に指導すること。
⑴本剤は水で服用すること。水以外の飲料(カルシウム、マグネシウム等の含量の特に高いミネラルウォーターを含む)、食物又は他の薬剤と一緒に服用すると、吸収を妨げることがあるので、起床後、最初の飲食前に服用し、かつ、服用後少なくとも60分は水以外の飲食を避ける。
⑵食道及び局所への副作用の可能性を低下させるため、速やかに胃内へと到達させることが重要である。服用に際しては、以下の事項に注意すること。
1)口腔咽頭部に潰瘍を生じる可能性があるので、本剤をかんだり、口中で溶かしたりしないこと。
2)上体を起こした状態で十分量(約180mL)の水とともに服用し、服用後60分は横にならないこと。
3)就寝時又は起床前に服用しないこと。
⑶本剤は月 1 回服用する薬剤である。本剤の服用を忘れた場合は気づいた日の翌日に 1 錠服用し、以後、その服用を基点とし、 1 カ月間隔で服用すること。
引用:ボンビバ 添付文書
ボンビバ錠は、1か月に1回起床時に服用するタイプの薬です。
いつ飲んだか忘れる方が多いので、カレンダーに服用した目印をつけておくとよいでしょう。
また、ボンビバ錠を含むビスホスホネート系骨粗しょう症はすべて、起床時に服用します。
どうしてでしょうか?
ビスホスホネートは、食事の影響を受けやすく、食事の成分と結合してしまい、うまく吸収されなくなってしまうことがわかっています。
そのため、起床時に服用することととされています。
服用後は、少なくても60分は水以外の食事をとらないようにしましょう。
食事にばっかり気を取られがちですが、服用する水にも注意が必要です。
水道水ならいいのですが、ミネラルウォーターを飲料水として利用している場合は、ミネラルを多く含んだ硬水はNGです。
やはり同じように、ボンビバの効果を無効化してしまう可能性があります。
また、服用後60分は横にならないことも注意が必要です。
というのも、のどや食道に張り付いてしまうと、潰瘍が生じてしまう可能性があるからです。
横になると、のどや食道に張り付くリスクが上がるので、立った状態もしくは座った状態でいるようにしましょう。
もちろんのこと、ボンビバ静注には、こういった服用に関する制約はありません。
ボンビバの副作用
ボンビバの主に報告されている副作用は、下痢・背部痛・頭痛・関節痛・倦怠感などです。
他に重篤な副作用として、上部消化管障害が報告されています。
これは、喉に張り付いちゃったケースで生じる副作用ですね。生じさせないためにも、服用後60分は横にならない・水をしっかり飲むことを気をつけましょう。
ボンビバの注意点
ボンビバ錠の注意点としては、まず服用後60分は水以外摂取しない・横にならないことですね。
効果をなくしてしまったり、副作用の可能性を上げてしまうので注意しましょう。
ボンビバ錠を服用してはいけない方
【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1. 食道狭窄又はアカラシア(食道弛緩不能症)等の食道通過を遅延させる障害のある患者[本剤の食道通過が遅延することにより、食道局所における副作用発現の危険性が高くなる。]
2. 服用時に立位又は坐位を60分以上保てない患者
3. 本剤の成分又は他のビスホスホネート系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
4. 低カルシウム血症の患者[血清カルシウム値が低下し、低カルシウム血症の症状が悪化するおそれがある]
5. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
引用:ボンビバ錠 添付文書
ボンビバ錠は、食道が狭くなっている方、アカラシアの方には使用することができません。
食道に対してダメージを与える可能性があるためです。
また、【服用後60分は横にならないこと】を維持できない方もNGです。
まとめ
ボンビバ錠は月に1回服用するタイプのビスホスホネート系骨粗しょう症薬です。
破骨細胞に取り込まれたのち、細胞のアポトーシス(自殺)を誘導することで、骨を壊す働きを抑え、骨のリモデリングのバランスをとることができます。
服用に際しては、下記のような注意点があります。
- 起床時に服用し、服用後60分は水以外の食事をとらないこと
- 服用後60分は横にならず、座る体制もしくは立つ体制を維持すること
月に1回服用する薬のため、いつ服用するのか忘れやすいです。
カレンダーに服用した日、もしくは服用予定日をメモしておくとよいでしょう。
服用に際しては医師の指示通りにしましょう。
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