はじめに
リピトールは、脂質異常症の治療薬として用いられる薬です。
HMG-CoA還元酵素阻害剤に分類され、体内でのコレステロール生成を抑えることができます。
今回は、リピトールの効果効能、副作用や注意点について紹介していきたいと思います。
目次
リピトールってどんな薬?
リピトールってどうやって効くの?
リピトールの用法・用量
リピトールの副作用
リピトールの注意点
まとめ
リピトールってどんな薬?
リピトールは有効成分がアトルバスタチンの高脂血症の治療薬です。
日本では2000年5月に販売が開始されました。
効能又は効果
高コレステロール血症
家族性高コレステロール血症
引用:リピトール 添付文書
リピトールは、高コレステロール血症の治療薬として用いられます。
家族性のものについても用いることが出来ます。
高コレステロール血症とは?
高コレステロール血症とはどんな病気でしょうか?
その名前のまんまなのですが、血中にコレステロールが多く含まれてしまう状態の病気をさします。
少し脱線しますが、コレステロール関係の病気では、【高脂血症】や【脂質異常症】という病気もきいたことがあると思います。
それぞれ何が違うのか、簡単に説明して行きたいと思います。
【脂質異常症】とは、下記4つの条件のうち一つでも当てはまってしまったときにつけられる病名です。
- 高LDLコレステロール血症→LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上
- 低HDLコレステロール血症→HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満
- 高トリグリセライド血症→トリグリセライド(TG・中性脂肪)が150mg/dL以上
- 高Non-HDLコレステロール血症→Non-HDLコレステロールが170mg/dL以上
※いずれも空腹時(10時間以上食事をしていない)の血清中の値です。
異常のあるコレステロールの種類に応じて、それぞれ細かい病名がつけられています。
高脂血症は、脂質異常症の以前の呼び方です。
変わった理由は、低HDLコレステロール血症、つまり善玉コレステロールが少ない病気についても高脂血症とよぶことになり、紛らわしいとされたためです。
脂質異常症になると何が問題なのでしょうか?
コレステロールは悪者扱いされることが多いですが、細胞の膜表面の弾力性を確保したり、組織の構造維持に必要不可欠な存在です。
ただし、血液中に量が多いことが問題となります。
というのも、過剰なコレステロールは血管壁を傷つけ、そこにコレステロールが侵入することで、免疫細胞が反応し駆除します。
ところが、この免疫細胞は泡沫細胞に変化し、血管壁にとどまり続けます。
すると、だんだんと血管が細くなってしまいます。これがいわゆる、動脈硬化です。
動脈硬化状態が継続すると、その部分に脂肪分豊富な膜でできたこぶ(脂質プラーク)ができます。
このプラークがなんらかの拍子に傷つくと、補修のために血液を固める血小板がわっとあつまり、ただでさえ細くなっている血管を塞いでしまいます。
これが、心臓で起これば心筋梗塞、脳の血管で起きれば脳梗塞となります。
脂質異常症の段階ではいたくもかゆくもないのですが、ある日突然致死性の心筋梗塞・脳梗塞を発症するので、サイレントキラーの異名をもつ病気です。
家族性高コレステロール血症とは?
家族性高コレステロール血症は、遺伝子異常で引き起こされる先天的な病気です。
LDLコレステロールは、常に肝臓にて分解されているのですが、家族性高コレステロール血症の患者さんにおいては、先天的にうまく取り込みができずに、血中にLDLコレステロールが溜まってしまいます。
なにも処置をしなければ、子供のときに、脳梗塞・心筋梗塞を招いて死に至る病です。
名前からときどき、家族みんなが肥満体質で脂質異常症になっている病気と間違えられますが、まったく異なります。
リピトールってどうやって効くの?
リピトールの有効成分アトルバスタチンは、HMG-CoA還元酵素阻害剤に分類される薬です。
HMG-CoA還元酵素阻害剤は、名前のとおり、HMG-CoA還元酵素の働きを抑える薬です。
HMG-CoA還元酵素は何をしている酵素なのでしょうか?
コレステロールは、体内で作られるのと外部から吸収されるのがありますが、そのほとんどが体内で作られるものになります。
コレステロールの原料に、メバロン酸という物質がありますが、これはHMG-CoAを還元することで作られます。
その工程を担っている酵素が、HMG-CoA還元酵素となります。
この働きを止められると、コレステロールの原料であるメバロン酸が作られなくなるため、コレステロールが作れなくなります。
リピトールの用法・用量
用法及び用量
高コレステロール血症
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日20mgまで増量できる。家族性高コレステロール血症
通常、成人にはアトルバスタチンとして10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、重症の場合は1日40mgまで増量できる。引用:リピトール 添付文書
リピトールは、基本的には1日1回10mgを服用する薬です。
服用時点は添付文書上は特定されていませんが、夕食後・就寝前でだすケースが多いようです。
というのも、コレステロールの体内での生産は夜間・就寝時に亢進するとされているためです。
食事の状況やその他理由で、朝や昼にでることもあるので、そこは医師の指示どおりに服用するようにしましょう。
リピトールの副作用
リピトールの副作用として報告されているのは、胃不快感、そう痒感、手指しびれ、不眠、下痢、胸やけ、便秘、頭痛、全身倦怠(感)などです。
そのほか、臨床検査値が変動する副作用も認められています。
その他リピトールには、確率は低いけど重篤な副作用で、有名なものがあります。
【横紋筋融解症】という副作用の可能性があり、これは筋肉が溶けてしまう病気です。
とはいっても初期のうちに、薬の中止や必要な処置を行えば重篤化を防ぐことができます。
初期症状は下記の通りです。
- 覚えのない筋肉痛
- 尿の色が赤くなる
こういった症状を、リピトールを始めとするスタチン系薬剤、その他脂質異常症の薬を服用中に生じたら、医師にすぐに相談するようにしてください。
リピトールの注意点
リピトールをはじめとして、脂質異常症の薬は比較的長期に服用を継続することが必要となります。
定期的に血液検査を実施して、医師がいいよというまでは服用を中止しないようにしましょう。
また、コレステロールが高くなってしまう原因は、加齢や遺伝といったどうにもならない原因のほか、食事の影響もあると考えられています。
脂っこい食事をさける・暴飲暴食をしないといった食生活の改善は服用しながら実施していく必要があります。
まとめ
リピトールは高コレステロール血症の治療薬です。
HMG-CoA還元酵素阻害剤に分類され、体内でのコレステロール合成をブロックすることで、高コレステロール血症を改善することができます。
服用に際しては医師の指示通り、継続的に服用するようにしましょう。
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