はじめに
メキニストは悪性黒色腫(メラノーマ)の治療に用いられる薬です。
悪性黒色腫のなかでも、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に使用されます。
今回は、メキニストについて、その効果効能、副作用や注意点について紹介していきます。
目次
メキニストってどんな薬?
メキニストってどうやって効くの?
メキニストの用法・用量
メキニストの副作用
メキニストの注意点
まとめ
メキニストってどんな薬?
メキニストは、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に用いられる薬です。
有効成分はトラメチニブで、日本では2016年6月に販売が開始されました。
効能又は効果
BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫効能又は効果に関連する使用上の注意
1.十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること。
2.【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。
3.本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
引用:メキニスト 添付文書
悪性黒色腫とは?
悪性黒色腫とは、皮膚がんの一つであり、皮膚にあるメラノサイトもしくは母斑細胞(ほくろの細胞)が、がん化したものです。
普通のほくろと見分けがつきづらいのですが、下記のような特徴があります。
- 形が左右非対称
- 輪郭がギザギザしている
- 色が均一ではなく、むらがある
- 長径が6mm以上と比較的大きい
- だんだんと大きくなる、色や形が変わる
このようなほくろのようなものが皮膚にあれば、もしかしたら悪性黒色腫の可能性があるので、専門医で確認してもらうとよいでしょう。
メキニストってどうやって効くの?
メキニストの有効成分、トラメチニブはMEK阻害作用を有します。
腫瘍細胞では、通常の細胞とは異なる活性化がなされています。
その一つが、RAS/RAF/MEK/ERK(MAPK:Mitogen-activated protein kinase、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)です。
分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼとも呼ばれ、細胞分裂を活性化するキナーゼ群であり、腫瘍細胞で制御不能で活性化しているケースがあります。
そのため、腫瘍細胞では、通常の細胞と比較して、圧倒的な速度で増殖していることがあります。
マイトジェン活性化プロテインキナーゼが活性化すると順番に他のキナーゼが活性化するのですが、その一つにるMEK(Mitogen-activated extracellular signal-regulatedkinase:マイトジェン活性化細胞外シグナル関連キナーゼ)1/MEK2があります。
メキニストのターゲットがこのMEKの活動を抑えることで、分裂の促進を抑えることができます。
メキニストの用法・用量
用法及び用量
ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
引用:メキニスト 添付文書
メキニストは、ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)と併用して用いられます。
そのほうが、単独で使用したときよりも効果が高いことがわかっているためです。
メキニストは基本的には、2mgを1日1回服用します。
状態によっては、違う回数・違う量を服用する可能性もありますので、医師の指示に従うようにしましょう。
メキニストの副作用
メキニストの主な副作用は、発熱・末梢性のむくみ・疲労感・悪寒・発疹・下痢など多種にわたります。
挙げた以外にも様々な部位で生じる可能性があるので、服用している方で、体調悪化・違和感を感じたら早めに医師に相談するようにしましょう。
メキニストの注意点
飲み忘れなく決められた期間服用し続けることが、がんを倒すために大事なポイントとなります。
飲み忘れないような工夫をして、継続的に服用しましょう。
また、比較的副作用がでやすい薬なので、体調の変化などを日記につけておくとよいでしょう。
次回受診時に医師と確認するなどして、問題ないか確かめながら服用をつづけましょう。
まとめ
メキニストは、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫に用いられる薬です。
ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)と併用して用いることで、単独で使用するときよりも効果を得ることができるとされています。
副作用が比較的でやすいので、体調悪化や違和感などあれば、早めに医師に相談するようにしましょう。
継続的に服用することが、がんを治療するためのポイントとなるので、飲み忘れないよう、決められた時間に服用してください。
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