
はじめに
ヌーカラ皮下注は、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体であり、既存の治療方法でコントロールできていない難治性の気管支喘息の患者さんに用いられる注射薬です。
今回は、ヌーカラ皮下注について、その効果効能、副作用や注意点について紹介していきます。
目次
ヌーカラ皮下注ってどんな薬?
ヌーカラ皮下注ってどうやって効くの?
ヌーカラ皮下注の用法・用量
ヌーカラ皮下注の副作用
ヌーカラ皮下注の注意点
まとめ
ヌーカラ皮下注ってどんな薬?
ヌーカラ皮下注は、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体の注射薬です。
有効成分はメポリズマブです。
日本では、2016年6月に販売が開始されました。
効能又は効果
気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)効能又は効果に関連する使用上の注意
1.高用量の吸入ステロイド薬とその他の長期管理薬を併用しても、全身性ステロイド薬の投与等が必要な喘息増悪をきたす患者に本剤を追加して投与すること。
2.投与前の血中好酸球数が多いほど本剤の気管支喘息増悪発現に対する抑制効果が大きい傾向が認められている。
また、データは限られているが、投与前の血中好酸球数が少ない患者では、十分な気管支喘息増悪抑制効果が得られない可能性がある。本剤の作用機序及び臨床試験で認められた投与前の血中好酸球数と有効性の関係を十分に理解し、患者の血中好酸球数を考慮した上で、適応患者の選択を行うこと。
引用:ヌーカラ皮下注 添付文書
https://kenko-tips.com/articles/nucala/?preview=true
ヌーカラ皮下注は、気管支喘息に用いられる薬です。
気管支喘息のなかでも、他の薬物治療ではコントロールできていない、難治性の患者さんに用いられます。
そのため、この薬を使用する患者さんは、前提として高用量の吸入ステロイド+αの薬物投与をしていても、発作などが生じ、全身のステロイド薬投与が必要なケースに限られます。
また、ヌーカラ皮下注は、血中好酸球数という免疫・アレルギー反応に関与している細胞の数が多いほうが効果がでやすい傾向があります。
そのため、投与前に血中好酸球数を調べて、総合的に医師が判断して、使用の可否を考えることとされています。
ヌーカラ皮下注ってどうやって効くの?
ヌーカラ皮下注の有効成分メポリズマブは、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体です。
IL-5とは、インターロイキン5の略で、炎症を引き起こす細胞から放出され、好酸球の増殖・分化・生存に関与している物質です。
好酸球もまた炎症を引き起こす細胞として知られています。
一部の気管支喘息の患者さんでは、血中の好酸球濃度が高いことで知られており、好酸球は肺組織において、気道の炎症・平滑筋収縮(気道が狭くなる)・浮腫を生じさせることで、喘息症状や気道狭窄を引き起こす原因となります。
メポリズマブは、インターロイキン-5が受容体(スイッチみたいなもの)にくっつく前に結合し、受容体の活性化を阻止します。
その結果、好酸球の増加・活性化を抑え、喘息症状や気道狭窄を食い止めることができます。
なので、血中好酸球が多い気管支喘息の患者さんで、より効果が高くなります。
ヌーカラ皮下注の用法・用量
用法及び用量
通常、成人及び12歳以上の小児にはメポリズマブ(遺伝子組換え)として1回100mgを4週間ごとに皮下に注射する。
引用:ヌーカラ皮下注 添付文書
4週間に1回、皮下に注射する薬です。
毎日飲まなきゃいけない、注射しなきゃいけないといった薬ではないので、患者さんの負担は少ないといえます。
ヌーカラ皮下注の副作用
ヌーカラ皮下注の報告されている主な副作用は、注射部位反応(疼痛、紅斑、腫脹、そう痒、灼熱感など)・頭痛・過敏症です。
投与されたのちに、違和感や体調変化があるようであれば、早めに医師に相談するようにしましょう。
ヌーカラ皮下注の注意点
ヌーカラ皮下注は、過去使用して、アレルギー反応やアナフィラキシーショックといった過敏症を起こした方には使用することができません。
ヌーカラ皮下注は、発作を止める薬ではありません。
発作の時には、発作用の薬を使ってください。
まとめ
ヌーカラ皮下注は、有効成分メポリズマブで、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体の薬です。
IL-5は、気管支喘息患者さんで増えていることがある好酸球を増加させる物質であり、これを封じることで好酸球を減らし、喘息・気道狭窄を緩和することができます。
4週間に1回使用する注射の薬です。
発作を止める薬ではないので、定期的に医師の指示通り摂取することをおすすめします。
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