【アメナリーフ(アメナメビル)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

帯状疱疹の治療に新しい薬の選択肢が増えます!!

帯状疱疹について簡単に説明すると、帯状疱疹はヘルペスウイルス科に属する水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で引き起こされる疾患です。

実は、水疱瘡と帯状疱疹の原因となるウイルスは一緒で、はじめて感染するときには水疱瘡、二度目以降は帯状疱疹を引き起こします。

このウイルスは、非活動期においては人の神経細胞周辺に潜み、免疫力の低下(高齢・疲れ・ストレス)などにより活性化し、帯状疱疹をもたらします。

今まで帯状疱疹の治療薬というと、 アシクロビル(商品名:ゾビラックス)・バラシクロビル(商品名:バルトレックス)・ファムシクロビル(商品名:ファムビル)がありました。

アメナリーフとこれらの薬との違いなどについて、紹介していきます。

目次

アメナリーフってどんな薬?
アメナリーフの効果・効能
アメナリーフの用法・用量
アメナリーフの副作用・注意点
どのような方に使われるか
まとめ

アメナリーフってどんな薬?

アメナリーフは、マルホ株式会社が製造販売し、2017年7月に製造販売承認を取得した、有効成分アメナメビルの抗ウイルス薬です。
発売日は2017年9月7日です。

〔効能・効果〕
帯状疱疹
引用:アメナリーフ 添付文書

アメナリーフは、帯状疱疹を治療する薬です。
帯状疱疹の原因となるウイルスは、水痘・帯状疱疹ウイルスと呼ばれ、DNAウイルスのヘルペスウイルス科に属します。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、【Human herpesvirus 3 (HHV-3)】【Varicella Zoster virus(VZV)】と呼ばれることがあります。

水痘・帯状疱疹ウイルスの名前の通り、実は帯状疱疹の原因となるウイルスと、水痘(みずぼうそう)の原因となるウイルスは同じです。

子供のときにウイルスに感染するとみずぼうそうになり、その後ウイルスの活動がおさまったとしても、実はウイルスは体内の神経に潜み続けます。
そして、大人になり、高齢・過労・ストレスなど免疫が落ちると、そのウイルスが活動を再開し、生じるのが帯状疱疹になります。

他の帯状疱疹薬にない特徴

大きな特徴として、アメナメビルは糞中に排泄されるため、腎機能低下による投与量の調節の必要ない点があります。

帯状疱疹は、体力・免疫力が落ちた高齢者が罹患することが多いため、腎臓をとおって尿中に排泄される薬の場合、投与量を減量するなど注意が必要でした。
しかしながら、アメナリーフはそういった調節が必要ないので、使いやすい薬となっています。

また、1日1回の投与で帯状疱疹に効果を発揮する点も特徴と言えます。
他の帯状疱疹治療薬は、1日3~5回の服用で効果を発揮するタイプのものでしたので、患者さんにとってみれば簡単で飲み忘れも少なくすることができるのではないでしょうか。

錠剤の大きさについて

ヘルペスウイルスの薬は、比較的大きなものが多いです。
アメナリーフ錠はどのくらいの大きさでしょう。比較してみました。

医薬品名 大きさ 厚さ
アメナリーフ錠200mg 長径:約15.0mm 短径:約7.9mm 厚さ:約5.7mm
ゾビラックス錠200 直径:8.6mm 厚さ:4.5mm
ゾビラックス錠400 直径:11mm 厚さ:5.2mm
バルトレックス錠500 長径:18.5mm 短径:7.3mm 厚さ:6.1mm
ファムビル錠250mg  直径:約10.1mm  厚さ:約4.6mm

でかいことで有名な、バルトレックスよりかは小さいものの、比較的大き目の錠剤ですね。
コーティングがされているので、かまずにそのまま飲み込んだほうがよいので、大きい錠剤苦手という方は、医師に相談してみてください。

アメナリーフの効果・効能

作用機序
アメナメビルは、ヘルペスウイルスのヘリカーゼ・プライマーゼ複合体のDNA依存的ATPase活性、ヘリカーゼ活性及びプライマーゼ活性を阻害することにより、ヘルペスウイルスのDNA複製を阻害する。単純ヘルペスウイルス1型のヘリカーゼ・プライマーゼ複合体のDNA依存的ATPase活性、ヘリカーゼ活性及びプライマーゼ活性を、それぞれ0.078μmol/L(50%阻害濃度)、0.1μmol/L及び0.03μmol/L以上の濃度で阻害した16)。また、水痘・帯状疱疹ウイルスのDNA複製を0.03μmol/L以上の濃度で阻害した。
引用:アメナリーフ 添付文書

アメナリーフは、いままでにない抗ウイルス活性をもつ薬です。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、DNAを複製することにより増殖していくのですが、アメナメビルはそのDNAは複製に必要な酵素(ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体)をブロックすることにより抗ウイルス活性を有します。

いままでの帯状疱疹の薬(アシクロビル・バラシクロビル・ファムシクロビル)は、DNAポリメラーゼという酵素をブロックする薬でした。
ヘリカーゼ・プライマーゼ複合体のほうがDNA複製において、DNAポリメラーゼよりも出番が早いので、上流をブロックするアメナリーフのほうが、抗ウイルス活性は高いと考えられています。

また、作用機序が異なるので、いままでの帯状疱疹治療薬では効きにくかった耐性ウイルスにも効果を発揮すると考えられます。

アメナメビルは、VZVに対して、核酸類似体である既存薬よりも高い抗ウイルス活性を示す(in vitro)
引用:アメナリーフ インタビューフォーム
補足:VZV=水痘・帯状疱疹ウイルスの略

ちなみに口唇ヘルペスの原因となる単純ヘルペスウイルス1型(Herpes simplex virus type 1 (HSV-1))に対しても効果があるとわかっています。
水疱・帯状疱疹ウイルスと単純ヘルペスウイルスは同じ科に属しているので、親戚のような関係であり、どちらにも効く場合が多いです。

ただ、アメナリーフは現在のところ、単純ヘルペスウイルスに対する適応(保険請求してよいよという国からのお墨付き)をもらっていませんので、用いられることはないでしょう。
どの病気で適応をとるのかというのは、製薬会社の販売戦略も絡んでくる部分なので詳細はわからないのですが、たぶん、単純ヘルペスウイルスには、同じ製薬会社が作っている別の抗ウイルス薬を使ってほしいという意図があるので、単純ヘルペスには適応をしばらく取らないかと思われます。

アメナリーフの用法・用量

2. 用法及び用量
通常、成人にはアメナメビルとして1回400mgを1日1回食後に経口投与する。
引用:アメナリーフ 添付文書

1錠が200mgなので、2錠を1日1回服用するのが標準的な使用方法です。

食後なのは、空腹時に使用すると食後投与と比較して、有効成分の吸収が下がることが報告されているためです。
朝食抜き!とか夕食抜き!といった食生活をされている方は、予めアメナリーフが処方されるようだったら、医師と服用時点を相談しておくとよいでしょう。

アメナリーフの副作用・注意点

副作用として、下痢や気持ち悪さ、胃炎などが報告されています。
服用開始して、体調が悪化したら、医師に相談するようにしましょう。

禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.リファンピシンを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
引用:アメナリーフ 添付文書

リファンピシンとは、抗生物質の一つです。
なぜ禁忌に設定されているかというと、アメナメビル・リファンピシンともに、CYP3Aと呼ばれる薬物分解酵素を誘導(増やす)することがわかっているため、それらの血中濃度が低下してしまい、期待する効果を発揮しない可能性があるためです。

つまりは、一緒に使うと両方共効果を得られないよ!ということになります。
そうすると、互いに治療の邪魔をしてしまうことになるので、一緒に飲んではダメ!と定められています。
薬にはこういった併用禁忌・注意といった縛りがあることがあるので、お薬手帳を活用して、医師・薬剤師に自分が服用している薬を知らせるというのが大事です。

本剤の投与は、発病初期に近いほど効果が期待できるので、早期に投与を開始すること。なお、目安として皮疹出現後5日以内に投与を開始することが望ましい。
(2) 本剤は、原則として7日間使用すること。改善の兆しが見られないか、あるいは悪化する場合には、速やかに他の治療に切り替えること。
引用:アメナリーフ インタビューフォーム

帯状疱疹治療において、とても大事なことは、ウイルスが本格的に増殖しだす前に薬物治療を開始するという点です。
抗ウイルス薬といっても、ウイルスを殺せるわけではなく、増殖を抑える働きがあるだけなので、増殖しきってからでは遅いのです。
ちょっとピリピリ痛みを感じるなー、なんか怪しいなと感じたら、すぐ皮膚科を受診するようにするとよいでしょう。

もちろん、服用の期間・用法用量については医師の指示に従うようにお願い致します。

飲み忘れはしちゃだめ?

臨時で増える薬は、どうしても飲み忘れてしまうことがありますが、帯状疱疹の薬は、ぜひとも飲み忘れないでほしいです。

というのも、帯状疱疹後神経痛のリスクがあがってしまうからです。
帯状疱疹後神経痛とは、帯状疱疹に罹患することで、神経が炎症・傷ついてしまうことで、ウイルスの活動がおちついた後も、ぴりぴりとした痛みが継続してしまう後遺症のことをいいます。

この後遺症になってしまうリスクをあげてしまう要因として、ウイルスの活動をのさばらせすぎたという要因があります。
具体的には、治療開始が遅れてしまった、服薬を中断・忘れてしまった、ことによります。

なので、後遺症のリスクを下げるためにも、是非飲み忘れないように、医師の指示通り服用してください。

グレープフルーツはNG

グレープフルーツやグレープフルーツジュースに含まれている成分が、アメナリーフを分解し無効化する酵素の働きを抑えることがわかっています。
なので、必要以上に体内にアメナリーフの成分が残り、副作用がでてくる可能性があがります。

治療中は、グレープフルーツやグレープフルーツジュースの摂取は控えるようにしましょう。

どのような方に使われるか

アメナリーフは帯状疱疹治療薬なので、もちろん帯状疱疹の患者さんに用いられるのですが、他の薬との出しわけはどのように行われるのでしょうか。

アメナリーフのメリットは、用量を腎機能に影響されないことです。
なので、高齢の方に用いることが多くなりそうです。

高齢じゃなくても、帯状疱疹にはアメナリーフ投与しておけばよいかな?と思いますが、まだ新薬なためジェネリックもなく、抗ウイルス薬なので、高いんですよね。
アメナリーフは、2017年9月現在 1錠1469.7円します。
基本的な1日2錠 7日分ですと、20575.8円です。

1割負担の方であれば、2000円そこらですが、3割負担の方ですと6000円で、ちょっと負担が大きいです。
なので、医師の判断にもよりますが、まだ3割負担の患者さんですと、すでにジェネリックが発売されているバルトレックス(バラシクロビル)などを処方するケースが多いのではないのでしょうか。

まとめ

アメナリーフは有効成分アメナメビルの帯状疱疹治療薬です。
他の帯状疱疹治療薬と違う特徴として、1日1回の服用でよいこと、腎機能の低下している患者さんでも通常量で用いることができる点があります。

帯状疱疹は、ウイルスが増殖するまえに使用することが大事な薬なので、ピリピリするなーなどの違和感を感じたら、皮膚科を受診することをおすすめします。

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