はじめに
OTC薬として多くの方が一度は使ったことがあるであろうオロナインH軟膏。
オレンジ色のツボの容器、どこの家庭にでもおいてありそうな感じがしますね。
今回は、オロナインH軟膏について、その効果効能と副作用・注意点について紹介します。
どうやら、週刊誌で「新たに副作用がみつかったあの有名薬」という内容で騒がれているみたいです。
本文下記にまとめたので、参考にしてください。
【2018年6月25日追記】週刊誌で騒がれた新たな副作用について
目次
オロナインH軟膏ってどんな薬?
オロナインH軟膏ってどうやって効くの?
オロナインH軟膏の用法・用量
オロナインH軟膏の副作用
オロナインH軟膏の注意点
まとめ
【2018年6月25日追記】週刊誌で騒がれた新たな副作用について
オロナインH軟膏ってどんな薬?
オロナインH軟膏は、有効成分がベンザルコニウム塩化物の軟膏の塗り薬です。
処方せんなしで購入することができる、OTC医薬品に分類されます。
効能・効果
にきび、吹出物、はたけ、やけど(かるいもの)、ひび、しもやけ、あかぎれ、
きず、水虫(じゅくじゅくしていないもの)、たむし、いんきん、しらくも
引用:オロナインH軟膏 添付文書
オロナインHは皮膚の比較的軽めの外傷や感染症に、効果を発揮する薬です。
おそらく多くの方が勘違いしていると思うのですが、オロナインは虫刺されには使用してはいけません。
虫刺されによる腫れやかゆみは炎症反応が原因であり、オロナインでは回復しなく放置することで症状の悪化の危険性があるなど、メリットがないので添付文書上「してはいけないこと」になっています。気をつけてください。
オロナインH軟膏ってどうやって効くの?
◎ 有効成分(1g中)
クロルヘキシジングルコン酸塩液(20%):10mg
引用:オロナインH軟膏
オロナインH軟膏に含まれている有効成分、ベンザルコニウム塩化物は、陽イオン界面活性剤と呼ばれる成分に分類されます。
陽イオン界面活性剤は、逆性石鹸とも呼ばれて、殺菌・消毒用に用いられます。
医療現場でもよく用いられます。
陽イオン界面活性剤は、細菌の細胞膜と呼ばれる組織のタンパク質を変化させることで、細胞の骨格を維持できなくさせ、殺す作用を持ちます。
細菌が患部にいると、膿がでたり、症状がひどくなるので、細菌を殺して回復を早めようとする薬です。
オロナインH軟膏の用法・用量
用法・用量
患部の状態に応じて適宜ガーゼ・脱脂綿等に塗布して使用するか又は清潔な手指にて直接患部に応用します。
《用法及び用量に関連する注意》
(1)小児に使用させる場合には、保護者の指導監督のもとに使用させてください。
(2)目に入らないように注意してください。万一、目に入った場合には、すぐに水又はぬるま湯で洗ってください。なお、症状が重い場合には、眼科医の診療を受けてください。
(3)本剤は外用にのみ使用してください。
(4)患部やその周囲の汚れを落としてから使用してください。
引用:オロナインH軟膏 添付文書
オロナインは患部に直接塗布する薬です。
傷口からじゅくじゅくとした浸出液が染み出すようであれば、ガーゼ・脱脂綿にオロナインを塗って貼付するとよいでしょう。
また、指を使って塗布するときには、まず手を石鹸で洗って清潔にしてから塗布してください。怠ると、手の細菌が患部に付着してしまいかねないので。
オロナインは目に使用することができない軟膏薬です。
目の中や目の周囲に使用する場合は、眼科もしくは皮膚科を受診するようにしましょう。
オロナインH軟膏の副作用
オロナインH軟膏の副作用として、発疹・発赤、かゆみ、はれ、乾燥、ひびわれが報告されています。
塗っていて症状の悪化がある場合は、使用を中止して皮膚科を受診するようにしましょう。
オロナインH軟膏の注意点
オロナインH軟膏は、その有効成分の消毒性能から、細菌を殺す作用を持ちます。
ですが、炎症や腫れ、出血を鎮める効果はありません。
かゆみ、痛み、腫れがひどい場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
また、オロナインH軟膏を5~6日間程度使用していても、症状がよくならない場合も皮膚科を受診するようにしましょう。
してはいけないこと
(守らないと現在の症状が悪化したり、副作用が起こりやすくなる)
次の部位には使用しないでください。
(1)湿疹(ただれ、かぶれ)
(2)化粧下
(3)虫さされ
相談すること
1. 次の人は使用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください。
(1)医師の治療を受けている人
(2)薬などによりアレルギー症状(例えば発疹・発赤、かゆみ、かぶれ等)
を起こしたことがある人
(3)患部が広範囲の人
(4)湿潤やただれのひどい人
(5)深い傷やひどいやけどの人
引用:オロナインH軟膏 添付文書
ただれ・かぶれのある箇所には使用しないようにしましょう。
化学的な刺激により症状の悪化、有効成分が多く血流に乗ることにより副作用の可能性が高まるためです。
また、虫刺されにも使用しないようにしましょう。化学的な刺激による症状の悪化の可能性や、そもそも炎症・かゆみを鎮める効果がないためです。
また、相談することに記載がある通り、アレルギー症状を起こしたことがある人や、症状の程度が重い人は、薬剤師・医師に相談してから使用してください。
まとめ
オロナインH軟膏は、皮膚の傷などにいる細菌を殺す効果をもつ塗り薬です。
ですが、虫さされには使用することができません。
そのほか、症状が重い場合は早めの受診を心がけてください。
皮膚の軽い外傷、細菌感染に効果を発揮する薬ですので、一家に一個あっても損はないでしょう。
【2018年6月25日追記】週刊誌で騒がれた新たな副作用について
週刊誌で、オロナインの副作用として取り上げられていたのは、『ショック(アナフィラキシー)』です。
【使用後すぐに、皮膚のかゆみ、じんましん、声のかすれ、くしゃみ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸、意識の混濁等があらわれる。】と記載されています。
たしかに、この副作用は2017年11月1日改訂の添付文書で新たに記載がされました。
このタイミングで記載された理由は定かではないですが、おそらくそのような副作用がでたという症例が報告されたのでしょう。
ですが、この副作用はどの薬であっても起こりうる頻度がかなり低い副作用です。
その薬の成分が、使用者にまったくもって合わなかった場合に生じますので、あるにはあるだろうなという印象です。
よく言われる話ですが、薬はリスクとベネフィットのバランスを考えて用いることが大事だと思います。
副作用は薬を使っている以上どうしてもでてきます。それを上回る利益があれば、それは使ったほうがよいと個人的には思います。
一方で、週刊誌で取り上げられている通り、確かに発売後に副作用が見つかった場合、それを医師や薬剤師が知らなくては危ないですよね。
医療用医薬品のうち、特に重大な副作用などが発売後に判明した場合、厚生労働省の指示で製造販売業者が「ブルーレター(安全性速報)」「イエローレター(緊急安全性情報)」を発出します。
【ブルーレター・イエローレター】医薬品の安全性を守る通知とは?
医療関係者は目を通すべき文書となっています。
だから、週刊誌で言われている、「医師も知らない」というのは、ちょっとずれているかなと思います。
また、添付文書の改定情報は、DSU(医薬品安全対策情報)という書類にて月に1回、医療機関に配布されたり、各製薬会社のMR(医薬情報担当者)が情報提供しに訪問しにきたりするので、まったくもって無頓着というわけではありません。
週刊誌の副作用を大げさに取り上げて不安を煽るのは、正直好きではありません。
客観的にそれ飲んだ方が絶対に良い薬を飲まなくなって、それで患者さんが健康被害被ったら、だれが責任とるのでしょうか。
薬を使っている人は、週刊誌に書いてあることを鵜呑みにせず、不安なことあれば医師や薬剤師に相談するようにしてください。
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