【ラパリムス(シロリムス)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

ラパリムスは、リンパ脈管筋腫症治療剤(mTOR阻害剤)です。
リンパ脈管筋腫症(LAM)は、平滑筋様の腫瘍細胞(LAM細胞)が増殖する病気で、肺に嚢胞を形成します。

ラパリムスは、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を阻害することで、免疫を抑制し、LAMを治療する薬です。

今回は、ラパリムスについて、その効果の発揮の仕方、副作用や注意点について、説明します。

目次

ラパリムスってどんな薬?
ラパリムスってどうやって効くの?
ラパリムスの用法・用量
ラパリムスの副作用
ラパリムスの注意点
まとめ

ラパリムスってどんな薬?

ラパリムスは、リンパ脈管筋腫症の治療薬です。
有効成分は、シロリムスでmTOR阻害作用を有します。
日本では2014年12月に販売が開始されました。

効能又は効果
リンパ脈管筋腫症

効能又は効果に関連する使用上の注意
本剤の使用にあたっては、厚生労働省難治性疾患克服研究事業呼吸不全に関する調査研究班のリンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)診断基準等を参考に確定診断された患者を対象とすること。
引用:ラパリムス 添付文書

ラパリムスはリンパ脈管筋腫症の薬なので、その病気であると確定診断されなければ使ってはいけません。

リンパ脈管筋腫症とは?

リンパ脈管筋腫症はLAM細胞という細胞が、肺・リンパ節・腎臓などでゆっくりと増えることが原因で生じる病気です。

日本では難病に指定されており、患者数の実数はまだ不明ですが、人口100万人あたり約1.9~4.5人程度の有病率であると考えられています。
男性よりも女性におおく発症する病気で、30歳半ばで診断されるケースが多いです。
結節性硬化症という、体の様々なところに過誤腫という良性腫瘍ができる病気と併発するケースが多い病気でもあります。

主な症状として、肺の病変があり、運動したりすると息が切れる、咳、痰、喘息などの症状があります。

原因として、細胞の増殖をコントロールするタンパク質を作る遺伝子である、TSC1またはTSC2の異常が原因ではないかと考えられています。
この遺伝子が変異していることにより、細胞増殖のコントロールがうまくいかず、異常な増殖能力をもつLAM細胞が生じ、またこのLAM細胞が肺を分解する酵素をだすことによって、肺に穴をあけるのではないか、とされています。

ラパリムスってどうやって効くの?

ラパリムスの有効成分シロリムスは、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)という細胞の分裂・増殖を調整するタンパク質の作用をブロックします。

どうしてmTORの作用を抑制すると、リンパ脈管筋腫症を治療できるのでしょうか。
それは、TSC1・TSC2遺伝子の異常により、mTORが活性化するためです。

TSC1・TSC2がコードしているタンパク質は、【ハルマチン】【ツベリン】ですが、これらは複合体を形成して、GTP結合タンパク質であるRhebを抑制することで、mTORの活動をある程度抑えています。
ところが、リンパ脈管筋腫症は、TSC1・TSC2が変異し、この抑制がうまくいかず、タンパク質合成・細胞増殖が盛んに行われてしまいます。

シロリムスはmTORの活性を阻害することで、それらタンパク質合成・細胞増殖を抑えることができます。

ラパリムスの用法・用量

用法及び用量
通常、成人にはシロリムスとして2mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。

用法及び用量に関連する使用上の注意
1.高脂肪食の摂取後に本剤を投与した場合、血中濃度が増加するとの報告がある。
安定した血中濃度を維持できるよう、本剤の投与時期は、食後又は空腹時のいずれか一定とすること。
2.本剤のトラフ濃度や投与量の増加に伴い、間質性肺疾患の発現リスクが増加する可能性がある。間質性肺疾患が発現した場合は、症状、重症度に応じて、以下の目安を考慮し、休薬又は中止すること。
引用:ラパリムス 添付文書

ラパリムスの副作用

報告されている主な副作用として、口内炎・鼻咽頭炎・上気道の炎症・発疹・下痢・頭痛・ざ瘡様皮膚炎などがあります。

ラパリムスには免疫反応を抑える作用もあるため、細菌やウイルス感染に弱くなります。
その影響による副作用が多くみられます。

特に重篤な副作用として、間質性肺疾患があります。
海外では死に至ってしまったケースもあるので、せき・呼吸困難など、違和感あればすぐに受診しましょう。

また、肝炎ウイルスキャリアの方は、ウイルスが活動的になる可能性があるので、より注意して投与することとされています。

ラパリムスの注意点

副作用欄で記載しましたが、免疫抑制作用があるため、細菌・ウイルス感染しやすくなっています。
体調管理はいつも以上に注意するとともに、体調悪化あれば医師に早めに相談するようにしましょう。

ラパリムスを使ってはいけない方

【禁忌(次の患者には投与しないこと)】
1.本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
2.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
引用:ラパリムス 添付文書

ラパリムスもしくはシロリムス誘導体(例:アフィニトール、トーリセル)を過去使用して、アレルギー反応やアナフィラキシーショックを起こしたことがある方には使用することができません。
また、妊婦・妊娠している可能性がある方にも使えません。ラットによる試験で、胎児毒性が認められているためです。

ラパリムスと一緒に使ってはいけない薬

生ワクチン(麻しん・風疹・経口生ポリオ・BCGなど)は行うことができません。
免疫が抑えられているので、ワクチンによってさえも、その病気を発症してしまう危険があるためです。

服用中の方は、ワクチンうける際には、医師にこの薬のんでます!と報告できるように、お薬手帳活用してください。

まとめ

ラパリムスはリンパ脈管筋腫症(LAM)に用いられる薬です。
有効成分シロリムスが、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)を阻害することで、LAMの原因となるLAM細胞の細胞増殖機能を抑制することで、効果を発揮します。

免疫作用も有しているので、副作用など注意が必要な薬になります。
使用するときは、医師の指示どおり使うようにしましょう。

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