はじめに
ステロイドの外用薬は、アトピー性皮膚炎や乾癬、発疹や蕁麻疹などの、炎症反応やアレルギー反応が原因となって生じる症状に用いられる薬です。
ステロイドは種類によって効き目に差があります。
その強さによって、5段階に分かれています。
今回は、日本皮膚科学会が発行している【ガイドラインアトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版】を参考にして、その強さの順をまとめます。
目次
ステロイド外用薬の強さの順って?
ステロイド外用薬ってどうやって効果を発揮するの?
ステロイド外用薬使用にあたっての注意点
まとめ
ステロイド外用薬の強さの順って?
ステロイド薬はその強さに応じて、5段階にわけられています。
上から、ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィークと呼ばれています。
強弱 | 有効成分名 | 商品名 |
ストロンゲスト (最も強力:Strongest) |
クロベタゾールプロピオン酸エステル | デルモベート |
ジフロラゾン酢酸エステル | ジフラール・ダイアコート | |
ベリーストロング (とても強力:Very Strong) |
モメタゾンフランカルボン酸エステル | フルメタ |
酪酸プロピオン酸ベタメタゾン | アンテベート | |
フルオシノニド | トプシム | |
ベタメタゾンジプロピオン酸エステル | リンデロンDP | |
ジフルプレドナート | マイザー | |
アムシノニド | ビスダーム | |
吉草酸ジフルコルトロン | テクスメテン・ネリゾナ | |
酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン | パンデル | |
ストロング (強力:Strong) |
デプロドンプロピオン酸エステル | エクラープラスター・エクラー |
プロピオン酸デキサメタゾン | メサデルム | |
デキサメタゾン吉草酸エステル | ボアラ・ザルックス | |
ハルシノニド | アドコルチン | |
ベタメタゾン吉草酸エステル | ベトネベート ,リンデロンV ,リンデロンVG | |
フルオシノロンアセトニド | フルコート | |
ミディアム (中等度:Medium) |
吉草酸酢酸プレドニゾロン | リドメックス |
トリアムシノロンアセトニド | レダコート | |
アルクロメタゾンプロピオン酸エステル | アルメタ | |
クロベタゾン酪酸エステル | キンダベート | |
ヒドロコルチゾン酪酸エステル | ロコイド | |
デキサメタゾン | グリメサゾン・オイラゾン | |
ウィーク (弱め:Weak) |
プレドニゾロン | プレドニゾロン |
ステロイド外用薬ってどうやって効果を発揮するの?
ステロイド外用薬は、皮膚を浸透した後に細胞に取り込まれます。
細胞内の核という遺伝子が格納されている場所に作用して、リポコルチンと呼ばれるタンパク質の合成を促進させます。
リポコルチンは、プロスタグランジンやトロンボキサン、ロイコトリエンといった炎症に関与する物質の原料を作り出す【ホスホリパーゼA2】を阻害することで、炎症反応全体を鎮めることができます。
その結果、蕁麻疹・発疹・湿疹・アトピー性皮膚炎・乾癬といった、炎症・アレルギー反応が原因となる症状を緩和することができます。
ステロイド外用薬使用にあたっての注意点
ステロイドは効果はすごい優れているのですが、副作用の発現可能性が高いです。
遺伝子レベルで、免疫をコントロールするためです。
ですが、ステロイド外用薬であれば、使用方法を間違えなければ、比較的安全にに用いることができます。
①医師の指示された部位につかうこと。
ステロイドは塗る部位によって、体内への吸収率が異なります。
皮膚の薄さや血液の流量が部位によって異なるためです。
前腕内側を1.0とした場合、下記のような吸収率になります。
- 足のうら→0.14
- 足首→0.42
- 手のひら→0.83
- 前腕外側→1.1
- 背中→1.7
- 頭皮→3.5
- わきのした→3.6
- くび→6.0
- ほほ→13.0
- 陰嚢→42.0
吸収率がことなるので、手や足になら強めでガッツリ治したいけど、顔だと吸収量上がるから弱めでコントロールしようという発想になります。
※ただし補足ですが、医師の考え方によっては、顔であってもstrong群以上の薬使うことがあります。
短期で強めの薬を使って、がっつり治したいといった狙いなどがあるためです。必ずNG!とはいえないので、医師の指示に従うようにしてください。
②用法用量を守る。
頻回に多量に塗ったほうが早く治りそうですが、そんなことはありません。
むしろ副作用の可能性を高めるだけです。
早く治したい気持ちはわかりますが、量も回数も医師から指示されたとおりお願いします。
また、1週間までの使用に留めるといった期間限定の指示もあります。
その期間を超えて症状改善されなければ、再度医師の診察を受けるようにしましょう。
③大人に処方された薬を子供に使わない。
大人と子供、皮膚の厚さが異なるため、吸収率が変わります。
もちろん、子供のほうが当然薄いので、吸収が良いです。
親が手用にもらった薬だからといって、その薬を同じ症状だとしても子供に独断で使用しないようにしましょう。
基本的には、大人のワンランク下の薬を子供には使用します。
まとめ
ステロイドは、種類によって効果の強さがことなる薬です。
年齢、部位、症状に応じて、医師が強さを判断して処方してくれます。
外用薬ステロイドは、正しく使えば安全に使うことができる薬です。
医師が指示した、量・回数・期間で使用するようにしましょう。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。