はじめに
トラディアンス配合錠は2型糖尿病の治療薬です。
エンパグリフロジンとリナグリプチンの二つの有効成分が配合されています。
エンパグリフロジンはジャディアンスとして、リナグリプチンはトラゼンタとして、すでに販売されている薬になります。
目次
トラディアンス配合錠ってどんな薬?
トラディアンス配合錠って何の病気に使えるの?
トラディアンス配合錠ってどうやって効くの?
トラディアンス配合錠が効くかってどうやって確かめたの?
トラディアンス配合錠の一般的な使う量と回数
トラディアンス配合錠の副作用
トラディアンス配合錠で気を付けることは?
トラディアンス配合錠のジェネリック(GE)ってあるの?
トラディアンス配合錠の市販薬(OTC)ってあるの?
まとめ
関連する情報
トラディアンス配合錠ってどんな薬?
トラディアンス配合錠は、SGLT-2阻害作用を有するエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)と、DPP-4阻害作用を有するリナグリプチン(商品名:トラゼンタ)が配合された薬です。
2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)の治療に用いられます。
トラディアンス配合錠には、配合量の異なる2つが用意されており、AP錠はリナグリプチン5mg+エンパグリフロジン10mg、BP錠はリナグリプチン5mg+エンパグリフロジン25mgとなっています。
2型糖尿病の第一選択薬としては用いられずに、DPP-4阻害薬単体、もしくはSGLT-2阻害薬単体でも効果が不十分な場合に用いられます。
トラディアンス配合錠って何の病気に使えるの?
2型糖尿病に用いられます。
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があります。
1型糖尿病は、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞が、自己免疫反応(自分の組織を自分自身が攻撃してしまう反応)によって、破壊されてしまうことで、インスリン分泌ができなくなり、血糖値が高い状態になる病気です。
1型糖尿病の治療は、原則としてインスリンの注射になります。
対して、2型糖尿病は、食生活の悪化(暴飲暴食など)・運動不足・遺伝などによって生じる病気です。
インスリンの分泌能力の低下+インスリンを受け取って糖分を回収する各種細胞(肝臓・筋肉など)のインスリン反応性が悪くなる(インスリン抵抗性という)ことで生じる高血糖です。
血糖値は高いことは何で問題なのでしょうか?
念のため、糖分は悪なわけではありません。脳の唯一のエネルギー源であるなど、糖分は必要不可欠なのです。
問題なのは、血液中にその量が多いことです。
糖分が多いと、合併症を併発してしまいます。
3大合併症として、
- 糖尿病神経障害
- 糖尿病網膜症
- 糖尿病腎症
があります。
それぞれどういう病気なのか、簡単に説明していきますね。
糖尿病神経障害
手足の神経に異常が生じ、しびれ感や痛みを生じます。
だんだんと痛みを感じにくくなり、足を怪我していても気づかず、処置が遅れ、足の潰瘍や壊疽を引き起こし、最悪の場合、足を切断する必要が生じます。
糖尿病網膜症
高血糖により、目の網膜にある毛細血管が傷つき、次第に視力が奪われてしまう病気です。
最悪の場合、失明にいたります。
日本では、緑内障に続く、第二位の失明原因です。
糖尿病腎症
腎臓にある細い血管が傷つき、老廃物を除去するという腎臓の機能が低下してしまいます。
悪化すれば、透析治療が必要となります。
このような合併症がかなり重篤であり、なにも症状がでないからといって高血糖状態を放置しておくのはかなり危険といえます。
また、高血糖状態を放置していると、さらにインスリンが効きづらくなり、より一層高血糖となる悪循環が生まれます。
なので、早期発見して、血糖値コントロールすることが大事となります。
トラディアンス配合錠ってどうやって効くの?
トラディアンスには、エンパグリフロジンとリナグリプチンの二つの有効成分が含まれているので、それぞれ説明していきます。
エンパグリフロジン
エンパグリフロジンは、SGLT2阻害作用を有する成分です。
ジャディアンスとして、すでに販売されています。
SGLT2とは、sodium glucose cotransporter2の略で、腎臓の近位尿細管という場所に存在する酵素です。
SGLT2は、一度尿として排出した糖分を、再度血管に取り込む役割を果たしています。
糖分は、脳のエネルギー源になるなど、人体に必要不可欠な物質なので、体にとどめておく仕組みがあるのです。
ただ、糖尿病患者さんでは、血液中に糖分が多くあることが問題なので、SGLT2の機能を止めて、尿と一緒に糖分を排出してしまおうという考えから作られたのが、SGLT2阻害薬になります。
リナグリプチン
リナグリプチンは、DPP-4阻害作用を有する成分です。
トラゼンタとして、すでに販売されています。
DPP-4とは、Dipeptidyl Peptidase-4のことで、インクレチン(GLP-1、GIP)を分解する酵素です。
腸管から放出されるインクレチンは、膵臓に働きかけ、インスリンの分泌を促進させる効果があります。
そのため、血糖値を下げる働きを持ちます。
DPP-4阻害薬は、インクレチンの分解を抑制することで、インスリンの放出を促し、血糖値を下げる効果が期待できます。
トラディアンス配合錠の一般的な使う量と回数
用法及び用量
通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチ
ンとして10mg/5mg又は25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口
投与する。
1日1回服用するタイプの薬です。
トラディアンス配合錠の副作用
副作用として、頻度が高いと報告されているのは、尿路感染症・膀胱炎、脂質異常症、便秘、頻尿などです。
SGLT2阻害作用を有するエンパグリフロジンは、尿中に糖分を排出するのを促進する薬なので、その副作用として尿路感染症を起こしやすくなるというのがあります。
トラディアンス配合錠で気を付けることは?
やはり、血糖降下剤に共通する注意点として、低血糖の症状に注意が必要です。
冷や汗、震え、強い空腹感が生じる場合は、低血糖の可能性があるので、ブドウ糖を摂取する必要があります。
血糖降下剤を服用している方は、お守り代わりにブドウ糖を常に持っておくとよいでしょう。
その他の飲み合わせで注意が必要な薬がいくつか報告されているので、併用薬がある場合は医師・薬剤師の確認をしてもらうとよいでしょう。
トラディアンス配合錠のジェネリック(GE)ってあるの?
まだジェネリックの販売は開始されていません。
トラディアンス配合錠の市販薬(OTC)ってあるの?
糖尿病薬は、医師の管理下のもと適切に血糖値コントロールする必要があるので、OTCとしては販売されていません。
まとめ
トラディアンス配合錠は、SGLT2阻害作用を有するエンパグリフロジンとDPP-4阻害作用を有するリナグリプチンを組み合わせた薬です。
2型糖尿病の治療に用いられます。
使用に際しては、医師の指示に従って服用するようにしてください。
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