ウェルニッケ・コルサコフ脳症という中枢神経障害を知っていますか?
この病気は、実はビタミンB1が不足してしまうことで生じる病気です。
今回は、ビタミンB1について解説していきたいと思います。
ビタミンB1の働き
ビタミンB1は、チアミンピロリン酸(TPP)に生体内で変化して、酸化的脱炭酸反応の補酵素(酵素の働きを助ける物質)として利用されています。
酸化的脱炭酸反応は、糖の代謝を行う際に生じる反応の一つです。
ビタミンB1を多く含む食品
- 肉類
- 牛乳
- 酵母
- 穀物
ビタミンB1の欠乏症
ビタミンB1が欠乏すると、脚気やウェルニッケ・コルサコフ脳症などの神経障害を引き起こします。
糖代謝がうまく進まないために、ピルビン酸や乳酸といった物質が増えてしまい、神経の働きを邪魔してしまうことで、神経障害が起こるとされています。
脚気は、末梢の神経障害です。検査する方法として、膝の腱の部分をたたいた際に無意識に足が跳ね上がる反射(膝蓋腱反射)があるかどうかを確認する方法があります。この反射が起こらない場合、脚気の状態であると分かります。
ウェルニッケ・コルサコフ脳症では、症状として眼球が全く動かなくなってしまうなどがあり、放っておくと死にいたる病気です。
初期の段階であれば、ビタミンB1の投与で死にはいたりませんが、健忘(忘れやすい状態)が後遺症として残る危険があります。
脚気が末梢の神経障害に対して、ウェルニッケ・コルサコフ脳症は中枢神経の障害です。
ビタミンB1が欠乏する理由として、アルコール依存症があげられます。
アルコールの過剰摂取により、ビタミンB1の吸収が抑制されてしまう、かつアルコール依存症では食事をあまり取らなくなるためビタミンB1がより欠乏してしまうことが理由とされています。
高カロリー輸液を用いた完全静脈栄養の処置がなされている患者さんでは、ビタミンB1が不足してしまわないように、別にビタミンB1を投与することで欠乏症を回避することが多いです。
ビタミンB1の過剰症
ビタミンB1は水溶性ビタミンであるので、過剰症になることはないとされています。
余分な分は、尿と共に排泄されるからです。
まとめ
ビタミンB1は、糖の代謝過程で重要な役割を果たし、欠乏すると神経障害を引き起こすことがあります。
アルコール依存症では、欠乏症になりやすいので、注意しましょう。
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