はじめに
ゾフルーザは、インフルエンザの治療薬として用いられる薬です。
2018年2月に日本で製造販売承認がおりたので、4~5月くらいに販売が開始される予定です。
※予想以上の爆速で、2018年3月14日に販売が開始されました。(追記:2018年3月14日)
有効成分は、バロキサビルマルボキシルです。
インフルエンザウイルスを殺す作用を持ちます。
インフルエンザの治療薬としてはすでに、イナビル・リレンザ・タミフル・ラピアクタが販売されており、いまさら必要?という感じもしますが、ゾフルーザは1回だけ服用すれば効果を発揮する治療薬なので、患者さんの負担もかなり減らすことができます。
今回は、そんなゾフルーザについて、その効果効能、副作用と注意点について紹介します。
目次
ゾフルーザってどんな薬?
ゾフルーザってどうやって効くの?
ゾフルーザの用法・用量
ゾフルーザの副作用
ゾフルーザの注意点
まとめ
ゾフルーザってどんな薬?
ゾフルーザは、2018年2月に製造承認を取得した、インフルエンザ治療薬です。
2018年4~5月に販売開始される見込みとなっています。
錠剤のみの販売となっており、有効成分はバロキサビル マルボキシルです。
【効能・効果】
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.抗ウイルス薬の投与が A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことを踏まえ,本剤の投与の必要性を慎重に検討すること。
2.本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない。
3.本剤は細菌感染症には効果がない。
引用:ゾフルーザ 添付文書
A型・B型インフルエンザ感染症に効果を発揮します。
タミフルやイナビルに承認されている予防目的での使用は、現在のところ認められていません。
もちろん細菌感染症には効果がないので、インフルエンザが確定してからの利用になります。
ゾフルーザってどうやって効くの?
ゾフルーザの有効成分バロキサビルマルボキシルは、いままでのインフルエンザ治療薬とは異なる作用機序を有しています。
まず、バロキサビルマルボキシルは体内に吸収された後に、小腸や血液、肝臓で活性化され、活性体となります。
活性体は、インフルエンザウイルス感染細胞に入ると、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性の効力を失わせることで、mRNA合成を止め、ウイルス増殖を抑制する効果を発揮します。
細かく説明していきますね。
まず、キャップ依存性エンドヌクレアーゼとは、キャップ構造を有するmRNA前駆体(加工される前のmRNA)に作用して、特定の配列部分を切断する酵素を指します。
切断することで、mRNAの合成に必要不可欠な物質であるプライマーを作りだすことができます。
mRNAとはメッセンジャーRNAのことで、遺伝子の情報を複製し、タンパク質合成の設計図となる生体内の物質のことです。
キャップ構造とは、mRNAの最初の部分につけられる特定のアミノ酸配列のことを指します。
プライマーとは、遺伝子複製の過程で必要な最初のペプチド(アミノ酸がいくつかつらなったもの)のことを指します、
つまり、キャップ依存性エンドヌクレアーゼとは、mRNA複製過程において必要な、最初のペプチド構造を作らせないようにすることで、mRNAの複製を阻害し、mRNAが設計図となりつくられるタンパク質合成を抑制することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることができるということになります。
なお、キャップ依存性エンドヌクレアーゼは、インフルエンザウイルス特有の酵素になるので、人の酵素群に影響を与えることはないと考えられています。
ゾフルーザの用法・用量
【用法・用量】
通常,成人及び 12 歳以上の小児には,20mg 錠 2 錠(バロキサビル マルボキシルとして 40mg)を単回経口投与する。ただし,体重 80kg 以上の患者には 20mg 錠 4 錠(バロキサビル マルボキシルとして 80mg)を単回経口投与する。2. 通常,12 歳未満の小児には,以下の用量を単回経口投与する。
体重 用量
40kg 以上 20mg 錠 2 錠
(バロキサビル マルボキシルとして 40mg)
20kg 以上 40kg 未満 20mg 錠 1 錠
(バロキサビル マルボキシルとして 20mg)
10kg 以上 20kg 未満 10mg 錠 1 錠
(バロキサビル マルボキシルとして 10mg)<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤の投与は,症状発現後,可能な限り速やかに開始することが望ましい。[症状発現から 48 時間経過後に投与を開始した患者における有効性を裏付けるデータは得られていない。]
引用:ゾフルーザ 添付文書
ゾフルーザの特徴としては、なんといっても一回だけ薬を内服すればそれで効果がでるという点です。
吸入薬のイナビルも一回だけ吸えばよいという薬でしたので、その内服バージョンだと考えてください。
非常に利便性が高く、吸入薬のイナビルは吸う力を考慮する必要があり、使用できる人を選びましたが、内服であればそこまでの制約はないでしょう。
嘔吐が頻繁におきている場合は、服用後に吐いちゃうと十分に薬が吸収されない可能性があるので、その部分だけ注意が必要かなという感触です。
ゾフルーザの副作用
ゾフルーザの副作用としては、下痢やALT増加(検査値異常)が報告されています。
使用例がすくないので、今後使用していくにつれて、新たな副作用が報告されるかもしれません。
使用に際して、体調悪化や違和感あれば医師に相談するようにしましょう。
ゾフルーザの注意点
ゾフルーザの注意点として、他のインフルエンザ治療薬で認められた未成年・小児の異常行動の可能性がぬぐえないことから、未成年・小児に使用する場合は、しっかり監視下におくようにと定められています。
高所に居住している方であれば、窓やベランダへの出入り口の鍵をしっかりしめる、可能なら二重ロックを使うなどして容易に開けられないようにするなど、環境をととのえるとよいでしょう。
まとめ
ゾフルーザはインフルエンザ治療薬です。
インフルエンザの増殖の際に必要不可欠な、mRNAの合成を抑制することで、タンパク質を作らせなくし、ウイルスの増殖を抑える効果を発揮します。
イナビル、タミフル、リレンザとはことなる作用をもつ薬であり、また内服で1回だけ服用すればOKという点が新しいです。
服用に際しては、医師の指示通りに服用するようにしましょう。
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