武田薬品が臨床試験「CASE-J」のデータを不適切に使用して営業活動を行った問題

武田薬品の長谷川閑史社長は3月3日に開いた記者会見で、ARBブロプレス(一般名:カンデサルタン)をめぐり実施された大規模臨床試験「CASE-J」のデータを用いた情報提供活動で、日本製薬工業協会が定める医療用医薬品プロモーションコード違反があったことを認めた。
引用:武田薬品 CASE-J用いた情報提供活動でプロモーションコード違反

CASE-Jとは?

CASE-Jとは、Candesartan Antihypertensive Survival Evaluation in Japanの略で、日本におけるカルデサルタンを用いた高血圧治療に関する評価をする臨床試験といったところでしょうか。
カルデサルタンは、ARBという種類の高血圧治療薬です。ARBはアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬のことを言います。アンジオテンシンⅡは、副腎皮質に作用し、アルドステロンという水分を体内にため込む働きをする物質を産生させます。また、脳下垂体に作用し、尿の量を少なくするバソプレシンと呼ばれる物質の放出を促進させます。これらの作用により、体内に水分を多く保持させ、血圧を上昇させる働きがアンジオテンシンⅡにはあります。
ARBは、このアンジオテンシンⅡの受容体をブロックすることで、血圧の上昇を抑える効果があります。

カルデサルタンは、商品名「ブロプレス」として、武田薬品から販売されています。また、利尿薬であるヒドロクロロチアジドとの配合剤として、商品名「エカード」が販売されています。

プロモーションコードって?

プロモーションコードは、日本製薬工業協会が作成した、医薬品のプロモーションにおいて守らなければいけないルールのことです。医薬品は人の健康にかかわるものであるため、どんな手段を使っても売れば良いというのは倫理的に問題があります。そのため、製薬会社どうしであらかじめプロモーションに関してのルールを定めておこうということで、プロモーションコードは作られました。
参考:医療用医薬品プロモーションコード

今回の問題について

今回の問題では、カルデサルタン(商品名:ブロプレス)が他の薬よりも脳や心臓の病気を発症する危険性が少ないと誤認できるようなデータを用いて営業していたとのことです。統計の手法に問題があるようで、現在詳しい状況については第三者組織によって検証が勧められています。

こういった問題が頻発すると、製薬業界が信用されなくなるので、本当に止めてほしいですね。

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