乳がん・胃がんの分子標的治療薬ハーセプチン(トラスツズマブ)とは?

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はじめに

抗がん剤は様々な方法で、腫瘍細胞だけを破壊するように設計されています。
その一つが分子標的抗体薬です。

ハーセプチンは乳がん・胃がんに対する治療で用いられる薬です。
この薬は、乳がんや胃がん細胞に発現するHER2タンパクに対して、特異的に作用することで抗がん作用を示します。

今回は、ハーセプチンについて紹介していきたいと思います。

目次

ハーセプチンってどんな薬?
ハーセプチンの用法・用量
ハーセプチンの副作用・注意点
まとめ

ハーセプチンってどんな薬?

ハーセプチンとは、2008年2月に日本で発売開始された中外製薬が販売する抗がん剤です。

抗がん剤の中でも、分子標的型の抗体医薬品に分類される薬で、腫瘍細胞を選別して殺す能力に優れた薬です。
ハーセプチンは、乳がんや胃がんに存在するHER2タンパクの働きを特異的に抑え、腫瘍細胞の増殖能力を奪う働きがあります。

HER2タンパクとは?

HER2タンパクとは、ヒトがん遺伝子HER2/neu,erbB-2の産物で、正常細胞においては、細胞増殖などに関わっているタンパクです。「Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト上皮増殖因子受容体2)」の略がHER2です。

受容体型チロシンキナーゼの一つで、簡単に言うとスイッチの役割をしています。何らかの原因でこの遺伝子に変異や過剰発現が起こると、細胞増殖を制御することができなくなり、その細胞はがん化してしまいます。常にスイッチがオンな状態になってしまい、増殖し続けてしまうということです。

HER2タンパクが過剰に発現しているがんとして乳がんと胃がんがあります。

効能又は効果
・HER2 過剰発現が確認された乳癌
・HER2 過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌
引用:ハーセプチン 添付文書

発売当初は、HER2過剰発現の乳がんのみの適応でしたが、2011年3月にHER2過剰発現の胃がんに対しても用いることができるようになりました。

ハーセプチンの用法・用量

HER2 過剰発現が確認された乳癌には A 法又は B 法を使用する。HER2 過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌には他の抗悪性腫瘍剤との併用で B 法を使用する。
A 法:通常、成人に対して 1 日 1 回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には 4mg/kg(体重)を、2 回目以降は 2mg/kg を 90 分以上かけて 1 週間間隔で点滴静注する。
B 法:通常、成人に対して 1 日 1 回、トラスツズマブ(遺伝子組換え)として初回投与時には 8mg/kg(体重)を、2 回目以降は 6mg/kg を 90 分以上かけて 3 週間間隔で点滴静注する。
なお、初回投与の忍容性が良好であれば、2 回目以降の投与時間は 30 分間まで短縮できる。
引用:ハーセプチン 添付文書

ハーセプチンは、患者さんの体重に応じて投与量を変えます。
また、がんの状態に応じて医師の判断のもと、1週間間隔のA法か3週間間隔のB法で投与されます。

1回の注射も、ワンショットでドバっといれるのではなくて、少しづつ点滴投与して体調変化を観察しながら投与します。

本剤の投与時には、添付の日局注射用水(注射用 60:3.0mL、注射用 150:7.2mL)により溶解してトラスツズマブ 21mg/mL の濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに日局生理食塩液 250mL に希釈し、点滴静注する。

原則、生理食塩水に溶かして点滴として用いられます。

ハーセプチンの副作用・注意点

ハーセプチンは、抗がん剤のため副作用は比較的多く生じます。
多く見られるのは、吐き気・嘔吐・下痢といった消化器症状、動悸・息切れ・頻脈といった心臓の機能低下、発熱などがあります。

体調変化が生じるようであれば、速やかに医師に相談するようにしてください。

まとめ

ハーセプチンはHER2が過剰に発現している乳がんや胃がんに用いられる分子標的医薬品です。HER2タンパクに特異的に結合して、がん細胞の増殖を抑制する効果を通じて、がんを治療していく薬です。使用に際しては、HER2が過剰に発現しているかどうかの検査を行う必要があります。
分子標的薬ですので、正常な細胞に対しての攻撃は少ないため、副作用を軽減することが出来ると考えられています。(とはいえ、副作用はあるので、もっとよりよい分子標的薬を作るというのが、製薬業界の課題でもあります。)

こういった分子標的薬を始めとして、新しい抗がん剤が開発されて、がんを克服できるような世界が訪れることに期待です!

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