
はじめに
エビスタは、閉経後の骨粗しょう症の薬として用いられています。
有効成分はラロキシフェンで、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)に分類されるタイプの薬です。
今回は、エビスタの効果効能、副作用や注意点について紹介していきます。
目次
エビスタってどんな薬?
エビスタってどうやって効くの?
エビスタの用法・用量
エビスタの副作用
エビスタの注意点
まとめ
エビスタってどんな薬?
エビスタは、有効成分ラロキシフェンで、骨粗鬆症の治療薬として用いられています。
日本では、2004年5月に販売が開始されました。
効能又は効果
閉経後骨粗鬆症
引用:エビスタ 添付文書
エビスタは、骨粗鬆症、特に閉経後のものに用いられます。
骨粗鬆症とは?
骨は実は常にそのままあるわけではなく、常に壊され、そして新しく作られています。
このサイクルをリモデリングといいます。詳しくはこちら→骨芽細胞と破骨細胞による骨のリモデリングについて
通常、骨のリモデリングのバランスは保たれており、骨の総量は一定を保たれています。
ところがなんらかの原因により、壊すほうが多くなってしまうと、骨の総量がへり、すかすかになってしまいます。これが骨粗鬆症です。
エビスタってどうやって効くの?
エビスタは有効成分ラロキシフェンで、この物質は女性ホルモンと同じようにエストロゲン受容体を刺激する効果を有します。選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)に分類される薬です。
なんで女性ホルモンが関係あるの?と思いますよね。
実は女性ホルモンには、骨芽細胞(骨を作る細胞)の活性を高める効果があります。
閉経後は、この女性ホルモン量が減少することがわかっており、その結果骨芽細胞の活性が弱まり、相対的に破骨細胞(骨を壊す細胞)の活性が上がり、骨粗鬆症になりやすいです。
なので、女性ホルモンと同じ効果を有する物質を投与すれば、骨粗鬆症を改善できると考えられました。
ところが、女性ホルモンは子宮や乳房に作用すると発ガンのリスクがあります。
そこで、骨にだけ作用することができる薬の開発が望まれていました。
その結果として開発されたのが、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)で代表的な薬として、ラロキシフェン、つまりエビスタがあります。
エビスタの用法・用量
用法及び用量
通常、ラロキシフェン塩酸塩として、1日1回60mgを経口投与する。
引用:エビスタ 添付文書
エビスタは、1日1回1錠を服用する薬です。
エビスタの副作用
エビスタの副作用として主に報告されているのは、ほてり、乳房の緊満、吐き気、多汗、そう痒感、下肢痙攣、抹消性浮腫などです。
エビスタは、選択的エストロゲン受容体モジュレーターですが、乳房他への影響も少しはあります。
そのために、ほてり・乳房の緊満といった副作用が生じます。
また、深部静脈血栓症の副作用の初期症状である、末梢性浮腫、下肢痙攣、そう痒感が生じることがあります。
エビスタの注意点
エビスタには使用することができない方が設定されています。
- 深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症等の静脈血栓塞栓症のある患者又はその既往歴のある患者[副作用として静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、網膜静脈血栓症を含む)が報告されており、このような患者に投与するとこれらの症状が増悪することがある]
- 長期不動状態(術後回復期、長期安静期等)にある患者
- 抗リン脂質抗体症候群の患者[本症候群の患者は静脈血栓塞栓症を起こしやすいとの報告がある。]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
エビスタは、使用すると静脈血栓塞栓症の発症リスクが上昇することがわかっています。
静脈血栓塞栓症とは、下肢・上腕で生じる血栓により血管が閉塞してしまう病気です。
しばしば、それらの血栓が血流により飛び肺動脈に到達し、そこを閉塞してしまうことで、ガス交換できなくなり、失神・ショックを生じさせることもある病気です。
エコノミークラス症候群の名前でも知られています。
なので、1,2,3については、静脈血栓塞栓症のリスクが上がる可能性のある患者さんには投与しないようにという注意になります。
長期不動状態(術後回復期、長期安静期など)に入る場合は、3日前にはエビスタ服用を中止しておく必要があります。
ちなみに、静脈血栓塞栓症の初期症状として、下肢の疼痛・浮腫、呼吸困難、息切れ、胸痛、視力障害があります。服用中にこうした症状が発現したら、すぐに医師に相談するようにしましょう。
他にも、妊婦に対しては、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため、避ける必要があります。
また、エビスタ使用することで、アレルギー反応やアナフィラキシーショックをはじめとする過敏症症状を起こした方は使用することができません。
まとめ
エビスタは、閉経後の骨粗鬆症に用いられる薬です。
有効成分ラロキシフェンで、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)に分類される薬で、ホルモン量低下に伴う骨芽細胞の活性低下による骨密度低下に対して、エストロゲン受容体刺激を与えることで、改善する薬です。
女性ホルモンは乳がんや子宮がんのリスクを上げることで知られていますが、エビスタは乳や子宮のエストロゲン受容体に対しては刺激を与えないような工夫がなされています。
服用に際しては、飲み忘れないように医師の指示通り服用しましょう。
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