はじめに
近年増加の一途をたどっている生活保護受給者。
生活保護の人の医療費はタダってご存知でしょうか?
どうして医療費が無料になるのか、現在どのくらいの税金が使われているのかを説明します。
目次
生活保護の医療費
生活保護の医療費は、すべて公費負担(税金)のため、無料となります。
根拠となる法律は生活保護法ですが、そのベースとなるのは、日本国憲法第二五条いわゆる【生存権】になります。
生活保護法第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条 に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
生活保護法第十一条 保護の種類は、次のとおりとする。
一 生活扶助
二 教育扶助
三 住宅扶助
四 医療扶助
五 介護扶助
六 出産扶助
七 生業扶助
八 葬祭扶助
2 前項各号の扶助は、要保護者の必要に応じ、単給又は併給として行われる。
(医療扶助)
生活保護法第一五条 医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。
一 診察
二 薬剤又は治療材料
三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
この、【医療扶助】というのが、生活保護受給者に対する医療費無料が実施されている根拠となります。
診察にかかるお金、処置・手術代金、薬代もすべてひっくるめて無料です。
さて、この医療扶助は年間どのくらいの金額だと思いますか?
平成23年度では、1兆6432億円です。生活保護費全体に対しての医療扶助の割合はだいたい半分くらいです。
けっこうな額ですよね。。。
生活保護を受ける場合、その方が病気を抱えている場合もあり、一般の方に比べたらそもそも医療費が高いこと、高齢化に伴い生活保護受給者の病気にかかるケースが増えてきたことから、近年増加の一途をたどっています。
後発医薬品の使用
これらのお金は、税金から支払われているので、できるかぎり削減したいですよね。
そこで、着目されたのが、薬剤を後発医薬品(ジェネリック医薬品)に積極的に変えるということです。
厚生労働省から、2013年5月に原則的に、生活保護受給者の薬剤はジェネリックに変えることという通知がされました。
2015年の調査では63.8%(※後発医薬品が無い薬剤は集計対象外)となっています。
積極的に変えることは、少なからず差別だという意見もあるのですが、原資が税金であることから、ある程度しょうがないような気が個人的にはしています。
とはいうものの、強制的なジェネリック医薬品の変更は認めておらず、患者さんに説明して同意を得なくては変えることができません。
個人的な感想ですが、残念ながら生活保護受給者のジェネリックでいいよという取得は、一般の方より難しいです。
もちろん、理解して頂いてジェネリックでいいよという方も多くいますが、一部の方は、本当にかたくなに先発でという意見をもっています。
自分の考えですが、下記のような背景があるのではないかと思います。
- ジェネリックにすれば自己負担が安くなるので、一般の方は変えるメリットがあるが、生活保護の方は自己負担がないので、変えるメリットがない。
- ジェネリックは安物で効きが悪いという印象がまだあり、安物を押し付けられる気がしている。(もちろん、効きが悪いといったことはない)
2018年4月の診療報酬改定では、生活保護受給者の薬剤はすべてジェネリックにすることが義務付けられるような議論が進んでいますが、反発も多いことから、どうなることやらといったところですね。
さらに、ぶっちゃけた話をすれば、すべてジェネリックに変えたところで、削減効果は500億円程度なので、焼け石に水感はあります。
医療扶助制度全体的な見直しを含めて議論していく必要はあるかと思います。
まとめ
生活保護受給者は、医療扶助により医療費全般が無料になります。
医療扶助の金額は、1兆数千億の規模であり、今後も高齢化等に伴い増えるとされています。
後発医薬品への変更義務化が議論されているところですが、どうなるかわかりません。
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