鉄剤(フェロミア・フェルム)と同時にお茶・コーヒーはNG??

はじめに

鉄欠乏性貧血の治療薬であるフェロミア、フェロ・グラデュメット、フェルムカプセルなどの鉄剤ですが、お茶やコーヒーと一緒に飲んではいけない!と説明された経験ありませんか?

どうして、このような説明があるのか、またどの程度守ったほうがよいのかまとめましたので、ご覧ください。

目次

鉄剤はなんのために服用するの?
お茶、コーヒーの鉄剤に与える影響
本当にお茶とコーヒーと鉄剤を一緒に飲んではだめなの?
まとめ

鉄剤はなんのために服用するの?

貧血の一つに、体内の鉄が欠乏することによって生じる貧血があります。
そのまんまですが、鉄欠乏性貧血と呼ばれる病気です。

どうして鉄が欠乏すると、貧血になってしまうのでしょうか?
それは、血液の中に含まれている成分である赤血球が、その製造過程で鉄を必要とするからです。
正確に言うと、赤血球のなかのヘモグロビンという物質を作るときに鉄が必要となります。

ヘモグロビンは、酸素と二酸化炭素を運ぶ役割を果たす大事な物質です。
数が減っていけば、うまく酸素を体全体に運ぶことができず、だるさ、息切れ、立ちくらみが生じてしまいます。
これが、鉄欠乏性貧血と呼ばれる病気になります。

さて、どうすれば、この病気を治すことができるのかというと、多くの場合は、鉄の補給量を上げれば回復するということになります。
そこで用いられるのが、フェロミア(クエン酸第一鉄ナトリウム)やフェロムカプセル(フマル酸第一鉄)といった鉄剤になります。

お茶、コーヒーの鉄剤に与える影響

薬剤名等:タンニン酸を含有するもの(濃い緑茶,コーヒー等)
臨床症状・措置方法:同時に服用することを避ける。
機序・危険因子:不溶性の塩を形成し,本剤の吸収を阻害することがある。
引用:フェルムカプセル 添付文書

添付文書を確認すると、上記のとおり記載があります。
すこし難解な用語が含まれているのですが、すごく簡単にいえば、こういうことです。
『お茶やコーヒーに含まれる【タンニン酸】と【鉄】が結合すると、体内に吸収できない形の物質に鉄が変化してしまうので、同時に服用するのやめてね』ってことです。

タンニン酸は、お茶やコーヒーに含まれ、しぶーい味の原因となっている物質です。

本当にお茶とコーヒーと鉄剤を一緒に飲んではだめなの?

さて、ここまで説明すると、お茶・コーヒーと鉄のお薬は、一緒にのんじゃダメなんだーと思いますよね。

だがしかし。

タンニン酸を含有するもの:タンニン酸が鉄と不溶性塩を形成し鉄の吸収が阻害されるという実験結果がある。

一方,臨床で用いられる鉄剤は徐放性で 1 日 100~200mg という大量に服用されるため,女性や貧血患者のように体内の鉄が不足し,鉄吸収率の亢進した状況下ではお茶などのタンニン含有飲料を摂取した場合でも,タンニン酸と未反応の鉄が効率よく吸収され,水だけで服用した場合と変わらない鉄吸収率を示すという臨床報告もある。
引用:フェルムカプセル インタビューフォーム

タンニン酸を含有する食品との相互作用について
本剤では、タンニン酸を含有する食品により吸収が阻害されたとの報告はないが、鉄剤服用に際し、緑茶、コーヒー等のタンニン酸を含有する飲料を摂取した場合、タンニン酸と鉄が高分子キレートを形成し吸収が阻害されることが報告されている。硫酸鉄水和物製剤では、鉄剤とタンニン酸又は緑茶を同時服用したところ、鉄吸収率はタンニン酸で約 1/2、緑茶で 2/3 に低下したとの臨床報告がある。

本剤では、in vitroでクエン酸第一鉄ナトリウムとタンニン酸を混合し、分子量 10,000 以下を限外ろ過した結果、4 時間後で約 45%、24 時間後で約 50%の高分子鉄キレートを形成したとの報告がある一方、鉄欠乏性貧血患者において、クエン酸第一鉄ナトリウムを水と緑茶による服用を検討した結果、鉄吸収と貧血改善効果に影響しないとの報告もある。

どっちなんだい!!!

つまるところ、確かにタンニン酸と鉄が結合することによって、吸収が落ちる状態になってしまうが、鉄剤には結合したところで問題ないレベルの鉄が含まれているから大丈夫というお話しですね。

なのでできることなら、お茶・コーヒーと鉄剤を一緒に服用するのは控えてほしいが、服用したとしてもそんなに焦ることはないよという認識で大丈夫です。

ちなみに、添付文書に書かれていることと異なることは説明しずらいので、おそらく、『お茶・コーヒーと鉄の薬は一緒に飲まないでくださいねー』と、薬局では今後も説明されるとは思います。

まとめ

添付文書上、鉄剤とお茶・コーヒーは同時に服用しないこととされている。
しかしながら、研究の結果からは、あまり影響は与えないのではないかという結論の報告もあり。

なので、できることなら鉄剤服用前後1時間程度は、お茶・コーヒーを飲まないことをおすすめするが、飲んでしまったからといって、特に影響を与えるほどのことではない。という認識で大丈夫です。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ページ上部へ戻る