【ネオーラル(シクロスポリン)】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

ネオーラルは免疫抑制剤です。
有効成分はシクロスポリンで、1970年に真菌から抽出されました。

免疫抑制剤は、臓器移植後の拒絶反応の抑制や、自己免疫性疾患の治療に用いられます。
今回は、ネオーラルの効果効能や副作用、注意点について紹介します。

目次

ネオーラルってどんな薬?
ネオーラルってどうやって効くの?
ネオーラルの用法・用量
ネオーラルの副作用
ネオーラルの注意点
まとめ

ネオーラルってどんな薬?

ネオーラルは免疫抑制作用を有するシクロスポリンを主成分とする薬です。
日本では、2000年5月に販売が開始されました。

免疫は、動物に備わってる外部の敵(細菌やウイルスなど)を排除する機能です。
生体の機能維持に必要不可欠な機能ですが、ときに邪魔なときがあります。

例えば、臓器移植があります。
臓器移植された臓器は、外部からの敵とみなされてしまい、攻撃対象となってしまいます。
攻撃されてしまえば、もちろん臓器の機能は失われてしまうほか、生体全体に悪い影響を及ぼします。

他にも、自己免疫性疾患(自分の組織をどういうわけか敵とみなして攻撃を仕掛ける疾患、例えばリウマチ、尋常性乾癬、乾癬性紅皮症など)でも、免疫を抑制することで、症状改善する見込みがあります。

効能又は効果
1.下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植
2.骨髄移植における拒絶反応及び移植片対宿主病の抑制
3.ベーチェット病(眼症状のある場合)、及びその他の非感染性ぶどう膜炎(既存治療で効果不十分であり、視力低下のおそれのある活動性の中間部又は後部の非感染性ぶどう膜炎に限る)
4.尋常性乾癬(皮疹が全身の30%以上に及ぶものあるいは難治性の場合)、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、関節症性乾癬
5.再生不良性貧血、赤芽球癆
6.ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)
7.全身型重症筋無力症(胸腺摘出後の治療において、ステロイド剤の投与が効果不十分、又は副作用により困難な場合)
8.アトピー性皮膚炎(既存治療で十分な効果が得られない患者)

効能又は効果に関連する使用上の注意
1.ネフローゼ症候群患者に投与する場合には、副腎皮質ホルモン剤に反応はするものの頻回に再発を繰り返す患者、又は副腎皮質ホルモン剤治療に抵抗性を示す患者に限ること。
2.再生不良性貧血患者に投与する場合には、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。また、寛解例で本剤投与中止後に再燃したため再投与する場合の有効性及び安全性については、十分な評価が確立していないので、患者の状態をみながら治療上の有益性が優先すると判断される場合にのみ投与すること。
3.全身型重症筋無力症では、本剤を単独で投与した際の有効性については使用経験がなく明らかでない。
4.アトピー性皮膚炎患者については、ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の既存治療で十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上に及ぶ患者を対象にすること。
引用:ネオーラル 添付文書

ネオーラルってどうやって効くの?

ネオーラルの有効成分、シクロスポリンはどのように免疫機能を抑えることができるのでしょうか。

その前にざっくり、異物がきてから免疫機能が活性化する流れを説明しましょう。
抗原(外部の敵、異物のこと)が入ってくると、T細胞がそれを検知し、細胞内の伝達機能を活性化させます。
その一連の流れで、カルシウムイオンの細胞内濃度が上昇します。その結果、カルモジュリンが活性化します。
カルモジュリンはカルシニューリンを活性化させます。
カルシニューリンは、IL-2遺伝子に作用し、IL-2の産生を増加させる効果を有します。

IL-2は、免疫を担当しているT細胞及びB細胞の増殖、抗体(ウイルスや細菌とくっついてマーキングする物質、マーキングされると免疫担当細胞に見つかりやすくなる)産生増加、ナチュラルキラー細胞の活性化などなど、免疫をおもいっきり活性化する効果があります。

シクロスポリンは、シクロフィリンというタンパク質とまず結合します。
シクロスポリン-シクロフィリン複合体は、カルシニューリンと結合し、カルシニューリンの活性化を抑制します。
その結果、IL-2活性化の伝達が止まり、IL-2の産生量を抑えることができます。

似た作用機序をもつ薬として、タクロリムス(商品名:プログラフ、プロトピック軟膏)があります。
タクロリムスは、シクロフィリンの代わりにFK506結合タンパク質(FKBP)と結合して、カルシニューリン阻害作用を有します。

ネオーラルの用法・用量

用法及び用量
1. 腎移植の場合
通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量9~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、以後1日2mg/kgずつ減量する。維持量は1日量4~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
2. 肝移植の場合
通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
3. 心移植、肺移植、膵移植の場合
通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量10~15mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量2~6mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
4. 小腸移植の場合
通常、シクロスポリンとして1日量14~16mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。以後徐々に減量し、維持量は1日量5~10mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。ただし、通常移植1日前からシクロスポリン注射剤で投与を開始し、内服可能となった後はできるだけ速やかに経口投与に切り換える。
5. 骨髄移植の場合
通常、移植1日前からシクロスポリンとして1日量6~12mg/kgを1日2回に分けて経口投与し、3~6ヵ月間継続し、その後徐々に減量し中止する。
6. ベーチェット病及びその他の非感染性ぶどう膜炎の場合
通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与を開始し、以後1ヵ月毎に1日1~2mg/kgずつ減量又は増量する。維持量は1日量3~5mg/kgを標準とするが、症状により適宜増減する。
7. 乾癬の場合
通常、1日量5mg/kgを2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は1ヵ月毎に1日1mg/kgずつ減量し、維持量は1日量3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。
8. 再生不良性貧血の場合
通常、シクロスポリンとして1日量6mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減する。
9. ネフローゼ症候群の場合
通常、シクロスポリンとして下記の用量を1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
(1) 頻回再発型の症例
成人には1日量1.5mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量2.5mg/kgを投与する。
(2) ステロイドに抵抗性を示す症例
成人には1日量3mg/kgを投与する。また、小児の場合には1日量5mg/kgを投与する。
10. 全身型重症筋無力症の場合
通常、シクロスポリンとして1日量5mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。効果がみられた場合は徐々に減量し、維持量は3mg/kgを標準とする。なお、症状により適宜増減する。
11. アトピー性皮膚炎の場合
通常、成人にはシクロスポリンとして1日量3mg/kgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが1日量5mg/kgを超えないこと。
引用:ネオーラル 添付文書

ネオーラルは、病気によって細かい量の調節が必要となる薬です。
免疫抑制は、体全体に影響を与えるので、注意が必要というわけです。

病状や年齢によっても量をコントロールするので、医師の指示を必ず守って使用してください。

医師の指示と異なる場合は医師の指示を優先するようにしてください。

ネオーラルの副作用

用いる病気によって生じやすい副作用が異なります。
共通することとしては、細菌やウイルスなどの感染症にかかりやすくなる点です。

服用していて、体調悪化や違和感を感じたら、医師に相談するようにしましょう。

自己判断で中止せず、気になることあれば、医師に相談しましょう。

ネオーラルの注意点

ネオーラルはその免疫抑制作用から、副作用にあるとおり細菌やウイルス感染しやすくなります。
外から帰ったら手洗いうがい、適度な湿度を保つ、人混みには近寄らないなど、健康維持するようにしましょう。

ネオーラルは、一緒に服用してはいけない薬が設定されています。
お薬手帳などを活用して、現在服用している薬を一冊のノートにまとめておき、医師薬剤師に確認してもらうようにしましょう。

まとめ

ネオーラルは、臓器移植や自己免疫性疾患の免疫抑制剤として用いられます。
有効成分はシクロスポリンであり、IL-2の産生を抑制することで、免疫を抑制します。

用法用量が、病気の種類や症状、年齢によって変わるので、医師の指示を守って服用してください。

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