【リンデロンVG軟膏・クリーム・ローション】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

リンデロンVGは、ステロイドと抗生物質が混合された外用薬です。
リンデロンVG軟膏、リンデロンVGクリーム、リンデロンVGローションの3つの剤形で日本では販売されています。

ジェネリックもすでに発売されており、代表的な商品名は下記の通りです。

  • ベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩軟膏・クリーム・ローション
  • デルモゾールG軟膏・クリーム・ローション
  • ルリクールVG軟膏0.12%
  • ベトノバールG軟膏0.12%・クリーム

今回は、リンデロンVGについて、その効果効能と副作用・注意点について、説明していきます。

目次

リンデロンVGってどんな薬?
リンデロンVGってどうやって効くの?
リンデロンVGの用法・用量
リンデロンVGの副作用
リンデロンVGの注意点
まとめ
関連する薬

リンデロンVGってどんな薬?

リンデロンVGはステロイドであるベタメタゾン吉草酸エステルと、抗生物質のゲンタマイシン硫酸塩が配合された外用薬です。
軟膏・クリーム・ローションの3つの剤形で販売されており、患部の部位・状態に合わせて医師が選択して、処方されます。
日本においては、軟膏とクリームが1970年7月に、ローションが1975年3月に販売開始されました。

効能・効果
[リンデロン-VG]
<適応菌種>
ゲンタマイシン感性菌

<適応症>
○ 湿潤,びらん,結痂を伴うか,又は二次感染を併発している次の疾患:
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症,脂漏性皮膚炎を含む),乾癬,掌蹠膿疱症
○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染(※軟膏、クリームのみ)

引用:リンデロン-VG 軟膏・クリーム・ローション 添付文書

リンデロン∨Gはステロイドを含んでますので、湿疹や皮膚の炎症、乾癬といった免疫反応が過剰に生じることで起こる症状に対して用いられます。
また、抗生物質であるゲンタマイシンを含んでいるので、傷があるなどしてそこから入ってくる細菌を殺す効果をあわせもっています。
ひっかきキズやひどい虫刺され、そのほか傷+炎症がある場合に用いられます。

リンデロン∨Gに含まれている【ベタメタゾン吉草酸エステル】はステロイドのなかでは、strong群に分類されます。
strong群は、ステロイドの強さの5段階評価のうち、上から3つ目の強さです。

ステロイドと聞くと、拒否反応を示す方も多いですが、注意をしっかり守れば、外用薬ステロイドは比較的安全に使うことができます。
ステロイド外用剤を使う上での主な注意点は3つです。

①医師の指示された部位につかうこと。

ステロイドは、塗る部位によって、体内への吸収率が異なります。
前腕内側を1.0とした場合、下記のような吸収率になります。

  • 足のうら→0.14
  • 足首→0.42
  • 手のひら→0.83
  • 前腕外側→1.1
  • 背中→1.7
  • 頭皮→3.5
  • わきのした→3.6
  • くび→6.0
  • ほほ→13.0
  • 陰嚢→42.0

皮膚の薄さ、血流の多さなどの要因で吸収率が異なります。

このように吸収量が違うので、手のひらなら強めの薬使っても大丈夫だけど、顔には強めの薬を使うと副作用の心配がでてくるといった感じです。
(念のため補足ですが、顔であってもstrong群の薬使うことがあります。短期でがっつり治して症状を改善する狙いなどがあるためです。一概にまったくもってNG!とはいえないので、医師の指示に従うようにしてください)

②用法用量を守る。

付けすぎは禁物です。
早く治したい気持ちはわかりますが、量も回数も指示されたとおりお願いします。
多くつけることで吸収量が増え、副作用の可能性が高くなるからです。

また、1週間までの使用に留めるといった期間限定の指示もあります。
その期間を超えて症状改善されなければ、再度医師の診察を受けるようにしましょう。

③大人に処方された薬を子供に使わない。

大人と子供、皮膚の厚さが異なります。
子供のほうが当然薄いので、吸収が良いです。

大人で手のひら用だからといって、同じ症状の子供に使用はしないようにしてください。
基本的な考えとしては、子供には、大人のワンランク下の強さのステロイド薬を使います。

リンデロンVGってどうやって効くの?

ステロイドは、ホルモン作用を有しており、塗った部位の細胞にとりこまれ、リポコルチンというタンパク質の生成を促します。

リポコルチンは、炎症に関与する成分であるプロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエンといった生体内物質の原料である、ホスホリパーゼA2を、ブロックさせることにより炎症を鎮める作用があるとされています。

リンデロンVGってどうやって効くの?

リンデロンVGは2つの有効成分を含んでいるので、それぞれ説明していきます。

ベタメタゾン吉草酸エステル

ベタメタゾン吉草酸エステルはステロイドホルモンであり、皮膚から細胞に取り込まれた後、遺伝子がある核内に取り込まれます。
その後、遺伝子の転写・翻訳を調節することで、リポコルチンというタンパク質の生成を促します。

リポコルチンは、プロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエンといった炎症に関与する生体内物質の原料である、ホスホリパーゼA2をブロックさせることにより炎症を鎮める作用があるとされています。

ゲンタマイシン硫酸塩

ゲンタマイシンはアミノグリコシド系に分類される抗生物質です。
アミノグリコシド系抗生物質は、タンパク質合成を止める作用をもち、タンパク質は組織の機能・構造維持に不可欠なため、細菌を殺すことができます。

具体的には、細菌のタンパク質合成に必要な物質である【30Sリボソーム】に結合することで、働かせないようにして、タンパク質合成を止めます。

ちなみに、人間のタンパク質合成にもリボソームが必要ですが、構造が異なっているので、ゲンタシンは人間のリボソームに対して阻害作用をもちません。

リンデロンVGの用法・用量

用法・用量
通常,1日1~数回,適量を塗布する。
なお,症状により適宜増減する。
引用:リンデロンVG 軟膏・クリーム・ローション 添付文書

1日数回使用するタイプの薬です。
副作用を減らすためにも、医師の指示どおり使用するようにしましょう。

リンデロンVGの副作用

リンデロンVGの副作用として主に報告されているのは、皮膚刺激感・潮紅、皮膚の炎症です。
皮膚症状が主な副作用となります。

その他にステロイド特有の副作用が生じることがあります。
まず、細菌感染症が起こりやすくなります。

ステロイドは炎症成分の生成を阻害する薬です。
これら、炎症成分はなにも悪さばかりをするわけではなく、ウイルスや細菌感染がおきたときに、臨戦態勢を整えるように命令する物質でもあります。
なので、そのシステムが弱められているので、細菌・ウイルスの感染に弱くなってしまいます。

他にも、ステロイドざそう(にきび)・皮膚が薄くなる・皮膚の赤みが増す、といった症状が起こる可能性があります。

気になる症状があれば、医師に相談するようにしましょう。

リンデロンVGの注意点

リンデロンVGはステロイドを含んでいるので、使い続けるとその副作用発現の可能性があります。
また、抗生物質を含んでいるので、これまた長期に使い続けると耐性菌が出現してしまうことになるので、使い続けないこととされています。
医師の指示どおりに使い、指示なく使い続けないようにしましょう。

リンデロンVGを使ってはいけない方

リンデロンVGには、使用してはいけない方が設定されています。

まず、薬の成分に対して、過去アレルギーやアナフィラキシーショックといった過敏症状を起こしたことがある方。再び起きる可能性があるので、使うことができません。

また、ステロイドを含んでいるため、免疫力の低下が副作用としてあります。
そのため、すでに真菌やウイルス皮膚感染症、毛じらみなどに罹患している人に使用すると、症状悪化の可能性があるので、使用できません。

禁忌(次の患者には投与しないこと)
1. ゲンタマイシン耐性菌又は非感性菌による皮膚感染のある場合[皮膚感染が増悪するおそれがある。]
2. 真菌・スピロヘータ・ウイルス皮膚感染症及び動物性皮膚疾患(疥癬,けじらみ等)[これらの疾患が増悪するおそれがある。]
3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
4. 鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒の遅延及び感染のおそれがある。]
5. 潰瘍(ベーチェット病は除く),第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され,治癒が遅延するおそれがある。]
6. ストレプトマイシン,カナマイシン,ゲンタマイシン,フラジオマイシン等のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者
引用:リンデロンVG 添付文書

まとめ

リンデロンVGは、ステロイドと抗生物質を含有する塗り薬です。
有効成分は、ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)とゲンタマイシン硫酸塩(抗生物質)の2種類が混合されています。
ステロイドの薬の強さでは、5つ中、上から3つめのstrong群に属します。

炎症を鎮める効果と細菌を殺す作用があり、様々な用途で用いられてます。
医師の指示どおりの部位、量、期間で使用するようにしましょう。

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