はじめに
クレストールは、ロスバスタチンを有効成分とする高コレステロール血症治療薬です。
スタチン系に分類され、広く用いられている薬です。
日本では普通錠とOD錠が販売されています。
今回は、クレストールの効果効能、副作用や注意点について紹介します。
目次
クレストールってどんな薬?
クレストールってどうやって効くの?
クレストールの用法・用量
クレストールの副作用
クレストールの注意点
まとめ
クレストールってどんな薬?
クレストールは、ロスバスタチンを有効成分とする薬です。
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の治療に用いられます。
日本では、普通錠が2005年4月に、OD錠が2016年6月に販売開始されました。
効能・効果
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症効能・効果に関連する使用上の注意
1.適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
2.家族性高コレステロール血症ホモ接合体については、LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。
引用:クレストール 添付文書
高コレステロール血症
脂質異常症の一つであり、LDLコレステロールが140mg/dL以上の状態を指します。
ちなみに、脂質異常症は、下記3つのうちどれか一つでも該当するとそのように診断されます。
- LDLコレステロール:140mg/dL以上
- トリグリセライド(中性脂肪):150mg/dL以上
- HDLコレステロール:40mg/dL未満
※すべて空腹時の血清中濃度
LDLコレステロールが高いとなにがいけないのでしょうか?
LDLコレステロールは、低密度リポタンパクコレステロールと呼ばれ、全身にコレステロールを供給する物質です。
多すぎると血管に蓄積して、炎症が生じ、血管が硬くなる動脈硬化を引き起こします。
動脈硬化により柔軟性を失った血管はやぶれやすく、脳卒中を引き起こすことになります。
そのほかにも、血管内が狭まることにより、心筋梗塞や脳梗塞の可能性もあがります。
家族性高コレステロール血症
うまれつき、コテステロールが高くなる病気です。
年齢が低いうちから、動脈硬化が進み、血管が詰まりやすくなります。
多くの患者さんは、LDLコレステロール値が高い以外自覚症状はないですが、一部の患者さんでは、コレステロールが沈着した皮膚黄色腫を生じます。
また、アキレス腱が厚くなるのも特徴の一つです。
クレストールってどうやって効くの?
クレストールの有効成分ロスバスタチンは、HMG-CoA還元酵素阻害作用を有する薬です。
HMG-CoA還元酵素とは、肝臓におけるコレステロール生合成において重要な役割を果たす酵素です。
【HMG-CoA】から【メバロン酸】への変化を担当する酵素ですが、スタチンはこれを阻害することで、コレステロールの原料を絶ち、コレステロール生成量を減らすことができます。
クレストールの用法・用量
用法・用量
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。用法・用量に関連する使用上の注意
1.クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m2未満の患者に投与する場合には、2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量は5mgとする。
2.特に20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。20mg投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。
3.(OD錠のみ)OD錠は口腔内で崩壊するが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと。
引用:クレストール 添付文書
クレストールの副作用
クレストールの主な副作用として、筋肉痛やALT・CK等の検査値が上昇する副作用があります。
全体的な副作用発現率は10~20%です。
週刊誌等でよく取り上げられている筋肉がとける副作用の【横紋筋融解症】は、0.1%未満の副作用頻度です。
横紋筋融解症は、たしかに重篤になりうる副作用なのですが、初期症状で気づき対処することで、重篤になる前にどうにかできる可能性が高くなります。
初期症状として、【覚えのない筋肉痛】【尿が赤くなる・血がまじる】などがあります。
クレストールの注意点
クレストールには、一緒に服用してはいけない薬が設定されています。
見落とさないように、服用している薬はお薬手帳を活用するなどして管理して、医師・薬剤師に毎回チェックしてもらうとよいでしょう。
シクロスポリンが一緒に飲んでは行けない薬、フィブラート系薬剤は原則一緒に服用してはいけない薬として設定されています。
※但し、フィブラート系薬剤は治療上必要ということであれば、併用することがありますので、医師の指示に従ってください。
まとめ
クレストールは、HMG-CoA還元酵素阻害作用を有するロスバスタチンを有効成分とする薬です。
HMG-CoA還元酵素は、LDLコレステロールを作る過程にある【HMG-CoA】から【メバロン酸】への変化を担当する酵素なので、この酵素の働きが落ちると、最終的にLDLコレステロールの生成量低下につながります。
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の治療に用いられます。
使用に際しては、医師の指示どおりに使うようにしましょう。
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