【カナリア配合錠】って?効果効能・副作用を紹介!

はじめに

2型糖尿病治療薬で、DPP4阻害作用をもつテネリグリプチンとSGLT2阻害作用をもつカナグリフロジンが合体したカナリア配合錠。
2017年9月に発売が開始される新しめの薬です。

今回はカナリア配合錠にどのような効果効能、副作用・注意点があるのか説明していきます。

目次

カナリア配合錠ってどんな薬?
カナリア配合錠ってどうやって効くの?
カナリア配合錠の用法・用量
カナリア配合錠の副作用・注意点
まとめ

カナリア配合錠ってどんな薬?

カナリア配合錠は、DPP4阻害作用をもつテネリグリプチンとSGLT2阻害作用をもつカナグリフロジンが配合されている薬です。

テネリグリプチンはテネリアとして、カナグリフロジンはカナグルとしてすでに販売されています。
配合錠にすることで、患者さんの手間を軽減するとともに、コンプライアンスの向上を期待することができます。

また、薬価的な面でも患者さんは恩恵を受けることができます。
というのも、2017年9月現在、テネリアは1錠169.9円、カナグルは205.50円ですが、カナリアは300.30円のため、約70円ほど安くなります。

テネリア、カナグル、カナリアともに、基本は1日1回1錠の薬なので、1日約70円安くなると、1ヶ月で約2100円安くなります。
3割負担であれば、約700円自己負担金が減る計算になります。
地味にうれしい負担軽減ではないでしょうか?

効能・効果
2型糖尿病
ただし,テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
引用:カナリア配合錠 添付文書

カナリア配合錠は2型糖尿病の治療薬です。
テネリア、カナグルともに、2型糖尿病の治療薬なので、その2つを配合したカナリア配合錠もまた、2型糖尿病の治療薬となります。

<効能・効果に関連する使用上の注意>
( 1 ) 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
( 2 ) 原則として,既にテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)及びカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)を併用し状態が安定している場合,あるいはテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリグリプチンとして1日20mg)又はカナグリフロジン水和物(カナグリフロジンとして1日100mg)の単剤治療により効果不十分な場合に,使用を検討すること。
( 3 ) 本剤は2型糖尿病と診断された患者に対してのみ使用し、1型糖尿病の患者には投与をしないこと。
( 4 ) 高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が期待できないため,投与しないこと。
( 5 ) 中等度腎機能障害患者では本剤の有効成分であるカナグリフロジン水和物の効果が十分に得られない可能性があるので投与の必要性を慎重に判断すること。
( 6 ) 本剤投与中において,本剤の投与がテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること.
引用:カナリア配合錠 添付文書

ただし、2型糖尿病の患者さん全員に使ってよいというわけではありません。
まず、2型糖尿病の薬物治療をはじめて開始する患者さんには用いることができません。(医師の判断で、糖尿病重症だから使う!というケースも稀にありますが。。。)
やはり、2つの成分が含まれている薬なので、はじめからドーンと投与すると、低血糖症状のリスクがあるので、控えてほしいということでしょう。

また、原則として、すでにテネリアとカナグルを併用しているケース、もしくはどちらを使用していて、効果不十分なケースに使用することとあります。
すでに併用している場合は、薬価的にも手間的にもお得なので、積極的に変えてほしいところですね。

余談ですが、新規医薬品は発売から1年間は14日までの投与制限が課せられますが、カナリア配合錠の場合、テネリアやカナグルの実績、あるいはそれらを併用して用いていた実績があるので、この14日投与制限が例外的に外されています。

カナリア配合錠ってどうやって効くの?

糖尿病薬の薬効についてまとめました。

上の図は、糖尿病治療薬の作用点をまとめた図です。

テネリアはDPP-4阻害作用を持つ薬です。
DPP-4とは、GLP-1といった膵臓に働きかけてインスリンの放出を促すホルモンを分解し、その効果を無効にしてしまう酵素をさします。
テネリアはDPP-4を無効化することにより、GLP-1の分解を抑制して、インスリンの分泌を促進させるタイプの薬です。

カナグルはSGLT-2阻害作用を持つ薬です。(図にはないです、ごめんなさい)
SGLT-2は、腎臓の近位尿細管に存在するトランスポーター(輸送体)で、尿中に含まれているグルコースやナトリウムなどを、体内に取り込む働きをもちます。
グルコースは、本来人間にとって、脳のエネルギー源になったり、体を動かす原動力になったりするので、とても大事な物質です。
SGLT-2は、グルコースをみすみす尿と一緒に排泄してなるものかということで、尿中から再度体内に戻す働きをしているともいえます。

ですが、糖尿病患者さんにおいては、グルコースが過量に血中にあることが問題なので、このSGLT-2の働きを抑えることで、尿と一緒に体外にグルコースを放出させて、血中のグルコース濃度を下げる効果を狙っています。

DPP-4阻害とSGLT-2阻害、ふたつの作用点から血中のグルコース濃度を下げることを期待して作られたのが、カナリア配合錠になります。
なお、糖尿病薬は2つの成分が混じった配合錠が多く作られていますが、DPP4阻害とSGLT2阻害の組み合わせは、カナリア配合錠が初となります。

カナリア配合錠の用法・用量

用法・用量
通常,成人には1日1回1錠(テネリグリプチン/カナグリフロジンとして20mg/100mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する.
引用:カナリア配合錠 添付文書

カナリア配合錠は、1日1回服用のタイプの薬です。
また、朝食後もしくは朝食前に服用することとされています。
朝服用なのは、朝と昼と夕の食事時点において、血糖値をコンスタントに下げる効果がもっとも期待できると考えられているからです。

食事の影響により、摂取した薬の効き方が変わらないため、朝食前・朝食後のどちらでもよいということになっています。

ただし、だからといって、朝食を抜くのはNGです。
低血糖症状がでてくるリスクがあがってしまうためです。
3食規則正しい食事をこころがけましょう。

カナリア配合錠の副作用・注意点

頻尿、血中ケトン体増加、カンジダ症、便秘、口渇、尿路感染症などの副作用が報告されています。

SGLT-2は、グルコースを尿とともに排出するため、二つの副作用を招いてしまいます。
一つは、尿の濃度が高くなることにより、体内から水分を一緒に出しやすくなるため、尿量が多くなります。その結果、頻尿・多尿といった副作用が生じやすくなります。
もう一つは、糖分が多く含まれているので、細菌感染をしやすくなるとされています。尿路感染症や、カンジダ症といった病気です。

また、糖尿病薬に共通する注意点として、低血糖症状があります。
DPP-4阻害薬もSGLT-2阻害薬もどちらも低血糖症状を起こしにくいとされていますが、体調が悪かったり、食事を抜いたりしてしまうと生じてしまうことがあります。
低血糖症状の初期症状である、震え・空腹感・動悸・さむけが生じたら、すぐにブドウ糖を摂取しましょう。

そのほか、服用していて、体調の悪化を感じるようであれば、積極的に医師に相談するようにしましょう。

まとめ

カナリア配合錠は、DPP阻害作用を持つテネリアとSGLT阻害作用をもつカナグルを配合した薬です。

複数の成分を1錠で摂取できるので、飲み忘れ防止やコンプライアンス向上の期待ができます。
また、テネリア1錠とカナグル1錠を足し合わせた薬価よりも、カナリア配合錠1錠の薬価のほうが安いので、金銭的な負担軽減も期待できます。

副作用としては、尿路感染症や頻尿・多尿といったSGLT-2阻害作用をもつ薬に共通して現れる副作用のほか、便秘・口渇、低血糖症状(寒気・動悸・空腹感など)があります。

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