緑内障ってどんな病気?原因と治療薬をまとめてみた

はじめに

緑内障をご存じでしょうか?
高齢者の方であれば、点している目薬の一つが緑内障の薬であるかもしれません。

70歳以上の10人に1人の割合で緑内障になっているというデータもあり、多くの患者さんがいる病気です。
今回は、緑内障の原因と病態、治療方法と治療薬についてご紹介します。

目次

緑内障とは
緑内障の治療
緑内障の薬
まとめ

緑内障とは

緑内障は目の病気です。
眼圧が高くなることにより、目と脳をつなぐ視神経に障害がおこり、だんだんと視野が狭くなってくる病気です。
放置しておくと、失明に至ることもあります。

病気の進行はとてもゆっくりで、自覚症状がでにくいのが特徴です。
気づいたころには、中期や後期という状態ということも珍しくありません。

緑内障の治療

緑内障は、眼圧がキーワードになります。

眼圧ってなんだろうを説明するには、少し目の構造を解説しなくてはなりません。
目はそもそもなんで球体構造を維持できているのでしょうか?

それは、目の中は房水と呼ばれる水で満たされているためです。
満たされているだけではなく、内側から圧力をかけるために、容積に対してちょっと多めの水で満たされていると考えてください。

ここで生じる房水による内側からの圧力のことを、眼圧といいます。
眼圧は房水の量によってきまります。房水は毛様体によって作られ、シュレム管を通って目の外に出ていきます。

通常の眼圧は10~21mmHgで、これよりも大きいと緑内障と診断されることがあります。

ところが、ここまでの説明を覆すようですが、最近正常眼圧緑内障という眼圧が正常範囲内でも緑内障になっている方が最近増えています。
理由としては、視神経のほうが眼圧に耐える能力が弱くなっているためではないかというのが仮説としてあります。

緑内障の薬

緑内障の治療薬は、すべて眼圧を下げる効果があります。
眼圧の下げ方には、大きく分けて2つの方法があります。

一つが、眼房水の生成を抑制する方法。
もう一つが、眼房水の排出を促進する方法です。

代表的な薬を説明していきます。

眼房水の生成を抑制する薬

β遮断薬

眼房水は、毛様体にあるβ受容体が刺激されることで、生成が促されます。
このタイプの薬は、その受容体をブロックすることで、眼房水の生成を抑制します。

なお、副作用として、心臓・気管支に対する影響があるため、心臓病や喘息を患っている人には使用することができません。

  • チモロール(商品名:チモプトール)
  • カルテオロール(商品名:ミケラン、ミケランLA)
  • レボブノロール(商品名:ミロル)
  • ベタキソロール(商品名:ベトプティック)

炭酸脱水酵素阻害剤(CAI)

眼房水を生成するときにかかわっている酵素である、炭酸脱水酵素の働きをブロックすることにより、眼房水の生成を抑える薬です。

  • ブリンゾラミド(商品名:エイゾプト)
  • ドルゾラミド(商品名:トルソプト)

眼房水の排出を促進する薬

プロスタグランジン製剤

プロスタグランジン製剤は、生体内の伝達物質であるプロスタグランジンを利用した薬です。
ブドウ膜強膜流出路と呼ばれる眼房水排出経路からの、流出を促進することで、眼圧を下げる働きがあります。

副作用としては、目の充血やまつげが長くなる、まぶたが黒ずむなどがあります。
また、日本人だとあまりわかりにくいですが、青目の外人さんだと問題になりやすいのが虹彩が茶色っぽくなってしまう副作用があります。

  • イソプロピル ウノプロストン(商品名:レスキュラ)
  • トラボプロスト(商品名:トラバタンズ)
  • タフルプロスト(商品名:タプロス)
  • ラタノプロスト(商品名:キサラタン)
  • ビマトプロスト(商品名:ルビガン)

※副作用のまつげが伸びる効果を期待して、美容目的用のグラッシュビスタという薬があります。
その成分は、ルビガンに含まれているビマトプロストと同じです。

α1遮断薬

交感神経のα1受容体は、ぶどう膜強膜経路の排出量をつかさどっています。
この受容体を遮断することにより、眼房水の排出を促進する薬です。

  • ブナゾシン(商品名:デタントール)

ROCK阻害薬

Rhoキナーゼと呼ばれる、平滑筋収縮や細胞の形態変化などのさまざまな機能を持っている酵素があります。
この酵素の活性を止めることにより、シュレム管排出路が開くことが実験で分かりました。

  • リパスジル(商品名:グラナテック)

どちらの効果も持っている薬

α2刺激薬

交感神経のα2受容体刺激薬は、眼房水の生成を抑える効果と眼房水の排出を促進作用を持ってます。

  • ブリモニジン(商品名:アイファガン)

配合剤(プロスタグランジン製剤+β遮断薬

複数の目薬を使用すると、アドヒアランスの低下につながります。
また、目薬と目薬の間は5分以上あけないと、前に点した目薬の成分が流れ出てしまい効果が弱くなってしまうので、点すのに時間がかかるというデメリットがあります。

そのため、はじめから複数の成分を混ぜた薬が合剤と呼ばれる薬です。

  • プロスタグランジン:トラボプロスト+β遮断:チモロール(商品名:デュオトラバ)
  • プロスタグランジン:ラタノプロスト+β遮断:チモロール(商品名:ザラカム)
  • プロスタグランジン:タフルプロスト+β遮断:チモロール(商品名:タプコム)

配合剤(炭酸脱水酵素阻害剤+β遮断薬

  • 炭酸脱水酵素阻害:ドルゾラミド+β遮断:チモロール(商品名:コソプト)
  • 炭酸脱水酵素阻害:ブリンゾラミド+β遮断:チモロール(商品名:アゾルガ)

まとめ

緑内障は高齢になるにつれて、かかりやすくなる病気です。
眼圧が高いことが理由で、視神経が障害を受け、視野が狭くなったり、最悪のケースですと失明に至ります。

定期的な眼科検診と、薬による眼圧コントロールを行うことで、症状の悪化を防ぐことができます。

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